2017年4月28日 (金)

村上春樹さん「翻訳は究極の熟読」

  「好きに書く小説と制約の多い翻訳、という相反するものをバランス良くやることで、心地良いリズムがつくれる」と翻訳の効用を力説。「物をつくる人間にとって怖いのは『井の中の蛙』になること。外に開かれた窓のような翻訳作業を大事にしたい」と語った。
 このほか自らの翻訳作品や新作小説「騎士団長殺し」の一節も朗読。翻訳家の柴田元幸さん(62)を迎えた対談では時折ユーモアを交えた語りで会場を魅了した。
《産経:村上春樹さん、翻訳について語るイベント「翻訳は究極の熟読」

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2017年4月23日 (日)

真田左近 元公安刑事・自衛官の作家

 現代的な自衛隊や公安警察の体験者である作家の意見~公安は相変わらず共産党を調べるのが仕事らしい。主婦のパートでも雇った方が効率的なのでは。東京新聞・中日新聞(4月22日付け朝刊)《真田左近 元公安刑事・自衛官の作家》より。
-まず一般にはなじみのない公安警察とは何かについて教えてください。
 左翼や右翼の情報、スパイ・テロなど外国からの脅威、デモ取り締まりや要人警護をするセクションで、それぞれ公安、外事、警備と呼びます。戦前で言えば特高警察。全国の警察本部に警備部や公安部があって各警察本部ではなく警察庁の指揮下にあります。静岡は県警本部警備部に公安、警備、外事の三課があり、清水分庁舎に「裏公安」と呼ぶ協力者づくり専門の作業班がいて、獲得した協力者に定期的に接触します。裏公安は大きな署にもあります。
 -警備の仕事内容は?
 藤枝署警備課の担当は文書(庶務)と共産党、極左、特対(特殊組織犯罪対策)、外事、右翼、(警備)実施、災害対策に分かれていて、私は配属時は文書担当でした。共産党員など視察対象者の情報をまとめて本部に「逓送」する仕事です。視察というのは監視のことで内部では対象団体の構成員を「マル対」と呼び、逓送は警察内部の文書を警察車両を使って本部や警察署間でやりとりする部内郵便のことです。
 -担当はきちんと決まっているのですか。
 課長含めて五人の小さな組織ですから何でもやりました。監視する組織には番号があって一は共産党、二は右翼、三は外事、四は極左、七はカルトなど特対。番号の割り振りは時々入れ替わります。マスコミと接触するなど不穏な動きのある警察官がいれば二十四時間監視もやります。
 -最も重視されるのは?
 監視組織の協力者獲得です。かつてはマル対にもAからFまでの六段階と最後にZがプラスされて七段階の格付けがありました。共産党で言えばAが国会議員や中央委員、Bは県委員など、Cは一般党員。A~Cは党員ですから「M」と呼びます。メンバーのMですね。DからFはシンパで、ランクはその度合い。Zは活動休止状態や脱党、除名された党員です。藤枝署管内だけでも左翼右翼計千人以上の視察対象者がいるので、活発に動いていて将来性のある人に絞って作業をかけます。二十歳前後の出世しそうな人につばをつけたいですね。

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2017年3月30日 (木)

綾辻行人さん「新本格派」ミステリーで30年。50代のうちに…

  第一世代としてブームを先導したのは、60年前後に生まれた作家たち。綾辻さんは「リアルタイムで書かれていた日本のミステリーに、物足りなさを感じていたという共通体験がある」と振り返る。当時は社会派推理小説の全盛時代で、本格ミステリーは少数派だった。「絵空事としての探偵小説は程度が高くないという空気の中で、トリックや驚きに奉仕するミステリーもあっていいと思う人が書き手に回った」
 新本格の作品群は、一部のファンから批判を浴びながらも、多くの読者を獲得していく。92年には綾辻さんが「館」シリーズの『時計館の殺人』で日本推理作家協会賞を受賞。94年には京極夏彦さんが持ち込み原稿から『姑獲鳥うぶめの夏』でデビューを飾ると、講談社が95年に募集を開始した「メフィスト賞」は、第1回受賞者の森博嗣さんをはじめ、多くの作家を生んでいく。第二世代の作家の活躍で流れは確固たるものになった。
 その後も「新本格」はホラーやSF、ライトノベルなどとのジャンルミックスを繰り返し、ミステリーの世界を広げてきた。「魅力的な謎がロジックによって解き明かされ、サプライズがある。その形は普遍的に面白いし、他の文芸ジャンルにも取り込まれている。書き手も多様で、30年前より楽しい状況だと思います」
「館」シリーズ最終作に意欲
 デビュー30年の節目に刊行した『人間じゃない』(講談社)は、都市伝説をテーマにした「赤いマント」や、ホラー色の濃い表題作など単行本未収録の5編を集めた作品集だ。1993年から2016年まで時期は様々だが、「芯は通っている」と語る。
 印象深いのは、06年に宇山さんの急逝を受けて書かれた中編「洗礼」だ。「すごく喪失感が大きくて、ミステリーが書けなくなってしまうのではという気持ちがあった。何とかここで踏ん張らなければいけないと思った」。犯人当てゲームをテーマとした作品には、自らを見いだした恩人への追悼の思いがにじむ。
 本格ミステリーと幻想小説やホラーを車の両輪のように書き続けてきたが、近年は『Another』(角川文庫)などホラーや怪談が増えつつある。一方で、全10作と構想した「館」シリーズについても、最後の1作の刊行に意欲を燃やしている。
 「年を取ると“本格”は難しいので、50代のうちには、という気はしています」
The Yomiuri Shimbun3月27日「ミステリー」開拓した30年…綾辻行人さん

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2017年3月21日 (火)

小説すばる新人賞 高校2年生の青羽悠さん

愛知県生まれ。広大な星空にあこがれる科学少年だった。宇宙の研究者を夢見たこともある。「『何かになりたい』という漠然とした夢がずっとあった。その気持ちを形にしたい-と思ったとき、小説だったらパソコンさえあれば始められるなと」。高校入学直後から1年かけて、こつこつと言葉を積み上げていった。

 『星に願いを、そして手を。』の主役は宇宙好きだった幼なじみの男女4人。科学者への夢に手を伸ばし続ける女子大学院生、あこがれに区切りをつけた公務員…。大切な人の死をきっかけに再び集まった20代半ばの男女の現在と過去を描き、夢を追う喜びと痛みを浮かび上がらせた。登場人物の一人と同じく、自身も理系だった進路を、4月の3年進級時に文系に変える。
《産経:小説すばる新人賞 高校2年生の青羽悠さん

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2017年3月20日 (月)

『どうで死ぬ身の一踊り』2006年から始まった西村賢太さん

  一部抜粋ーー七年後、三十六歳になった私は小さな同人雑誌に参加した。はな、清造の作品論を書くつもりが、ひょんな流れからヘタな私小説を書いていた。

 三作目が『文學ぶんがく界』に転載され、そのまま他の商業文芸誌に書き続ける機会を得たことは、私にとって幸であったか不幸であったか分からない。しかし、これまでどの作も或ある熱情をこめてものしてきた。書き手としては当然のことながら、私の場合は自任し、筆にものせている“清造の歿後ぼつご弟子”なる囈言たわごとを、決して不様な囈言だけでは終わらせぬ為ための理由もある。ーー
《参照:The Yomiuri Shimbun『どうで死ぬ身の一踊り』2006年 西村賢太さん

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2017年3月11日 (土)

 黒川創さんが長編小説「岩場の上から」を語る 

新刊の「岩場の上から」について語る著者の黒川創さんは、「ディストピア(反ユートピア)小説として書いたつもりはない。今とそんなに変わらないでしょう」と語る。
  小説『岩場の上から』(新潮社)の中で描いた社会は、2045年、「戦後百年」の日本。原発事故のあった福島は廃炉作業が難航している。全国の原発は使用済み核燃料であふれ、最終処分場の用地も決まらない。自衛隊は軍隊となり、「積極的平和維持活動」という名の戦争に加わっている-。「未来と過去はシンメトリー(対称)。過去から演繹(えんえき)して三十年後を描いた」という物語。
 「原子の問題というのは、小説に扱うにしろ報道で扱うにせよ、ものすごく面白くない問題なんです。」放射能の威力はいまでも変わらない。「多くの人はそのつまらなさに耐えられないんです」と黒川氏。
(東京新聞2017/3/9 夕刊 。-過去を通じて捉える30年後 黒川創さんが長編小説「岩場の上から」>より。
 そのつまらなさを報じているのが《「暮らしのノートITO:ITOのポストモダン的情報》である。
あと一つで400本目の記事になる。達成したら、ここに記念コメントでもしますか。

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2017年3月 1日 (水)

やっていくことについて=赤井都さん

   先月は発行をお休みしたので、新年の抱負をすっとばしてもう2月も終わりです。いろいろなことがありました。
   2年間お世話していた地域猫さんが猫同士のバトルの果てに亡くなって、一気に無常観が強くなりました。『ブッダの言葉』を読んで、執着しないようにと思っています。日常生活を続けたいと思って続けて、仕事があって、そして感じるのが、私は人を楽しませる仕事をしているということです。人に喜んでもらうことが私の仕事です。人生って、やってもやらなくてもいいようなことであふれていて、でも一生懸命に抱え込んだり一喜一憂したりしていません? 人生の時間をどう過ごすか? これは前から私のテーマですが、死を感じるといっそう身に迫るものとして考えます。結論としては、今を楽しむ、今を生きようと思います。満足感は、社会や身近な人との関わりの中で生まれていると感じます。
  私は物を作る人なのに、執着しないというのは我ながら不思議な気もしますが、今を楽しむための物づくり、というスタンスです。
  人生が豊かになって、濃い時間が流れるような、そんな物づくりをこれからもしていきたいと思います。
  自分のスキルを役立てて、本の保全をLe Petit Parisienという書斎で行いました。自分の特殊能力が役に立ちました。
  革表紙がツヤッとして、本棚に映えています。
  朝日カルチャースクールでの『雨ニモ負ケズ』豆本を作る二時間講習も、皆さん良い笑顔で、いろいろとお話されて帰られて、とてもよい時間になったなと嬉しかったです。
  私自身は、これまで時間がなくてなおざりだったファッションを楽しんだり、大人バレエで自分の体と向き合ったりしています。コンタクトデビューもして、毎日が楽しいです。
  コンタクトのつけはずしをする時、私っていつのまにか器用になったなあと実感しました。
  行徳新聞、いちかわ新聞で紹介されました。地元でいつも読んでいたフリーペーパーへの掲載、嬉しいです。
  1月に本のスケッチを、スケッチブック2冊分描きました。
  今は、石と水の絵を、毎日2枚ずつ描いていますが、見ると辛いような絵になってしまっています。これはそのうち豆本になるのかならないのか。
  今年の遠い目標は、『一千一秒物語』全集を作ることです。
  デザインは決めて、今は箔押しとモザイクの技法を少しずつ学んで、力をためているところです。
  在庫ぎれになった『雨ニモ負ケズ』を少しずつ製本したり、通販対応したり、一人の手でできる小さなことを、地道に積み重ねています。
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■この先のイベントの予定
 4月末~5月のゴールデンウイーク、名古屋へ行きます。
豆本と活版のイベントです。私が行く日は5月7日(日)の予定です。
 9月末~10月初め、三省堂に出ます。
 10月末、香港に呼ばれて行きます。
 小さな本の教室のプライベートレッスンは随時受け付けています。
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■言壺便りについて
 私の今年2017年の目標は、今しかできないことをする。
 素顔が笑顔の人になる

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2017年2月24日 (金)

吾輩は孫である ~夏目房之介さんと漱石~と春樹もの

吾輩は孫である ~夏目房之介さんと漱石~
  この記事の面白さは、普通の人には、体験できない、いわゆる非日常性である。村上春樹のの新作が中味がわからないまま、ベストセラーになりそうだという。彼の作品も誰にも体験できないような非日常性の人物が描かれるのではないか。それだから気軽に読める。自分は、初期先品で読むのを止めてしまったので、その後の変化と熟練を知らない。ロスマクやハメット、チャンドラーの翻訳の方が文学的に思える。

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2017年2月12日 (日)

消耗品でなく、読んでもらう努力の小野友貴枝「夢半ば」日記

   「夢半ば」(小野友貴枝)日記」の4巻を刊行して以来、各方面に働きかけ、その努力の地元の書店が店頭に平積みしてくれるほどだという。《参照:「夢半ば」日記知名度が拡がる=小野友貴枝
  まさしくライフワークとしての作家活動の読んでもらおうという意欲は、称賛にあたいするであろう。作品は消耗品ではないということを自ら証明してるのである。
 内容的にも、少女少年時代の記憶というのは、事実と同じとは限らない。しかも、大人になると自分の子ども時代の心理を忘れて失ってしまう。そのため親子の対話を成立させるためには、学ばねばならない。もし、少年期を覚えていれば、学ぶ必要はないのかも知れない。世代の断絶も減らせるかもしれない。そういう意味で思春期のナマの記録は検討にあたいするであろう。

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2017年2月10日 (金)

ピース・又吉、芥川賞受賞後第1作はまだだったのか

 「火花」に続く2作目の執筆について聞かれた又吉さんは、〈今はだいぶ終盤で書き直してるところ〉と作品が仕上げ段階に入ったことを明かしている。
絶対一つ目より難しい
 芥川賞を受けた「火花」は、売れない若手芸人2人の輝きと挫折を描いた切実な青春小説だった。人気芸人の又吉さんが自らの実感を交えながら、「笑いとは何か」を真摯(しんし)に探究しているのも話題を呼んだ。
 当然次作の内容に興味は向かうが、執筆中ということもありインタビューでは新作のタイトルや題材、具体的な発表時期・媒体などは触れられていない。ただ、「火花」の予想を超える反響がもたらした次作へのプレッシャーや迷い、悩みについて、飾らない言葉で率直に語っているのが興味深い。
 ピース・又吉、芥川賞受賞後第1作の完成迫る 「文学界」のインタビューで明かす(産経新聞)

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