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2022年9月11日 (日)

文芸同人誌「私人」107号(埼玉県)

朝日カルチャー小説教室(東京)の同人誌である。
【「三日月の下で」えひらかんじj】
 都内の病院の院長をしている曽根哲夫は、病院にトラブルがあって、一時的に院長をしている。彼は、ここの問題解決課題と、自分自身の作家として小説刊行の準備中である。医師業をやめて作家に専念したい気持ちだが、なかなか難しい。その事情を具体的に、疑似私小説的に描かれており、面白く読める。同人雑誌らしい作品といえる。
【「水戸の桜」根場至】
 商社マンであった聡の父親は、単身赴任の海外勤務が長く、息子とは会うことが少なく、帰郷してきた時には、よその小父さんでしかなかった。その関係が続いたまま、父親は日本の原発事業に関わる仕事につく。そして福島原発事故が起きる前に、寿命を終える。被災地の人の語る「原発は魔物。みんな犠牲者だ」という言葉に、父親もそうなのか、と思うが、これまでもっていた反感は消えない。ーーこいうこともあるのか、と家庭の事情がわかる。しかし小説にするための「水戸の桜」の逸話とは融合していない。それでも、印象深い話である。
【「腹が空いた」杉崇志】
 源田光男という男の人生と家庭環境を描いたものらしい。彼の父親との人生の周辺と家庭環境に的を絞り描かれている。各部分はよくかけているが、それが全体として、それをどう受け止めればよいのか、わかりにくい。文章力はあるが、テーマと問題提起に工夫が必要に思試作品試作品のようでもある。
発行人=〒364-0035埼玉県北本市西高尾4-133,森方。
紹介者=伊藤昭一。

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