2012年4月28日 (土)

著者メッセージ  堀川アサコさん『幻想電氣館』

 今では昔のこととなってしまいましたが。ある夕方、小さな映画館を訪れた ところ。
 映画館の人「さんちゃんが帰ってしまったので、本日の上映はもう終わりです」
 わたし「あのー。上映時間に間に合うよう、急いで来たんですけどー」
 映画館の人「ともかく、さんちゃんが居ないと、上映できないんです」 さんちゃんて、誰……。
 今回、映画館を舞台にした『幻想電氣館』を書くため、あれこれ資料をめくるうち、何十年来ナゾの人だった「さんちゃん」は、映写技師だったのだろうと察しがつきました。
 近頃では、映画は映写技師なしでも上映できるそうですね。でも「映写技師も帰っちゃったし。さあさあ、店じまい」なんて大雑把な映画館があったのも、なかなか面白い時代だったと思います。
 『幻想電氣館』は、そんなのんびりさに、この世ならぬ大騒ぎが加わったファンタジーです。幽霊が見えたりする主人公と一緒に、和んだり怖がったり、楽しんでくださればと思います。 (堀川アサコ)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年4月15日号)

| | コメント (0)

2012年4月20日 (金)

赤井都さん、豆本づくりで日本TV出演4月22日(日)18:55~19:00「わたしのLife On」

 赤井都テレビ出演。4月22日(日)18:55~19:00「わたしのLife On」日テレ2分半の短い番組ですが、豆本作品や製本風景のほか、活版印刷しているところや、絵本の修理をしているところも撮影されました。全国放送です。どうぞご覧ください。番組HPはこちらです
人を楽しませる仕事なのに、めったやたらと忙しかったここ数年。分刻みで動いていました。豆本でそんなに売れっ子になるなんて、ちょっと信じがたいですよね。ともかく、こんなペースでは壊れてしまうので、新年から心を入れ替え、スケジュールを整理して、自分にしかできないことだけをしようと、申し訳ないけれどそう思って、ようやく4月になって、ちょっと暇ができるようになりました。おそらく、並の忙しさにようやく戻ってこられたと思います。自分もまず楽しみたいし、気になる展示にだって行きたい。ポロック展に行くぞ! これまでは忙しすぎてとうてい自分には縁のないものと思って駅貼りの展示案内ポスターを見ていました。でも、せっかく東京圏に暮らしているんだもの、行って本物を目にしなくちゃー。心に栄養。
現代美術ってよくわからなくって、と言われた方がいました。私も、よくわかりませんが、自分がアートだなあと思う
指標みたいなものがあって、それは、 一瞬で印象に残る(後から絵柄などを思い出せる) その人の作品だとすぐわかる(オリジナリティ、アイデンティティ)そしてさらに、他の文化圏から見ても上記が成り立つなら国境や時代を超えるアートなんだろうと思いますが、如何。
あと、他の人からいっぱい真似される、というのはアートの影響力が大きい証拠だと思います。家で、ちょっとした時間に、たまっていたテレビ録画を見ています。「カーネーション」最高でした。朝ドラを最初から最後まで見たのは初めてです。年末、もう見られないと録画することまで諦めてしまったので、周防さんの登場シーンは見逃してしまいましたが。本が出てくるシーンもけっこうあって、よかったですね。
「夢の扉」も見ています。ゴミから魚ロボットを作るのには号泣しました。物の価値ってすごいなあ。

| | コメント (0)

2012年3月28日 (水)

著者インタビュー: 橋本紡さん 『今日のごちそう』

――新刊『今日のごちそう』は、どんな作品ですか?
A)これは、原稿用紙10枚の掌編を月に1本、という枠で2年間連載したものです。この枚数で毎回毎回、設定を作り、小説としての読みどころを作っていくのは大変な作業で、とても鍛えられました。小説を書く筋トレを積んだような感じです(笑)。いま読み返すと、書いた当時のことを思い出したり、文体も2年の間に変わったりしていて面白いですね。
――おいしそうな料理がたくさん登場しますが、橋本さんご自身がお料理がお好きなのでしょうか。
A)はい。料理は好きでよく作ります。作品に出てくるメニューは、それを書いた日の我が家の晩ごはんです。ただ手料理というのは、“だいたい”で作って、作るたびに少しずつ手順も味も変わるものだと思っています。あまりきちんとしたレシピに沿って作っているわけではないんです。豆をじっくり煮たりするのも好きなんですが、最近いそがしくて、なかなかできないのが悲しいですね。
――作品には、恋愛中の女性や若い夫婦、小学生からおじいさんまで、さまざまな主人公のドラマが描かれていますが、ご自身としてとくに気に入っているお話はありますか?
A)高校生の男の子と女の子が主人公の「うどん」というお話があるのですが、それに出てくる男の子の明るいキャラクターとか、二人の関係が少しずつ動いていく感じは気に入っていますね。小道具のマニキュアの描き方とか。あとは子どものいない夫婦に姑が電話をかけてきて……という「漬け物」も好きです。小説には季節の移り変わりなどの情景が大切だと思っているのですが、このお話では散った桜を描いています。これからもこういった「大人の小説」を書いていきたいと思っています。(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年3月15日号)
 

| | コメント (0)

2012年3月12日 (月)

西村賢太さん芥川賞受賞したら年収10倍5200万円にアップ

芥川賞作家の西村賢太さん(44)がテレビ出演し、女性観や、風俗店について語り、予想通りそのダメっぷりで会場を引かせたが、ネットでは、芥川賞受賞前の年収が480万円とわかると雰囲気が一変。「俺達の仲間ではなかった」などと失望が広がることになった。
西村さんのイメージと言えば、中卒で職を転々。風俗店が大好きで借金しながらも通い続けている、などのイメージで語られていた。それでも作家になれて芥川賞を受賞。まさにダメ人間の希望の星のような存在、とされていた。
「そろそろ風俗に行こうと思っていた」の発言で有名な西村さんは、2012年3月5日放送の「笑っていいとも!」に登場。受賞後の収入を聞かれると「年収が10倍になった」と明かした。年収480万円だったのが、過去の作品も売れたためなんと5200万円にもなったのだそうだ。
結婚はしないのか、という質問で、いつもの「西村節」が炸裂。「嫁が老ける一方だから、結婚するのは損」
「家族を養うためにお金を使うのはナンセンス」
J-CASTニュースニュースエンタメ「ダメな人のヒーロー」でなかった芥川賞作家 年収480万円もあったとネットで失望広がる

| | コメント (0)

2012年3月10日 (土)

濱嘉之さん『列島融解』

 昨年三月十一日に発生した東日本大震災とこれに伴う津波による被害は、国内のみならず、海外にも大きな影響を与えた。なかでも、福島第一原発の事故は原子力政策を推進していた多くの国家にあらたな課題を突きつけた形となった。
 原子力の有効利用のうち、最もその存在が示されているのが発電である。これに関しては、いつの間にか作り上げられていた「安全神話」なるまやかしを多くの国民が信用させられてきた背景があった。
  本書の冒頭で「エネルギー政策というのは、本来、経済政策として捉えるべきものなんですよ。そしてそれはすなわち、この国の形を描きなおすことなんです」という文言を敢えて入れている。事故以降、多くのマスコミや政府要人は今回の事故を全て電力会社の責任として、その攻撃に終始していた。
 しかし、果たしてそうだろうか? 原子力政策、エネルギー政策というのは、元々、国家の経済政策として始められ、それを請け負わされているのが電力会社だったのではなかったのだろうか?
  私は警察という職務に二十二年半の間奉職してきた。ただ、警察という職業は極めて幅が広く、セクションによっては極めて専門的な知識を要求される。内閣官房内閣情報調査室に勤務した当時は二度の政権交代が行われた。
 与野党の対立軸からイデオロギー闘争という牙が抜かれるようになると、政治的対立の真相を究明しなければならなくなる。一方でイデオロギー闘争に支えられた反原発運動の裏面も垣間見てきた。
 そしてその経験が退職後、衆議院議員の政策担当秘書という形で役立つことになった。政界再編という現実が、物事を両面から、あるいは多面的に見る習慣を身につけさせてくれた。現実に目を向けると多くの難題が山積しているが、その中でもエネルギー問題と、これに影響を受ける産業は待ったなしの状況にある。「これからのこの国の姿を描きなおす」。そして将来、この国を支えて行こうとする人が暮らしやすい社会にするには、国家の形はどうあるべきか……。真剣に考えて記したのが本書である。この国の宝は叡智と技術と勤勉さである。これが失われた時、国際社会では国家として必要とされない時が来る。その前に何をすべきか……その一隅に光を当ててみた。   <濱 嘉之>【講談社ミステリーの館】2012年3月号 

| | コメント (0)

2012年3月 7日 (水)

高里椎奈さんの新作ファンタジーシリーズ開始

 こんにちは、高里と申します。お邪魔いたします。3月初旬に講談社ノベルスさんから、新作ファンタジー、『アケローンの邪神』を出させて頂く事になりました。
 以前、書かせて頂いたファンタジーは人と国のお話でしたが、今作は少し、剣と魔法よりです。呪文と共に指先から格好よく炎を飛ばしたり、剣に稲妻が迸ったりはしませんが、この世界の『魔法』とはどんなものか、シリーズを通じて、一緒に探して、考えて、見付けて頂けたらいいなと思っています。第一巻は新たな世界の序章となります。海の端に位置する島国と、統治する王、構成する民族、そして、これから人生を大きく変えていく人達の始まりの物語を皆様の許に迎えて頂ければ幸いです。
 追伸。懐かしい顔と再会する事がありましたら、心の中でそっと手を振って頂けたら嬉しく思います。【講談社ミステリーの館】2012年3月号。

| | コメント (0)

2012年2月17日 (金)

著者メッセージ:大山淳子さんTBS・講談社第3回ドラマ原作大賞受賞作『猫弁』

  はじめまして。『猫弁』を書いた大山と申します。去年、この小説で原作大賞をとり、このたび初出版となりました。授賞式で、TBSの役員さんから「猫の弁当の話?」と聞かれました。 ちがいます。猫がいっぱいいる弁護士事務所のお話です。主人公・百瀬太郎は、天才レベルの頭脳の持ち主です。しかし生き方は不器用で、常に損を引き受けるお人好し。そんな百瀬が前代未聞の霊柩車ジャックの謎にせまります。貧乏で冴えない独身男の百瀬と、彼をとりまく人々の悲喜こもごも。 思わず笑顔のホット・ラストな物語です。想定外の展開に、書いている
 自分が励まされました。読んでいただけば、きっと元気になれると思います。4月にはドラマが放映されます。脚本も担当しました。小説とドラマ。いろいろと変えてあります。読んでからドラマを見て、違いを楽しんでください。見たあと読むのも、一興です!(大山淳子)
(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年2月15日号より) 


| | コメント (0)

2012年2月 7日 (火)

第46回メフィスト賞!北夏輝さん「恋都の狐さん」

はじめまして。北夏輝と申します。 『恋都の狐さん』の単行本化が決まり、今は関係各位への感謝の気持ちでい
 っぱいです。 第46回メフィスト賞をいただいたこの作品の舞台は古都奈良、季節は早春で、その時期の奈良のイベントについても触れています。私はもともと神社仏閣・祭礼行事が好きで、学生生活を送るかたわら、いく
 つもの行事に足を運んでいました。本作を執筆しようと思い至ったのも、そのような経験と奈良への愛着からです。奈良はとても良いところです。観光名所がたくさんあるし、住んでいらっしゃる方々の気性は穏やかだし、奈良
 漬や柿の葉寿司や葛餅など特産品もたくさんあります。おまけに鹿の観察にも最適です。時期によっては可愛い子鹿を見ることもできますよ。
 本作の刊行にあたり、本当に多くの方々にお世話になりました。執筆とは直接関係のないところでも、いろんな方に支えていただいています。『恋都の狐さん』を読んでふんわりとした癒しを感じていただければ、作者として至
 上の喜びです。これからも、周囲の方々や読者の皆様がちょっとでも楽しい気持ちになるような作品を書きたいと思います。まほろばの地から、読者の皆様の幸福を祈っております。<北夏輝>【講談社ミステリーの館】2012年2月号より。


| | コメント (0)

2012年2月 6日 (月)

二階堂黎人さん『覇王の死 二階堂蘭子の帰還』について

 『覇王の死』は、名探偵・二階堂蘭子シリーズの最新長編です。〈ラビリンス・サーガ〉 の完結編でもあります。
 この四作を通じて、私は徹底的に、昔の探偵小説(江戸川乱歩や横溝正史が書いていたようなもの)の面白さを復活させることに心血を注ぎました。現代の観点からするとリアリティがないと批判を受けるかもしれませんが、それは覚悟の上です。状況設定や推理の論理性なども、あえて多少緩く提示してあります。しかし、その分、物語展開のダイナミックさや事件全体の神秘性を強調してあるわけです。
 その結果、『双面獣事件』やこの『覇王の死』などは、本格ミステリー史上 あまり類例のない、希有な作品に仕上がったのではないかと自負しています。
 〈ラビリンス・サーガ〉に通底する秘密は、第二次世界大戦の際に日本の軍部が画策した〈M計画〉です。戦争に勝つためのこの恐ろしい研究が、ラビリンスという悪魔のような犯罪者を生み出し、世の中に数々の恐怖を与えました。『覇王の死』では、その〈M計画〉の首謀者も登場して、事の真相がほぼ明らかになります。
 また、御存じのとおり、二階堂蘭子シリーズには、常に密室殺人を代表とする不可能犯罪が満載です。『覇王の死』にも密室殺人が二つ出て来ますし、舞台となる村では異様極まりない惨劇が次々と起き、前代未聞の不可思議が登場人物たちに襲いかかります。そういう意味では、読者の期待を裏切ることはないと思います。
 読者の皆さんもぜひ、蘭子さんと一緒に――いいえ、彼女に先駆けて――この大事件の真相を推理してみてください。 <二階堂黎人> 【講談社ミステリーの館】2012年2月号より。
 

| | コメント (0)

2012年2月 3日 (金)

著者メッセージ: 円城塔さん 『道化師の蝶』

  円城塔と申します。第146回芥川龍之介賞を頂きまして、身辺不意に騒がしくなったりしておりますが、現実感が追いつきません。(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年2月1日号より)
  すごいな。というのは当今の印刷技術で、既に受賞作が単行本になっています。当初、2月の21日に刊行という噂をamazonで見かけ、それが2月の1日となり、最終的には、1月26日には店頭に並びはじめるらしいということになり。
  そんなスケジュールを小説に書くと、リアリティがない、と言われそうです。いくらなんでも一週間と少しで数万部の製本は無理ではないか。こうして実際目にしてみても、「魔法か」という気分が抜けません。
  事実を書いてもおかしく見える。リアルに見えない。書き方が悪いのではと考えても、本ができ上がるというだけの話です。他の書き方はむしろない。
 してみると、言葉というのはどこかおかしなものなのではと思うわけです。現実に合わせて言葉自体も変わっていくし、読まれ方も変わっていく。
  こうして戸惑う自分の言葉は、まだまだ現実に追いつかないな、と思うわけです。主にそんな戸惑いを軸に書いてきました。もしも著作をお読みいただき、戸惑い、笑って頂けたなら、それ以上の幸せはありません。(円城 塔)

| | コメント (0)

より以前の記事一覧