総合文芸誌「ら・めえる」第84号(長崎県)
本誌は地域の歴史に根を張った文芸誌で、特に批評が各分野わたって、優れたものが多い。その視点には注意深く読解すべきものが多くある。
【「『異端』の公共事業「石木ダム」城戸千惠弘」
国と自治体の強い繋がりのなかで、真正面から公共事業の実行性に、批判すべきは批判するという、作者の姿勢に心を打たれた。勉強させていただくという意味で、抜粋を連載させてもらうことにした。《参照:暮らしのノート「『異端』の公共事業「石木ダム」」》
【「日本は奪わず与え続けてきた」藤澤 休】
ここでの歴史的な経過は、朝鮮半島時代のものからの事実である。南北分断後の、正しい歴史認識を持とうとの働きかけの方策は、日本人には、よく理解できないであろう。その認識の違いを知る手掛かりとなる評論である。それが日韓関係にどう影響したかというと、会社の人事入れ替えのように、人々が入れ替わってしまった。経済力で日本に優越したと思い、日本を超える存在に、幸福と生き甲斐をもっているらしい。現在も、日本は存在することで、生き甲斐を与えているということになる。
【「八十路を超えて(7)」田浦直】
日本が小選挙区制になったことで、政治の根本が変わった。細川氏の日本新党から、新生党など混乱期の時代がなまなましく記録されていて改めて日本政治の変化の過程を知ることができる。
【「人新生の『資本論』(斎藤幸平著)」長島達明】
書評である。マルクスが「資本論」が売れた後に、人間を地球存在的な関係との問題を提起していた点を斎藤幸平が、発掘的な問題提起を行ったことに、「ハウステンボス」に関連した経験と、資本主義論を述べる。
発行事務局=〒850-0918長崎市大浦町9-27、田浦直方、長崎ペンクラブ。
紹介者=詩人回廊」編集人・伊藤昭一。
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コメント
7月10日、合評会の席で、記事を紹介しました。間に合って良かったです。ありがとうございました。
投稿: 新名規明 | 2022年7月11日 (月) 21時16分