2019年8月16日 (金)

同人雑誌季評「季刊文科」第78号=谷村順一氏

 --人生の細部ーー《対象作品》津木林洋「フェイジョアーダ」(「せる」第110号・大阪府)/中村徳昭「裸梢」「梅干茶漬け」(「30」14号・東京都)/水口道子「親切な隣人」(「あらら」第10号・香川県)/沢口みつを「縄文の祀り」(「こみゅにてぃ」第104号・埼玉県)/鮎沢しほり「アゲハチョウ」(「樹林」vol.650・大阪府)/中川由記子「ほのか」(「季刊午前」第57号・福岡市)/瀬戸みゆう「墓じまいの夜」(「(「半月」第9号・山口県)/刑部隆司「セーラー服じいちゃん」、池戸豊次「春の獅子」(「じゅん文学」第99号・愛知県)。

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2019年8月10日 (土)

文芸同人誌の運営のコツ

 ローカル性を守ることで文芸同人誌「相模文芸」は、繁栄を継続している。ほかの自らが関連する運営について<外狩雅巳のひろば>でふれている。同人の求心力をどう作るかがコツのようだ。文芸同志会の関連同人誌は、先が見えている。それなりに努力をしたが、やむを得ない事情がある。

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2019年8月 3日 (土)

西日本文学展望「西日本新聞」7月31日・朝刊・茶園梨加氏

題「題名」
寺井順一さん「紫の雨に濡(ぬ)れて」(「西九州文学」42号、長崎県大村市)、山川文子さん「アイスキャンデー」(「佐賀文学」36号、佐賀県嬉野市)
川村道行さん「FAIR & UNPREJUDICE」(「海」22号、福岡市)、六月田語さん「個室の窓から」(「風」21号、福岡県筑紫野市)、西浜武夫さん「誾千代姫 第二話」(「ほりわり」33号、福岡県柳川市)
「草茫々通信」13号(佐賀市)

文芸同人誌案内・掲示版」8月1日(ひわきさんまとめ)

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2019年7月31日 (水)

同人誌時評「図書新聞」(8月3日)=評者・志村有弘氏

 (一部抜粋)桜井克明の「一日百円駐輪場」(「残党」第48号)が、異質のふたりの人間像を描き分け、人生とは何かを考えさせられる、小学校と大学を共にした浦山と落合。落合が「くされ縁」と称したように、ふたりは相性が悪かった。浦山はかつて学問の世界に専念したことがあったけれど、今はK市で駐輪場を営む。三年前に母が死に、遺産相続で妹たちと争うことになり、借金ができた。一方、名古屋の会社で出世した落合は、三年前に妻を亡くし、K市に戻って息子や孫と住む家を新築した。前半では不遜とも見える浦山の姿が描かれ、落合の吝嗇で小人物的人間像も記される。後半では落合の視点で学生時代の浦山の「唯我独尊」ぶりが示され、「自分は俗人とは違うというプライド」を持った、「文学馬鹿の典型かも」とこきおろす。裁判の不合理や大学紛争ではじき出された不運も示される。しかし、背後に作者の醒めた眼。力作である。
 花島真樹子の「虹のかなたへ」(「遠近」第70号)は、女優の死を描く。老人ホームの住居人石堂ゆりえ(舞台女優・七十六歳)が交通事故死した。ゆりえは舞台女優よりテレビの出演で知られていた。死ぬ二日前、施設の職員戸田に不倫が原因で過去二度の自殺未遂をしたことを語った。戸田が、脇役で不満はなかったのかと訊くと、「仕方ないじゃない、だって私は女優ですもの」と応えたゆりえの悟りきった姿。「五十年遅く生まれていて戸田さんに会えていたら」と告げるゆりえの心情が哀れ。ゆりえは金も尽きていた。しかし、女優として精一杯生きて自殺したのだ。読後の寂寥感とは別に、爽やかな抒情を感じさせるのは、作者の伎倆。筋の展開も文章も達者だ。
 粕谷幸子の「あいまいなわかれ道」(「全作家」第113号)は、「彼」(異名遠山総代君)の風変わりで、どこか寂しい言動が印象的だ。彼は「わたし」の夫と同じく旧制五中(小石川高校)の出身で、入学式では宣誓文を読んだほどの人物。いつも酒を飲み、就職もせず、小石川高校にふらりと現われ、一時間ほど座り込んだりし、月に一、二度、酒気を漂わせながら「わたし」の家にくる。彼の妻アキコが、彼が再婚するので別れることにしたと告げにきた。その彼が脳梗塞で他界した。葬儀のときに見た遠山の新しい妻は、アキコが言うような醜女ではなく、礼儀作法もわきまえていた。アキコの言葉の謎。佳作の短篇小説。
 臼田紘の「クラスメート」(「飛火」第56号)は、大学時代のマドンナ・中村彩子の学生時代とその後が、旧友の話から示されてゆく。作品の語り手である貞夫も彩子への思いを抱き続けていた。貞夫は彩子への思いから、彩子のそばにいた土屋郁代と儚い関係を持ったこともあった。その郁代は癌で他界していた。彩子に対する山崎彬の男らしい真摯な行動。そうしたことが静かな、丁寧な文章で展開する。人生の甘酸っぱさも漂う、良質の作品。
 森下征二の「泰衡の母」(「文芸復興」第38号)藤原泰衡の首級に残る傷痕の謎解きが興味深く、泰衡の母(成子)の気丈な姿も印象的だ。成子を〈国衡の妻〉というだけではなく、〈泰衡の母〉である点を注視しているのが見所。また、秀衡が国衡の許婚であった成子を「奪い取った可能性」という指摘も面白い。
 エッセーでは、「月光」第58号が反骨の歌人・坪野哲久特集を組む、福島泰樹の哲久の生涯を綴るエッセーをはじめ、作品論、坪野を詠んだ歌などが掲載されていて貴重。「脈」第101号が詩人勝連敏男の特集。兄の勝連繁雄や川満信一らが勝連のありし日を伝えている。比嘉加津夫の「詩だけが人生であった」という言葉が、勝連の全てを象徴しているように思われる。(相模女子大学名誉教授)

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2019年7月 5日 (金)

まほろば賞の推薦作品選考会について=外狩雅巳

 関東交流会を前に全国同人誌雑誌優秀賞の「まほろば賞」の候補作品選びが進んでいる。721日に関東からの推薦作品選考会を行うことになったという。

 候補作品の絞り込み会議の出席依頼が関係者に送付された。72日付で外狩雅巳にも案内書がきた。

 721日に東京・大田区民プラザで行うとの出席依頼である。そこには「相模文芸」34号の二作品が候補作に挙げられていた。

 発送元は交流会事務局の五十嵐氏の「文芸思潮」のアジア文化社である。この出席依頼に戸惑っている。二年前の「相模文芸」誌に掲載された作品は五十嵐氏が推挙したのだろうか。その選考会への出席招待である。

 幾人もの選考委員の出席で決定される関東地区からの推薦作品を私が投票するわけにはいかない。「相模文芸」とは無関係の人に選考してもらった方が良いのではないだろうか。「相模文芸クラブ」に確認したところ、通知は来ていない。私はクラブの一般同人と思われているようだが、創設者でもあるのだ。

 おそらく、町田文芸交流会の事務局長としての立場を勘案して招待だと思う。しかし、私が公平に選考を行い、先入観をもたずに候補作を推薦しても、周囲の眼にはどう映るであろうか。私は、そこで迷っているところだ。

《参照:外狩雅巳のひろば

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2019年7月 2日 (火)

西日本文学展望「西日本新聞」(6月28日)朝刊・茶園梨加氏

 題「オリンピック」

波佐間義之さん「跪(ひざまず)いて輩の転生を叫ぶ」(「第七期九州文学」46号、福岡県中間市)、あびる諒さん「異和人狩り」(「詩と眞實」840号、熊本市)、田ノ上淑子さん「夏の咲顔」(「原色派」73号、鹿児島市)、近藤義昭さん「偕老(かいろう)同穴」(「ら・めえる」78号、長崎市)、仁志幸さん「夜明けの子守歌(一)」(「龍舌蘭」198号、宮崎市)

(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)投稿日:6月30日

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2019年7月 1日 (月)

全国同人誌雑誌会議の第3回を10月19日東京で開催へ

 第3回全国同人雑誌会議が10月19日、「文芸思潮」と「中部ペンクラブ」の主催で開催されることがわかった。会場は「池坊東京会館」。同人雑誌の新しい繋がりと方向を目指して講演・シンポジウム・会議・講演会を行うという。基調講演は作家の三田誠弘氏、発言は中山紀氏。同時開催に全国同人雑誌展示会がある。参加費は1万円(パーティ券含む)。後援・「中日新聞」「東京新聞」「三田文学」「季刊文科」という。

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2019年6月 6日 (木)

西日本文学展望「西日本新聞」5月31日・朝刊=茶園梨加氏

題「女性の裁量」

江藤多佳子さん「ヒルクレストホテル」(「南風」45号、福岡市)、野沢薫子さん「モーニングサービス」(「長崎文学」90号、長崎市)

西田宣子さん「花ぐらし」(「季刊午前57号、福岡市)、角田眞由美さん「螢の村」(「詩と眞實」839号、熊本市)、「宇佐文学」は麻生豊(宇佐市出身)にちなんだ作品を公募。

(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)投稿日:2019 6 3

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2019年5月28日 (火)

同人誌評「図書新聞」(6月1日)評者・越田秀男氏

 (一部抜粋)「あるかいど」の佐伯晋さんは昨年のGWにタンザニアを訪れ、旅行記『クレーターの底で』を発表(65号)、その末尾のマサイの格言がおもしろい――「孤独と危険は見分けにくい」(孤独でいることは、危険に直面していることと同じで、不吉である‥佐伯さんの解釈)。木枯し紋次郎はカッコ良かったが、実際の人間は〈孤独〉と〈群れ〉の両端の間を右往左往、右顧左眄している。
 『親切な隣人』(水口道子/「あらら」10号)――一人息子が犬の武蔵を残して東京に出てしまうと、主人公は妻に家庭内離婚を迫られ、ふて腐れて承諾。物語前半の狐憑きの話も後半を暗示しおもしろい。家庭内離婚、一度試してみたら?
 『岩陰の金魚』(小川結/「穀雨」24号)――少女らの性的稚戯はごく自然な行為。しかしそれが思春期まで、となると……主人公と従姉の場合は従姉が義父に性的虐待を受けていた。それが主人公に感染して男に対する強度の人見知りに陥っていた。従姉は自分の姿を井伏鱒二の『山椒魚』に喩えた。
 『春の獅子』(池戸豊次/「じゅん文学」99号)――神戸育ちの主人公のキシは、大震災と婚約者の不倫を契機に母方の祖母の家(岐阜・郡上)に身を寄せる。やがて奥美濃に住む幼なじみと結婚、子を授かることなく8年……この村に食い詰めてやるかたなく〝叫ぶ男〟に変じた鼻つまみ者が出現。キシはなぜかこの男に同情する。根に流産した元婚約者との児への思いが。
 『成人―続・ミタラシ―』(南奈乃/「てくる」25号)――母・姉妹の母子家庭完結編。姉はようやく生活の道を開くも、妹は離婚調停中。二十歳となり、母親に元亭主から養育費打ち切りの連絡、わずかな繋がりが切れた。母娘にまとわりつくストーカー男、彼も母子家庭だったのだが、母が急死、二人から身を引く。娘に自立の心が芽生え「ママこそいい加減に、自分の人生を生きてよ」。
 『行く人』(城耕悠/「南溟」6号)――「谷をはさんで、南北に二つの丘がある」、一方は「丘の上の葬祭場」、一方は「天空農園」。都会を逃れて農園を拓いた女性と、死に直面した建設会社会長との交情と看取りの物語。幼少期の記憶と大震災、母の死を重ねた。『行く人』の丘も死と生の象徴だが、なんとも羨ましい看取られ方。
 『暗い谷へ』(糟屋和美/「ふくやま文学」)――遠い地の小学校に転校した主人公は、人見知りを解消してくれる明るい少女に出合った。少女の父親は戦地で結核に罹り歩行不全、母親が夫・姑・四人の子の生活を支えていたが、支えきれず出奔。夫は自殺。一家離散。空き家には兎の縫いぐるみが、主人公が遊び飽きたものを母が少女にプレゼントしていた。明るい少女と無残な縫いぐるみ、明暗の対比。
 『西大門』(小松原蘭」/「季刊遠近69号)――妓生ツアーが盛んなバブル期、商社外商部の父親は妻と娘の私を伴い韓国に。妻娘の日常は雇ったメイド任せ。私はその娘と仲良しに。だが台風と洪水でメイド親娘の家が倒壊、再建に父は娘を買った!私は15年後に再び韓国を訪れる。近代化顕著な韓国社会、日本に向けた愛憎の一断面が活写される。
 『フェイジョアーダ』(津木林洋/「せる」110号)――医者の息子二人は順調に跡継ぎの道を進んだのに、三男は座礁し、退潮期の学生運動に加わる。内ゲバ、殺人幇助罪で指名手配。ストリップ小屋に身を隠すと、日系ブラジル人のダンサーと懇意に。彼女の手料理がフェイジョアーダ。その後警察が劇場に踏み込み彼女は強制送還。彼は懲役刑。出所後、必死に彼女を探すがみつからず……彼はブラジル料理店を自前で開き、今も彼女の帰りを待っている。
 同誌では、益池成和さんが『義歯を洗う』を〝エッセイ〟として発表。仲間に、小説と随筆の違いを問われた。小説は「言うべきこと」を「物語に仮託」する。この婉曲法は、なかなか便利ではある。だが益池さんはこの仮託が苦手になってきたと編集後記で書いている。年のせい? 〝義歯を洗う〟は母の義歯、介護・介助の象徴だ。切実な思いを表現化しようとするとき、仮託的方法が逆に煩わしくもなる、と理解した。(風の森同人)《参照:家族という小さな群れの中で(「あらら」「穀雨」「じゅん文学」)・韓国社会の日本人に向けた愛憎の一断面を活写(「季刊遠近」)

 

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2019年5月23日 (木)

作品紹介のあり方を検討

 御恵送される文芸同人誌は、到着順に読んでいるが、なにしろそれぞれの文芸観が理解できてありがたい。最近読んでいる途中のメモがみつかって、読み直してみると、メモしにある重要な意見が盛り込まれていない。読むより、それをどう紹介するかの、自分の文学観との照合をして紹介文を書く方が時間がかかる。いろいろ感想がいくつもあるために、メモにしたものを書き忘れているらしい。そこで、今後は、終わりまで読み終わらいが、先に読んだ順に分割して紹介することを考えている。

 それと、最近のことだが、小説家になろうに、投稿してあった北一郎名義の小説は、18禁に相当する部分があるので、書き換える、その部分を削除するように、という連絡が来た。パスワードをわすれたので、対応が遅れたら、削除されていた。この作品は文学フリマの公募がったので、一種種の盛り上げ参加だったので、どうでも良いのであるが、この作品を詠んだ形跡のあるのは一人だけであった。それだけ読まれない作品から、チェック条項を見つけたのは、おそらく人工知能を使ったにちがいない。ただ、それほどとは思えない、しかもストーリーの伏線の部分がだめということは、それを公開するには紙媒体が適しているということになる。

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