2018年2月 1日 (木)

赤井都さん言壺便り-2018・01・31

  2018年も「言壺便り」をよろしくお願いします!
  1月ほぼ一カ月間という長い会期を、Le Petit Parisienというオープンな書斎でいただいて、窓際で展示販売を
させていただきました。たくさんのご来場、ありがとうございました。蔵書票は50枚入れたのが40枚も売れて、
アリスも人気でした! ありがとうございました。小さな机の上に豆本を置いて、引出しの中に版を入れ、奥に古書があるという眺めが私自身とても気に入りました。
  展示では、私の作品の他に、稲垣足穂の貴重な本の数々が展示されました。出版された当時は、こんな装丁だったのかー、とか、こんな対談集出てたんだ、などの珍しいものが見られました。古い文字組で『弥勒』を読みました。
  基本お任せしていて、私は行ける時に遊びに行ったのですが、だいたい行けるのが金曜の午後になるパターンで、展示本を一冊ずつ手に取って読書をしていました。
  会期中、書斎のオーナーさん、古書の出品者さん、私の三人での雑談会もしました。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。テーマがあって複数の人と話すということ、新鮮でした。特に演台とかもく同じ高さで本棚の間に皆で椅子を並べて座るという距離感が良かったですね。もっといろいろとお話したりお聞きしたりしたかったのですが、なにしろ時間があっというまでした。
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■最近のはまりごと
  実用書をばらして、綴じ直すことにはまりました。ストレッチの本など、超実用の本。ハンズフリーで見たい
のですが、背が固くて、両側を押さえておかないと勝手に閉じてしまう本。その本のページを一枚ずつばらして、
和紙で折丁の形になるように足継ぎして、針と糸で綴じてぱかっとどこででも開いて手を離して見られる本になりました。一冊綴じ直すのは、乾かす時間があるので、二日間必要です。
  書斎ではなく、茶の間に置いて使うので、無地の革や布など、インテリアとして溶け込む素材で表紙をつけました。
  すると、とても使いやすい、自分の本になりました。これまで、本の改装は、本を芸術にするルリユールの視点
で習ったまま、そのイメージで来ていましたが、アートになりそうもないガチな実用書を、自分の利用に便利なよう
に、物として変えていいんだ、と思ったら、とても自由になりました。綴じ直せば、便利です。製本は生活を豊かに
する技術だなと思いました。教室でも、本の改装をもっと教えていきたいです。そのうちブログにも書きたい話。
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2018年1月16日 (火)

村上春樹のレイモンド・チャンドラー翻訳

  そして力を尽くして『ロング・グッドバイ』を翻訳したわけだが、僕の新訳に対する風当たりは思いの外きつかった。まずだいいちにこの作品には清水俊二さんの『長いお別れ』という優れた翻訳が先行してあり、多くの人がその訳書を通してこの作品に親しんでいた。

 これは野崎孝さん訳の『ライ麦畑でつかまえて』(拙訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』)についても言えたことだが、このようにいわば神格化された優れた既訳があるときには、新訳は厳しい逆風を受けることになる。それらの訳書を読んで感銘を受けていた読者は、自分にとっての神聖な領域に、見知らぬ人間に土足で踏み込まれたような不快感・抵抗感を抱いてしまうからだ。その気持ちはわからないでもない。僕だってやはり野崎さんの『ライ麦畑』や清水さんの『長いお別れ』で育ってきた世代だから。

 ただ翻訳というものは、経年劣化からは逃げられない宿命を背負っている。僕の感覚からすれば、おおよそ半世紀を目安として、ボキャブラリーや文章感覚のようなものにだんだんほころびが見え始めてくる。僕が今こうしてやっている翻訳だっておそらく、50年も経てば「ちょっと感覚的に古いかな」ということになってくるだろう。

《参照: 準古典小説としてのチャンドラー 村上春樹氏寄稿(下)

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2018年1月15日 (月)

村上春樹がチャンドラーの7編翻訳完了

作家の村上春樹氏が10年がかりで取り組んできた米作家レイモンド・チャンドラーの長編全7作品の翻訳が完結した。ハードボイルド小説というジャンルを切り開いたチャンドラーは多くの作家に影響を与え、現代文学の古典として世界で読み継がれている。ーーと日本経済新聞が、彼のエッセイを掲載。

ーー  最初に『ロング・グッドバイ』を翻訳出版したのが2007年で、それから10年かけて、自前の小説を書いたり、他の作家の翻訳をしたりする合間に、少しずつ暇をみつけてはチャンドラーの翻訳作業を続けてきたわけだが、そのあいだ「もうやめちゃおうか」と匙(さじ)を投げたくなるようなことは幸いにして一度もなかった。出版社から一度も催促されることなく、自分のペースでこつこつと自主的に翻訳を続けてきた。
 どうしてか? チャンドラーの作品に終始一貫して強く惹(ひ)かれていたから……としか言いようがない。そして7作全部を訳し終えた今、あたりを見回してほっとすると同時に、「ああ、これでおしまいか。もうこれ以上訳すべき作品はないのか」と思って、なんだかがっかりしてしまうことになる。チャンドラー・ロス、とでも言えばいいのだろうか。ーー
《参照: 普遍にして固有のヴォイス 村上春樹氏寄稿(上)日経2018/1/3》

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2017年11月10日 (金)

東浩紀『ゲンロン0 観光客の哲学』第71回毎日出版文化賞を受賞

   東浩紀著『ゲンロン0 観光客の哲学』が第71回毎日出版文化賞を受賞した!本日11/3(金)の毎日新聞朝刊にて、鷲田清一さんのコメントとともに『ゲンロン0』の受賞が発表された。
 《参照:第71回毎日出版文化賞 受賞作決まる
本書は、根底にポストモダン思想からの延長線上のものであることを、冒頭部で述べられている。
【ポストモダン】とは。
  現代という時代を、近代が終わった「後」の時代として特徴づけようとする言葉。各人がそれぞれの趣味を生き、人々に共通する大きな価値観が消失してしまった現代的状況を指す。現代フランスの哲学者リオタールが著書のなかで用いて、広く知られるようになった。
  リオタールによれば、近代においては「人間性と社会とは、理性と学問によって、真理と正義へ向かって進歩していく」「自由がますます広がり、人々は解放されていく」といった「歴史の大きな物語」が信じられていたが、情報が世界規模で流通し人々の価値観も多様化した現在、そのような一方向への歴史の進歩を信ずる者はいなくなった、とされる(『ポスト・モダンの条件』1979年)。
  また、ポストモダンという言葉は、ポスト構造主義の思想傾向を指す言葉としても用いられ、その際はポスト構造主義とほぼ同義である。唯一の真理をどこかに求めようとする思考を徹底的に批判しようとしたデリダ、近代は自由を求め拡大したのではなく、むしろ人々の内面と身体を管理する技術を発達させたと述べたフーコーなどは、共に、近代的な物語を解体しようとした思想家として見られるからである。 (西研 哲学者 / 2007年)

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2017年10月 8日 (日)

「工場と時計と細胞」(「相模文芸」33号)とセガ労組活動=外狩雅巳

  セガ・エンタープライゼス社での労組公然化活動の記録。それを題材にしたのが、「工場と時計と細胞」で青春の一時期を記録した作品です。
  当時、中央労働学院の同級生を誘い入社させた仙洞田氏。彼の作品『忘れ火』の素材こそあの70年安保の時代です。
 『民主文学11月号』で連載も11回目になりました。私の記録と重なる部分を描写したが多くなりました。
 当事者の私には、当時の事実を下敷きにした事がよく判ります。古参幹部の回顧部分などに事実の数々を読んでいます。
 懐かしさで胸が一杯になり涙を拭いながらの読書です。そうした労働者達の築き上げた革新勢力の一端です。
それが今回の選挙情勢の中で困難な環境になっています。リベラルとか共産党とかは禁句となりそうな世の中です。
  当時は純粋に働く人の報われる社会を呼びかける事でした。しかし、中国等の社会主義国の現状が批難されています。総選挙の争点となり声を上げるのもはばかれる現状です。「詩人回廊」に、そのベースを連載し、それを編集して「相模文芸33号」に掲載した作品です。
 あの70年安保闘争の高揚の再来を切望し書きました。高齢者になり国の未来に不安を抱きながら生きています。22日の総選挙開票を固唾を飲んで待ち続けています。


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2017年10月 6日 (金)

<ノーベル文学賞>「日本はもう一つの古里」イシグロさん

 「でも、英国でも米国でも、この小説を自分たちに今起こっていることとして読んでくれる人は多いですよ」と語った。日本でも記憶を奪おうとする動きがあることを感じたはずだ。だからこそ、その作品群は、世界はもとより現代の日本人の胸に深く響く。最後に「私の底には、子ども時代があります。もう一つの古里です」とほほ笑んだ。【鶴谷真】
《参照:毎日新聞<ノーベル文学賞>「日本はもう一つの古里」イシグロさん

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2017年10月 5日 (木)

赤井都さんが新作『一千一秒物語』予約受け付け開始

  赤井都メールマガジンより=三省堂書店神保町本店一階での一週間の催事「そっと豆本、ふわっと活版6」無事に好評終了しました。おいでいただいた皆さま、お世話になった皆さま、ありがとうございました。今年で6回目なんですよ。
  去年は、2016年のミニチュアブックソサエティの賞状を飾って、『雨ニモ負ケズ』初売り。その前は、受賞作となる『月夜のまひる』を新作として出品し、皆様と出会いを作っていました。絵を販売し始めたのもこの時が最初でした。今年は、香港からいただいた木製ミニプレスなどを飾り、新作は『一千一秒物語』。見本しかできていないので、予約を受け付けました。 言壺便りでも、ご予約を受け付けます!
  『一千一秒物語』販売価格 4万7千円。ご予約金として内金1万円をお支払い下さい。お振込か、カードへの請求をペイパル経由のメールでお送りすることができます。
  年明け頃に、品物ができましたら、残りの3万7千円をお支払い下さい。限定12部の制作です。全12巻の巻物が、三段の引出しの中に入っています。マグネットを利用して、一巻ずつ枠にセットして読書します。
  文章と絵をそれぞれに印刷した雁皮紙を二枚貼り合わせた本文紙です。文字部分はレーザープリンタ、絵は活版とドライポイントです。全巻にわたり、グラデーションカラーの挿絵が多数入っています。函には、純金箔、革モザイク、マーブル紙を使用しています。断面は割れてこないように、ろうをつけました。
作品画像はーこちら「外観」「中観」ーをご覧ください。
  金箔押しとモザイクは池袋のデコールレッスンに2年通って、ようやく直線と直角と、そして小さなワンポイントを押せるようになりました。先生にも画像を送ったところ、コントロールがお見事です、とお返事いただいて、とても嬉しいです。ご指導の賜物。クラシックバレエで、体幹が鍛えられたのも良かったのかも。
  ご予約は、このメールにリプライでお申し込み下さい。作るのが大変なので、まずご予約いただきましたら着手します。材料費もかかったので、ご予約金をいただくと助かります。
  ちなみに、豆本を作った後でまだ使えた凸版で、絵はがきを印刷しました。テキンでガチャガチャと、和紙にグラデーション印刷しました。東京堂書店で委託販売します。『孤独』抜き刷りも、販売します。こちらは豆本を作った残りのページで、枠にぴんと張り詰めた雁皮紙が美しいです。
  

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2017年9月17日 (日)

中村文則さん「R帝国」インタビュー(東京新聞)

「朝、目が覚めると戦争が始まっていた」―。物語は、隣国の核兵器発射準備をR帝国が空爆で阻止したニュースで幕を開ける。
 R帝国は″党″と呼ばれる国家党が強権体制を敷いている。民主主義の体裁を取るために存在する野党で議員秘書を務める栗原は、戦争の背後に党の思惑があることを知り、抵抗組織「L」と行動を共にする。
 R帝国には、ヒトラーやスターリンのような独裁者が存在するわけではない。「空気と流れで、いつの間にか全体主義的になってしまう、『日本的な独裁』を描いた」と中村さんは説明する。その風刺が痛烈だ。
 例えば「人権」「真実」など、党にとって都合の悪い言葉は「うさんくさい」「青臭い」「格好悪い」といった負のイメージを植え付けられ、無効化される。党を支援する「ボランティア・サポーター」たちは、指示されなくても党の意向を″忖度(そんたく)″し、反政府的だと判断した人々への過剰な悪口をまき散らす。
 信憑性(しんぴょうせい)の乏しいネット掲示板のうわさに飛び付き、喜々として攻撃を繰り返す男性が吐き捨てるように言う。「事実? そんなものに何の意味がある?」。フェイクニュースがまん延し、国や政権に批判的な言動がネットでたたかれる現状を想起させる描写だ。
 「強い国と一体化したい、という人々の願望が大きくなっている。もはや日本はR帝国になっているのかもしれない」と、中村さんは懸念を隠さない。
 《「2017-09-15 「空気」が支配する島国 / 長編小説『R帝国』 

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2017年8月29日 (火)

赤井都さん「そっと豆本、ふわっと活版6」(三省堂・神保町)

前号(6月発行)では、新作のレイアウトをしていました。今、8月、印刷まっただなかです。活版印刷と、パソコン
プリントと、ドライポイントの3種類を組み合わせる計画で、とにかく計画と自分を信じて、一枚ずつ刷るのみ。
部屋を広く使って、印刷紙を乾かしています。これを製本する段階のことまでは、今は心配できる余裕は
ありません。今の印刷のことだけ考えています。
結局、気持ちが入るとか、集中するとか、そんなことで
結果が変わる気がします。9時から5時までやったから結果が必ず出るような仕事のタイプではないのです。
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■次のイベント予定
「そっと豆本、ふわっと活版6」
会 期 2017年9月26日(火)-10月2日(月)
会 場 三省堂書店 神保町本店 内 1階神保町いちのいち
Creator'sTABLE(シーズテーブル)
出展者 赤井都、Bird Design Letterpress 
協力:andantino、弘陽(三木弘志)
活版印刷ワークショップ、豆本ワークショップ同時開催
ご期待下さい!
この時に、新作豆本を持っていければと思っています。
小さな本の教室は9月2日と16日、一席ずつ空いています。この機会にぜひどうぞ!
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■言壺便りについて
最近、ふと気づいた「お化粧」ということ。全部断捨離してしまっていたので、新しいのを買いそろえたら、今のお化粧品の進化はすごくて、肌ストレスもなく、快適です。かわいくなるので、お化粧をするのが楽しいです。自分のために、自分で好きですることは楽しい。
製本の時は、万一の色移りを考えてしないですが、イベントの時なら構わないかなと考えるようになっています。
そして、エレガントなゴス服を手に入れました。バレエで、「ハイウエストから体を使う」ということを再三言われて、
コルセットに興味を持ったのがきっかけです。着たいと思える服に出会ったのも久しぶり。着て出かけるのが楽しみです。

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2017年7月 4日 (火)

末井昭「素敵なダイナマイトスキャンダル」映画化へ

  編集者で作家の末井昭(すえいあきら)さん(69)が、豊富な話題を振りまいている。五月には新作エッセー『結婚』(平凡社)、『末井昭のダイナマイト人生相談』(亜紀書房)の二冊を同時発売。三十代までの半生をつづった『素敵なダイナマイトスキャンダル』は来年春の映画公開が決まり、ちくま文庫から原作が復刊された。(東京新聞7月1日)
 編集者で末井昭氏を知らない人はいないであろう。30代までの自伝 「素敵なダイナマイトスキャンダル」は、--芸術は爆発だったりすることもあるがのだが、僕の場合、お母さんが爆発だった」ではじまる。
 末井さんの母親は、昭氏の幼少期に、隣家の若い不倫相手とダイナマイト心中自殺したのである。ダイナマイトが身近にある環境と言えば炭鉱生活である。エロ本業界で猥褻出版で幾たびも警察に呼び出された。そんな雑誌のひとつ「写真時代」で、荒木経l惟氏を起用し、80年代にアラーキーの芸術が世に広まった。ただし、末井編集長のところには読者から、荒木の写真では、オナニーで抜けないーという苦情がきたという。たしかにエロいの種類が違うのである」。
 アラーキーが世に出始めると、エロ雑誌は不況になり、末井氏はパチンコ雑誌を編集してしていた。その後、は「自殺」を刊行しヒット。
■関連情報=作家と編集者の理想の関係
末井昭ブログ「結婚」
 こう紹介する自分は、マーケティング関連の雑誌の編集を手伝っていたが、ある人から、「あなたに似たような編集感覚のひとがいる」と、 「素敵なダイナマイトスキャンダル」を貸してくれた。そこで、知ったのでのである。「何かを表現するっていふうに性格がなって行ったのは、母親がいたからっていう感じがありますよね。内向的になったていうか」(前掲・東京新聞)とある。三つ子の魂ができる以降の母親喪失の影が感じられる。

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