2021年10月 9日 (土)

全国同人雑誌協会の近況から

 同人誌「クレーン」の和田信一郎氏の投稿が、「文芸同人誌案内」掲示板にある。それによると、全国同人雑誌協会の参加者が50もあるそうである。和田氏は少ないという思いだそうだが、自分にはそんなに多いのか、という感じをうけた。自分の印象では、文芸同人誌の同人で、職業作家になりたいとする人は多くない。すでにほかの職業で人生を歩んできた人が多い様に見える。たまたま、文芸同志会の意志を知らないで、作品紹介をしてもらえるから、という理由で贈ってくれているようなので、文学性を考慮しない時事性の強い作品の多い雑誌を読んでいるのかもしれないし、協会に参加する同人誌とは種類が違うのかもしれない。同人誌のほとんどが、地域性が強く、合評会での読者が必ずいることに対する確信、書きたいことが書けることの良さがある。多くの読者には興味がないであろう普遍性のない作品でも、読んでもらえるということで、書かれたものに意外な発見があり、生活者の実態がわかるのが、長所である。そのかわり、世間的な俗生活に、差し障りがあったり、不便が生じるようなことは、書けない。そういう言うに言えない制約があるなかで、一番の目的が存続することのように見える。おそらく、どこかにそうした目的に貢献するために、東京に出てきて、漠然とした懇親を深めることに意義を認める同人誌の同人がいることが、発見である。

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2021年10月 8日 (金)

西日本文学展望「西日本新聞」9月30日/朝刊=茶園梨加氏

題「地域を描く」
冒頭、米本浩二さん『魂の邂逅(かいこう) 石牟礼道子と渡辺京二』(新潮社、2020年)に触れる。
都満州美さん「訪問診療」(「海峡派」152号、北九州市)、伊福満代さん「二歩の父」(「龍舌蘭」203号、宮崎市)
白石すみほさん「破倫」(「ふたり」26号、佐賀県唐津市)、鳥海美幸さん「森」(「龍舌蘭」203号)、高崎綏子さん「木語(もくご)」(海峡派」152号)
《「文芸同人誌案内・掲示板」ひわきさんまとめ》

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2021年8月 2日 (月)

西日本文学展望「西日本新聞」(7月30日/朝刊)=茶園梨加氏

題「生きづらさ」
冒頭「生きづらさ」について『コンビニ人間』(村田沙耶香)、『推し、燃ゆ』(宇佐見りん)、『水たまりで息をする』に触れる。
深水由美子さん『優しいお墓』(「第八期九州文学」576号、福岡市)、階堂徹さん『瓦の落ちた先』(「詩と眞實」865号、熊本市)
佐々木信子さん「初嵐」(「第八期九州文学」576号、福岡市)、遠藤博明さん「稲妻と案山子」(「ら・めえる」82号、長崎市)、川村道行さん「「独」と「離」」(「海」第二期26号、福岡市) 《「文芸同人誌案内・掲示板」ひわきさんまとめ》> 

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2021年7月23日 (金)

「文芸中部」誌からの「中部ペン」など同人雑誌情報

「文芸中部」(117号)誌から、本誌のほかに中部ペン会報と全国同人雑誌協会ニュースレターが寄贈されてきた。なかに100号以上の発行回数を誇る文芸同人誌の形がある。《参照:「全国同人雑誌協会」などにみる同人誌の文学性の動向》ーーこれらの雑誌は、おそらく文学性に優れた作家が多くいるのであろう。しかし、我々、文芸同志会会員は、それらを知ることがないし、知ろうともしない。それは、団体の一員ではなく、一人の表現者として活動しているからである。もともとその活動は、小説を自費出版したひとを作家として扱い、その存在を世に知らしめることも重要視しているからである。自分も、かつておつきあいで文芸同人誌に寄稿したものを、別に冊子にして「文学フリマ」で販売したところ、少部数ながら出店するたびに、売れていた。山川会員のマンガの評論などは毎回売り切れた。出店で自分の本が売れ、現金を受け取る時の快感は癖になるのである。また、会員の外狩雅巳氏が運営する「町田文芸交流会」で、展示会(会場が販売行為不可だった)を実施したところ、関連本に関心が集まり、後日売れたという事例もある。《参照:文芸同人誌展示会で、閲覧者多く貴重な体験=外狩雅巳》。文芸活動にあたっては、焦点を絞り、個人の出版物をアピールするような作者に役立つ内容があれば、参加者が増えるであろう。

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2021年7月18日 (日)

いま、カミユの「ペスト」を読む「群系」が特集

 文芸評論誌「群系(掲示板」第46号で特集として、「いま、カミユの『ペスト』を読む。」の特集がある。現在進行中のコロナウィルスによるパンデミックのためか、よく売れているそうである。同人による座談会や、異なる視点からのカミユ論や、「ペスト」論が展開され、勉強になる。ただ、自分には手法論として「ペスト」と、メルビルの「白鯨」との構造の類似性に言及がなかったのが、ものたりない面でもある。
 メルビルの「白鯨」は、魔性の巨大鯨であり、船長のエイハブは、捕鯨中に片足を奪われ復讐の念に燃える男である。自分は、カミユファンの友人から、「ペスト」と「白鯨」の小説構造の類似性を教えられ、カミユの作品を読むようになった。まず、「白鯨」話は捕鯨船という海の閉鎖社会であり、運命共同体である。これが「ベスト」のオランという町の閉鎖性にに共通する。乗組員の多様性があるが、みな海の男の気性の良さと荒々しさがある。また、イシュメイルは、うつ病から治りかけの男で、彼の語りは、一人称を超え、飛躍する。また、彼は港の木賃宿で同宿した、黒人系少数民族らしい南太平洋出身の巨漢の銛打ち・クイークェグと出会い、同性愛に近い愛情で交流し、仲間の性格を浮き彫りにするが、エイハブ船長の執念と、「白鯨」の精神性については、いいとも悪いとも言わない。さらに、イシュメイルやエイハブなどの人名は旧約聖書から象徴的に引用されているように見える。
 登場人物で、エイハブ船長を諌める冷静な一等航海士の名は、スターバック、(コーヒ―ショプのオーナーはファンだったのかも)陽気な二等航海士のスタッブなど、.アンのタシテゴなど、多様な人種の乗組員にエイハブの狂気が伝染し、白鯨に報復を誓うのである。「ペスト」も語り手の医師が、曖昧であるので、1人称を超えた話になっている。また、カミユの実存的思想は、メルビルの短編「「バートルビー」を読まずして、かたることは、的をはずずように思う。

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2021年6月 8日 (火)

西日本文学展望「西日本新聞」(5月31日)朝刊=茶園梨加氏

題「苦境の先へ」
冒頭、小山内恵美「しょんなかもち」(「すばる」5月号)に触れる。
片山さとみさん『ひるこ様の海』(長崎文献社)、宮脇永子さん「馬吉」(「南風」49号、福岡市)
野沢薫子さん「ヒビ入ったグラス」(「長崎文学」96号、長崎市)、木下恵美子さん「イエスの足音」(「詩と眞實」864号、熊本市)、田中青さん「駆け引き」(南風」49号、福岡市)《」「文芸同人誌案内・掲示板」ひわきさんまとめ》

 

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2021年5月26日 (水)

久保田正文先生を偲ぶ=難波田節子さん(「季刊文科」84号)

 かつて、雑誌「文學界」の同人雑誌評を行っていた評論家の久保田正文氏について、没後20年になると、難波田節子氏が「季刊文科」84号に追悼を文を寄せている。久保田氏は朝日カルチャーセンターで教室をもっていたそうで、難波田氏は、その教室に通い、その後、久保田氏が「季刊遠近」を主催したことで、学んできたといういきさつが記されている。久保田正文氏は、大森の馬込付近に住んでいたらしい。自分は、池上に住んでいた頃、「文芸研究月報」新聞を発行していた。池上梅園の近くに、文芸評論家の浜賀知彦氏(故人)が住んでいた。その時、久保田正文氏が亡くなる前に親しくしており、近くだから交流があったという。ある時、私の発行する月報に「文學界」の同人雑誌で取り上げられた作品、作家リストがあるのを見て、「ちょっとそれ貰えないか」という。いいですよ。でもなんで? と聞くと、そこにある難波田節子という作家は、浜賀さんが収集している同人雑誌によく出る作家のなのだだという。そして、その目録を作成中だという。《参照:浜賀コレクション関連 「戦後東京南部の文学運動」《関係雑誌細目》第9輯・浜賀知彦編著》その時は、なんで難波田さんが、東京南部の同人誌に書いていたのかが、不思議だったが、久保田氏の関係だったことわかった。こんなとを書いているうちに、彼女の新刊「遠ざかる日々」(鳥影社)が届いた。文芸評論家の勝又浩氏が、あとがき解説をかかれている。とにかく、家庭の出来事を気を逸らさず読ませる技術は秀でている。多くの人は、それを普通のように思うのは、結局、日本に家庭小説というジャンルがないためかもしれない。

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2021年5月18日 (火)

全国同人雑誌協会の設立

 文芸同人誌案内掲示板に、わだしんいちろうさんの投稿がある。《参照:”全国同人雑誌協会”設立にあたって私のおもうこと 》以前からの同人誌会とのつながりから発進するらしい。文芸同志会に寄贈されてきた雑誌を読んで紹介してきた経験からすると、同人誌の本質は、雑誌発行経費を同人たちがが少ない経費で発行できるメリットが主で、会員増がそのまま読者の拡大につながることである。どんなつまらない話でも、会員だけは読んでいる。ほかの多くには読まれない。それでは、あまりにもさびしい。そのため、せめて同人雑誌に参加する人同士のなかから読者を増やす一方策であるのだろうか。それもいいが、現在の同人誌のなかで、廃刊や休刊にあい、新たに書く場所を求める人に、その地域の既存の同人誌を紹介するような機能も求められる。当会の紹介文を読んで、入会希望を申し込んだという人もいる。現実は、厳しくて入会できなかったという話もある。いわゆる、自分の同人会の維持に不似合か、作者の引き抜きを警戒してのことであろう。そう考えると、その道は広くはない様に思える。もともと存在感が薄くなりつつある同人誌だから、現状変革に役立つかも。自分も多くの作品を読んで、書き方の欠点をみても、それを指摘するのは、作者にすれば大きなお世話であるにちがいない。では、どうするか、考えるばかりである。

 

 

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2021年5月10日 (月)

西日本文学展望「西日本新聞」(4月28日・朝刊)=茶園梨加氏

題「別の自分」
冒頭、福岡出身の櫻木みわさんの小説「コークスが燃えている」(「すばる」4月号)より井出川泰子さん『火を産んだ母たち 女抗夫からの聞き書き』(1984)を紹介。
黒木日暮らしさん「山菜採り」(「龍舌蘭」202号、宮崎市)、森美樹子さん「今年の夏」(「第八期九州文学」575号、福岡市)
「第八期九州文学」575号の野見山悠紀さん「塔」、「龍舌蘭」202号の渡邉眞美さん「もくもくもくもく」
「九州文学」八期の新編集長だった中村弘行さんの遺作「サヨナラはもう言わない」(50号掲載)

「文芸同人誌案内・掲示板」ひわきさんまとめ。》

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2021年4月12日 (月)

西日本文学展望「西日本新聞」(3月31日)朝刊=茶園梨加氏

題「女性の生き方」
西田宣子さん「白狐」(「季刊午前」59号、福岡市)、水木怜さん「若葉萌え」(「照葉樹二期」19号、福岡市)
白石すみほさん「鎮魂」(「ふたり」25号、佐賀県唐津市)、谷口あい子さん「花の小径」(「あかね」118号、鹿児島市)、戸川如風さん「新地」(「詩と眞實」861号、熊本市)、島夏男さん「別れの時は手をあげて」(「照葉樹二期」19号)
「季刊午前」の特集「このときに ここにいて」《「文芸同人誌案内掲示板」ひわきさんまとめ》

 

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