2017年12月13日 (水)

同人誌評「図書新聞」(12月2日)評者・越田秀雄氏

動物は〈日常〉を命がけでつくる。自然の摂理に逆らわず〈常〉なることを旨とする。が、人間様だけはそうと知りつつ日常を疎んだり自ら破壊したりする。
 芥川賞『影裏』(沼田真佑)は、日常をつくることができず親からも見捨てられた男が、日常を根こそぎ奪う大震災で行方不明になる。この男になぜか惹かれた主人公がただ一人、捜索に奮闘する。“影裏”は無学祖元禅師の「乾坤無地卓孤  且喜人空法亦空 珍重大元三尺剣 雷光影裏斬春風」にある。空で空を斬るがごとし――作品との関係はご随意に解釈を。
  『小さな侵入者』(「嵐」22号/水上あや)は、主人公の庭に闖入し一人遊びする幼児の話。母は、夫が酒乱・DVで、夫に居場所を知られるのが怖く、保育所にも預けられない。母に逃げ場はないが子はもっとない。
  『ミタラシ』(「てくる」22号/南埜乃)のタイトルは飼い猫の名。離婚した女が、とにかく二人の娘を高卒まで導いた。が、期待の星、画家志望の長女はカラブリ。問題児の次女は職につかず、母が見つけてやるとその職場の男と出来て孕む。流産、そして自殺未遂……救いは理屈抜きの母性愛とミタラシだけ。
 『恋路の闇』(「VIKING」801号/永井芙佐子)の主人公の父は日常をつくれず自殺。母が再婚も、娘と義父との関係は良好、思春期を無事にクリアし、結婚。子は恵まれずも、舅・姑との関係はうまく築けた。頑張ってきた。しかし――実弟の実父を倣ったような自殺をはじめとして、舅・姑・義父・実母を次々と失い、夫との関係に空虚が押し寄せる。不倫……これまで営々と築いてきた日常があっという間に瓦解する。
  『川施餓鬼』(「AMAZON」485号/北川珪子)――武庫川で、自殺した腹違いの兄の施餓鬼を行うのはその妹と弟、及び妹の子。幼少期、彼らは貧困生活ドップリ。妹は結婚でき、子を授かると、夫は直ぐに別の女のところへ、結果母子家庭。弟は世間から厄介者に仕立てられ出奔するも、いまは地元に戻り身を立てた。一方兄は、牛乳屋の夫婦に見初められ婿入りし、もっとも平穏を得たはずなのに、結果は暗転。共に生活していたころは、兄を疎ましく思っていた妹も、死して兄の実像が浮かんでくる。
  『ほふりちゃん』(「文学街」351号/上遠野秀治)の主人公は故郷を離れて15年、失職して祭の最中に帰郷。子連れの元女友だちとうまくいきそうな気配だが、産土神が許してくれるか。タイトルの“ほふり”は穂ふり、火ふり、農耕の神、“ちゃん”はそのゆるキャラ。21世紀においても中央・地方の時空差は歴然としてある。若者はどこに着地するか。
 『コーロ密かに』(「文芸事始」35号/川崎英生)の“コーロ”は合唱の意、“密かに”は作中で、昭和初期の詩人とされる人物の、詩のタイトル。自分のことを“ボク”と呼ぶ、ほんの少しJIS規格ハズレの娘と日本を飛び出して20年欧米暮らしだった伯母との交流。ボクの学校の合唱祭で取りあげた歌が、なんと、「密かに」。この詩人の孫がかつて伯母の恋人で、伯母に作曲を懇願、歌曲となった。出来すぎた話なのに、不自然さを感じさせず、しかもこの架空の曲が聞こえてくるかのよう。
 (「風の森」同人) 《参照:日常をつくる、疎む、壊す、奪う=評者・越田秀男

| | コメント (0)

2017年12月11日 (月)

文芸同人誌評「週刊読書人」2017年12月1日)白川正芳氏

財界人文芸誌「ほほづゑ」94号特集座談会「大衆と潮流」より「インターネット・ユーザー-新時代の大衆」藤原洋の発言、筒井奈津「美しい手」(「火涼」75号)
斉藤てるの詩「水の中」(「詩と真実」821号)、飯田未和「F」(「mon」11号)、秋亜綺羅『言葉で世界を裏返せ!』(土曜美術社出版販売)、加納由佳子「なにを入れてもカレーライス」(「文芸中部」106号)
文芸同人誌案内掲示板:ひわき さんまとめ)


| | コメント (0)

2017年12月 8日 (金)

同人雑誌の受贈の相模原連絡所の停止について

  文芸同人誌にける文芸同志会の受贈連絡所について、相模原の連絡所活動を停止しました。ここは会員の外狩氏が文芸交流会を主宰する事務局でもありますが、同氏は町田文芸交流会の活動に専念することになりました。
《参照:外狩雅巳のひろば
なお、文芸同志会は、連絡所を担当できるひとを今後さがしていきます。本部は変更ありません。
 なお、文芸同志会では、会員の参加する以外の同人誌を、特に募集してはいません。ご厚意により、寄贈いただいたものは、会員活動の参考にさせていただいております。また作品紹介も必ずし行うものでありません。
 同人雑誌活動のなかで、印象操作に使われがちの大メディアの動向に対し、個人の自由な表現の場の維持に努める作家の皆様に敬意を表して読ませていただいております。

| | コメント (0)

2017年12月 6日 (水)

神奈川新聞の同人雑誌抄録の苦肉の策に感心する

 先日の町田文芸交流会に参加した時に。参加者から、私の所属する「グループ桂」が神奈川新聞に同人誌情報対象になっていると、その記事を見せてもらった。先に、取り上げたように、「神奈川同人雑誌抄録」で、県立図書館員の選択によるものらしい。動向をさぐるひとつの方策として、なるほどと思った。この場合は、文学的な文章表現に優れたものが選ばれているように、推察する。

| | コメント (0)

2017年12月 4日 (月)

神奈川の同人誌抄録「神奈川新聞」11月16日付=中村由美子氏

 里山舞台に人生の悲喜び(県立図書館・中村由美子)
 《対象作品》乾夏生「日傘の女」(「時空」44号、横浜市)/「連れの男」(「グループ桂」76号、鎌倉市)/河野つとむ「カラス」(「文学横浜」48号、横須賀市)。(県立図書館)
<文芸交流会にて小野友貴子氏より情報提供>《参照:小野友貴枝のひろば

| | コメント (0)

2017年12月 3日 (日)

西日本文学展望「西日本新聞」11月29日・朝刊=茶園梨加氏

   題「自然と触れる」
みやまそらねさん「おろちめぐり」(「龍舌蘭」194号、宮崎市)、小谷耕二さん「季節の外れ」(「砂時計」復刊第1号、福岡市)
内山博司さん「竹に哭く」(「飃」106号、山口県宇部市)、木田光樹さん「雨がふるよ(前編)」(「サラン橋」17号、東京都)
吉岡紋さん・孝二さん『想い-ドームに降る雪-』(近代文藝社)
福岡市文学館「闇の声をきざむ 上野英信展」紹介
文芸同人誌案内掲示板:ひわき さんまとめ)

| | コメント (0)

2017年12月 2日 (土)

町田交流会事務局へ到着した同人誌=外狩雅巳

  晩秋となり各地の同人誌が発行されています。交流会宛にも多数届きました。
 「さくさく」69号ー東京都台東区三筋1-4-1-703、 坂本良助方。発行日・11月19日。=--表現の世界は脇道がいっぱいです。表現者の心の旅を存分楽しみましょう--との編集後記が読者を誘います。
 「メタセコイア」第14号ー大阪市東住吉区南田辺2-5-1、多田正明方。 発行日・11月10日=会員八名全員が編集後記を書いているのが珍しかった。
  「「婦人文芸」98号ー東京都文京区本郷2-11-4、編集責任・婦人文芸の会。平成29年11月発行=専任担当者が亡くなり--8名で頭を絞り、目次完成--との事。老舗同人誌なので継続を注目していた。
  「淡路島文学」13号ー兵庫県洲本市栄町2-2-26、淡路島文学同人会発行。発行日・10月20日=--2014年編集後記に北原文雄さんは書いた--と、創刊者の死去を追悼する号だと記している。
}「海」96号ー三重県いなべ市大安町梅戸2321-1、編集発行人・遠藤昭巳。11月10日発行=巻頭小説を書いている宇梶紀夫氏は交流会集合拠点と近隣の市在住のようで、作品読書合評などもできればありがたい。その他、「婦人文芸」会員にも近隣在住のようです。町田文芸交流会は、支援者が町田市民なので、拠点として町田公民館に集まっている。参加者は首都圏全体から来ています。 
《参照:外狩雅巳のひろば

| | コメント (0)

2017年11月23日 (木)

第25回文学フリマ東京・出店の風景

  2017年の文学フリマの最終イベント東京版に出店。今回は当会委員で「砂」同人メンバーばかりだったので、今後の方向性も話し合う。「砂」は、今後、文芸同志会が積極的にかかわることで、「砂」の会を盛り上げていこうということで、砂の同人会が文芸同志会会員になった。そこで、当会の特典待遇を、砂の会員にすることになり、新しい社会的なテーマを同志会から投稿することになった。
 それにして、売れないであろうと、残部些少なまま展示したら、なぜか買い手が現れたて、見本誌まで売り切れてしまった。在庫ゼロ。一休みしたら、新刊として制作することにした。なにしろ、次回から売る本がない。
《参照:文学フリマ15周年ー第25回東京に出店!ジャンルの多彩さ

| | コメント (0)

2017年11月22日 (水)

第25回文学フリマ東京」2017年11月23日(木祝)開催

  「第二十五回文学フリマ東京」2017年11月23日(木祝)が開催されます。文芸同志会は2階のブース「キー24」に出店します。
  それぞれのジャンルで、出店者と文学論が語り合えます。静かでゆっくりした図書館なみの雰囲気で、文学にひたる世界で、同人雑誌の作品にもこの情景を活用した小説が生まれてきえいます。当初は、文芸同人誌の即売フリーマーケットとしていましたが、現在は文学作品の即売会と範囲が拡大しています。
 今年の第24回の出店風景《第二十四回文学フリマ東京に出店!コミック評論が好調

| | コメント (0)

2017年11月12日 (日)

文芸同人誌評「週刊読書人」(2017年11月3日)=白川正芳氏

   阿曽十喜「詩撰集 五編 中間被災地記録」、犬童加津代「運動会」(「海峡派」140号)、「ずいひつ遍路宿」215号より高島緑「柿の木」
桑原文明「吉村昭試論39 法意識」(「吉村昭研究」第39号)、東喜啓「たんぽぽ」(「民主文学」10月号)、榎並椈水「四季 有情」(「安芸文学」86号)、山田美枝子「許されざる者」(「まくた」292号)、堀康治「アンテナ暴走」(「雑木林」22号)、「北村くにこ特集」(「人間像」187号)
文芸同人誌案内掲示板:ひわき さんまとめ)

| | コメント (0)

より以前の記事一覧