2019年6月 6日 (木)

西日本文学展望「西日本新聞」5月31日・朝刊=茶園梨加氏

題「女性の裁量」

江藤多佳子さん「ヒルクレストホテル」(「南風」45号、福岡市)、野沢薫子さん「モーニングサービス」(「長崎文学」90号、長崎市)

西田宣子さん「花ぐらし」(「季刊午前57号、福岡市)、角田眞由美さん「螢の村」(「詩と眞實」839号、熊本市)、「宇佐文学」は麻生豊(宇佐市出身)にちなんだ作品を公募。

(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)投稿日:2019 6 3

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2019年5月28日 (火)

同人誌評「図書新聞」(6月1日)評者・越田秀男氏

 (一部抜粋)「あるかいど」の佐伯晋さんは昨年のGWにタンザニアを訪れ、旅行記『クレーターの底で』を発表(65号)、その末尾のマサイの格言がおもしろい――「孤独と危険は見分けにくい」(孤独でいることは、危険に直面していることと同じで、不吉である‥佐伯さんの解釈)。木枯し紋次郎はカッコ良かったが、実際の人間は〈孤独〉と〈群れ〉の両端の間を右往左往、右顧左眄している。
 『親切な隣人』(水口道子/「あらら」10号)――一人息子が犬の武蔵を残して東京に出てしまうと、主人公は妻に家庭内離婚を迫られ、ふて腐れて承諾。物語前半の狐憑きの話も後半を暗示しおもしろい。家庭内離婚、一度試してみたら?
 『岩陰の金魚』(小川結/「穀雨」24号)――少女らの性的稚戯はごく自然な行為。しかしそれが思春期まで、となると……主人公と従姉の場合は従姉が義父に性的虐待を受けていた。それが主人公に感染して男に対する強度の人見知りに陥っていた。従姉は自分の姿を井伏鱒二の『山椒魚』に喩えた。
 『春の獅子』(池戸豊次/「じゅん文学」99号)――神戸育ちの主人公のキシは、大震災と婚約者の不倫を契機に母方の祖母の家(岐阜・郡上)に身を寄せる。やがて奥美濃に住む幼なじみと結婚、子を授かることなく8年……この村に食い詰めてやるかたなく〝叫ぶ男〟に変じた鼻つまみ者が出現。キシはなぜかこの男に同情する。根に流産した元婚約者との児への思いが。
 『成人―続・ミタラシ―』(南奈乃/「てくる」25号)――母・姉妹の母子家庭完結編。姉はようやく生活の道を開くも、妹は離婚調停中。二十歳となり、母親に元亭主から養育費打ち切りの連絡、わずかな繋がりが切れた。母娘にまとわりつくストーカー男、彼も母子家庭だったのだが、母が急死、二人から身を引く。娘に自立の心が芽生え「ママこそいい加減に、自分の人生を生きてよ」。
 『行く人』(城耕悠/「南溟」6号)――「谷をはさんで、南北に二つの丘がある」、一方は「丘の上の葬祭場」、一方は「天空農園」。都会を逃れて農園を拓いた女性と、死に直面した建設会社会長との交情と看取りの物語。幼少期の記憶と大震災、母の死を重ねた。『行く人』の丘も死と生の象徴だが、なんとも羨ましい看取られ方。
 『暗い谷へ』(糟屋和美/「ふくやま文学」)――遠い地の小学校に転校した主人公は、人見知りを解消してくれる明るい少女に出合った。少女の父親は戦地で結核に罹り歩行不全、母親が夫・姑・四人の子の生活を支えていたが、支えきれず出奔。夫は自殺。一家離散。空き家には兎の縫いぐるみが、主人公が遊び飽きたものを母が少女にプレゼントしていた。明るい少女と無残な縫いぐるみ、明暗の対比。
 『西大門』(小松原蘭」/「季刊遠近69号)――妓生ツアーが盛んなバブル期、商社外商部の父親は妻と娘の私を伴い韓国に。妻娘の日常は雇ったメイド任せ。私はその娘と仲良しに。だが台風と洪水でメイド親娘の家が倒壊、再建に父は娘を買った!私は15年後に再び韓国を訪れる。近代化顕著な韓国社会、日本に向けた愛憎の一断面が活写される。
 『フェイジョアーダ』(津木林洋/「せる」110号)――医者の息子二人は順調に跡継ぎの道を進んだのに、三男は座礁し、退潮期の学生運動に加わる。内ゲバ、殺人幇助罪で指名手配。ストリップ小屋に身を隠すと、日系ブラジル人のダンサーと懇意に。彼女の手料理がフェイジョアーダ。その後警察が劇場に踏み込み彼女は強制送還。彼は懲役刑。出所後、必死に彼女を探すがみつからず……彼はブラジル料理店を自前で開き、今も彼女の帰りを待っている。
 同誌では、益池成和さんが『義歯を洗う』を〝エッセイ〟として発表。仲間に、小説と随筆の違いを問われた。小説は「言うべきこと」を「物語に仮託」する。この婉曲法は、なかなか便利ではある。だが益池さんはこの仮託が苦手になってきたと編集後記で書いている。年のせい? 〝義歯を洗う〟は母の義歯、介護・介助の象徴だ。切実な思いを表現化しようとするとき、仮託的方法が逆に煩わしくもなる、と理解した。(風の森同人)《参照:家族という小さな群れの中で(「あらら」「穀雨」「じゅん文学」)・韓国社会の日本人に向けた愛憎の一断面を活写(「季刊遠近」)

 

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2019年5月23日 (木)

作品紹介のあり方を検討

 御恵送される文芸同人誌は、到着順に読んでいるが、なにしろそれぞれの文芸観が理解できてありがたい。最近読んでいる途中のメモがみつかって、読み直してみると、メモしにある重要な意見が盛り込まれていない。読むより、それをどう紹介するかの、自分の文学観との照合をして紹介文を書く方が時間がかかる。いろいろ感想がいくつもあるために、メモにしたものを書き忘れているらしい。そこで、今後は、終わりまで読み終わらいが、先に読んだ順に分割して紹介することを考えている。

 それと、最近のことだが、小説家になろうに、投稿してあった北一郎名義の小説は、18禁に相当する部分があるので、書き換える、その部分を削除するように、という連絡が来た。パスワードをわすれたので、対応が遅れたら、削除されていた。この作品は文学フリマの公募がったので、一種種の盛り上げ参加だったので、どうでも良いのであるが、この作品を詠んだ形跡のあるのは一人だけであった。それだけ読まれない作品から、チェック条項を見つけたのは、おそらく人工知能を使ったにちがいない。ただ、それほどとは思えない、しかもストーリーの伏線の部分がだめということは、それを公開するには紙媒体が適しているということになる。

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2019年4月25日 (木)

西日本文学展望「西日本新聞」4月22日・朝刊=茶園梨加氏

題「老いと死」
木下恵美子さん「山野行の闇」(「詩と眞實」838号、熊本市)、井本元義さん『廃園』(書肆侃侃房)
島夏男さん「白猫伝」(「照葉樹二期」15号、福岡市)、大野光生さん「キジ猫のお話」(「飃」110号、宇部市)、藤山伸子さん「水難は三度来る」(同)「文学界」4月号より九州芸術祭文学賞最優秀作「兎(うさぎ)」平田健太郎さん

《「文芸同人誌案内掲示板」ひわきさんまとめ》

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2019年4月21日 (日)

同人誌評「図書新聞」(2019・4・20)志村有弘氏

(一部抜粋)真弓創の「骨喰と龍王」(「茶話歴談」創刊号)に感動。大友宗麟に取り入るべく、大友家の宝刀骨喰を松永久秀から貰い受けようと苦心する毛利鎮実とその娘。後半登場の大内輝弘も作品に厚み。
 同じく「茶話歴談」掲載の天河発の「愛怨輝炎」は、『本朝法華験記』など諸書に伝わる安珍清姫伝説(道成寺縁起)に取材したもの。清姫の母が白蛇で、亡母が姫に取り憑いているとする着想が面白い。他の戦国期や幕末を舞台とする作品いずれもが秀作・佳作。
 たかやひろの「越前松平転封」(「港の灯」第11号)は、松平直明の明石転封を舞台に二人の武士の姿を描く。三十郎は妹小夜を寅之助に託すことと武士の意地で命を落とし、寅之助は脱藩する。背後にある家老の策謀。江戸の下町に明るく生きる寅之助と小夜の姿が救いだ。文章もうまい。
 難波田節子の「驟雨」(「季刊遠近」第69号)が、高校受験を控えた女子中学生の心裡を描いた力作。中学生の「私」が大人に接する処世術を身につけていることに、とまどいを感じないでもないが、ともあれ、巧みな表現は難波田ならではの名人芸。
 源つぐみの「方位磁石」(「函館文学学校作品2019」)は、加代子の伯父(母の姉の夫)に対する恋情を綴る。伯父は針路を間違えるな、と訓す意味で方位磁石のキーホルダーを残していったわけではあるまいが、優れた構想力を感じさせる作品だ。
 吉永和生の「静かなるの向こう側」(「海峡」第41号)は、家庭小説。吝嗇で奪衣婆と渾名されていた政子婆さんが死んだ。死ぬ頃は誰も寄りつかなかったのに、あとで捨て猫を育てていたなど、意外な一面も。取り壊される予定の婆さんの家は残されることになり、猫は孫が家に連れていった。家族は、「奪衣婆」という呼び名を「政子おばあちゃん」に格上げし、その仏壇を拝んでいる。文学世界では、こうした心温まる作品も大切だ。
 エッセーでは、上野英信特集を組む「脈」(第100号)が、松本輝夫や比嘉加津夫らの上野論を収録していて貴重。私には〈筑豊の上野英信〉という印象が強いのだが、上野朱が優しさ溢れる文章で「父の心とペンは沖縄によって解放された、と思う」・「父よ、喜ぶがよい。あなたの大切な沖縄の友は、今日もあの日のままの姿だ」と綴る言葉に感動を覚える。
 若い力を感じる「翡翠」が創刊された。同人諸氏の健筆・活躍を期待したい。「AMAZON」第493号が中道子、「鬣」第70号が大本義幸の追悼号。ご冥福をお祈りしたい。(相模女子大学名誉教授)

《参照:真弓創の梟雄松永久秀に対する父娘の苦心を描く歴史時代小説(「茶話歴談」)――難波田節子の女子中学生の心の陰影を綴る作品(「季刊遠近」)

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2019年4月18日 (木)

同人雑誌季評「季刊文科」第77号(3月31日発行)谷村順一氏

自分というキャラクター

≪対象作品≫

望月なな「おしなべてまりか」(「mon」vol.13・大阪府)/和泉真矢子「まねき食堂」(「メタセコイヤ」第15号・大阪市)/岩崎和美「主婦Kの日記」(「浮橋」第2号・兵庫県)/伊藤宏「波が教えてくれた」(「樹林」vol.646・大阪府)/猿渡由美子「うらからやから、そしてウチムラ」(「じゅん文学」第98号・愛知県)=本誌転載作品/曹達「炎」(「浮橋」第2号・兵庫県)/おのえ朔「ミフユさん」(「せる」第109号・大阪府)/猿川西瓜「五百万円」(「イングルヌック」第4号・大阪府)/小石珠「白い花」(「P.BeNO.5・愛知県)/山岸とみこ「ナベを買う」(「こみゅにてぃ」第103号・埼玉県)。

 

 

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2019年4月11日 (木)

同人誌季評(小説・1~3月)「毎日新聞」(3月24日・朝刊)古閑章氏

題=再生/一期一会の大事」
鷲津智賀子さん「今年の秋」(「火の鳥」第28号)上村小百合さん「潮風の便り」(「火の鳥」第28号)小河原範夫さん「ガンバッテ、生徒会」(「ガランス」第26号)武村淳さん「天井の花びら」(「詩と真実」第835号)右田洋一郎さん「ブロンド」(「詩と真実」第836号)くまえひでひこさん「雅羅馬」(「長崎文学」第89号)箱嶌八郎「ほくろ」(「九州文学」第44号)佐々木信子さん「ヤマガラの里」(「九州文学」第44号」)今給黎靖子さん「華は東方で咲きたい」(「九州文学」第44号)木澤千さん「本望」(「九州文学」第44号)
 このほか、属識身さん「インパン」(「文芸山口」第343号)立石富生さん「てんぷら、つくる?」(「火山地帯」第195号)有村信二さん「白い秋」(「海」第21号)中野薫さん「巡査の恋」(「海」第21号)山田キノさん「美しき景色」(「海峡派」第144号)西村宣敏さん「雪の記憶」(「海峡派」第144号)

《参照:文芸同人誌案内掲示板ONさんまとめ》

 

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2019年3月30日 (土)

西日本文学展望「西日本新聞」3月28日(朝刊)茶園梨加氏

「西日本新聞」03月28日(木)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆(文芸同人誌案内より)

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2019年3月11日 (月)

「人間像」同人会は、札幌市の下記にお問い合わせください。

札幌市市民文化局文化部文化振興課〒060-0001 札幌市中央区北1条西2丁目 札幌時計台ビル10階
電話番号:011-211-2261
ファクス番号:011-218-5157
人間像同人会=〒061-1148 北広島市山手町1-1-10

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2019年3月 8日 (金)

西日本文学展望「西日本新聞」02月28日・朝刊=茶園梨加氏

題「過去」
立石富生さん「てんぷら、つくる?」(「火山地帯」195号、鹿屋市)、鈴木比嵯子さん「天使の歌声」(「ガランス」26号、福岡市)
遠藤博明さん「シャーロキアンのカウントダウン」(「日曜作家」25号、大阪府茨木市)、野原水里さん「そうぞうの時間」(「ガランス」26号、福岡市)、片科環さん「東雲荘グラフィティー」(「独り居」7号、福岡市)、古岡孝信さん「山が哭く」(「21せいき」100号記念号、大分市)
「あしへい」21号(北九州市)同人誌「街」特集より玉井史太郎さん「手談-あしへい打碁集-」
文芸同人誌案内掲示板:ひわき さんまとめ)

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