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2022年5月27日 (金)

革命とその研究

 重信氏が出所するらしいという噂は、以前からきいていたが、いよいよそれが実現するらしい。中産階級のお嬢さんが、勤めをしながら明治大学の夜間部に入学し、学生運動にのめり込み、その集金能力が買われ、組織の上層部に祭り上げられ、革命家になった。こっちは、法政での夜間部で、その噂は風のたよりにきいていた。彼女に部下としてついていた人間とは、ある期間交流があった。ただ、アレッポにいるとばかり思っていた娘さんの重信メイ氏が日本にいて健在であることには驚かされた。自分には、世話をするというか、家族制度のなかで、長男として守るべき糸の切れた凧のような漂流難破したような家庭があった。そこで、革命家になれないが、自分の運命を縛る社会制度の研究を志し、革命研究家になった。ロシアという国は、レーニンやとロッキーの時代から、少数の権力者が全体を動かすという体質があった。革命も皇帝の方が兵力あったのに、少数派レーニンの勢いに負けてしまったのだ。《参照:若き若き詩人で革命家となり、服役していた重信房子氏が出所へ

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2022年5月25日 (水)

秋沢陽吉氏が第6回「丸山健二 文学賞」を受賞。

 福島県の文学者で、文芸同人誌「駱駝の瘤通信」同人で雑誌「レイバー日本」などに執筆している秋沢陽吉氏が、丸山健二 文学賞を受賞し、作品が書籍として刊行されることなったことがわかった。選者の芥川賞受賞作家・丸山健二氏は、日本の文壇ギルド的な構造に愛想をつかし、長野県の大町で独自の文学活動をしてきた作家です。ことばに対する感覚は、和歌、俳句の自己愛的な発想を超えた、小説でなければならない必然性をもっています。自分は年齢が近いので、若いころは短編を主に愛読していました。本文学賞は非文芸同人誌的精神をもった個性的なものを求めているようです。このほど秋沢氏からお知らせがあり、わかったものです。
《「いぬわし書房」より》
丸山健二文学賞、受賞者発表! みなさま、大変ご無沙汰しておりました。
 春の気配が去りつつあり、今年も「あっ」という間に三分の一が過ぎてしまいました。早すぎます。。。
さて、丸山健二文学賞の発表です。一昨年から受賞が決まっていた方を含めて、三人の受賞が決まりました。
第4回受賞作品「恍惚のトルソー」澤間静吉
第5回受賞作品「終の稜線」「摩天の犬」「花火の味」中谷嘉秀
★第6回受賞作品「流謫の行路」秋沢陽吉
受賞者のみなさま、おめでとうございます! そしてお待たせしまして申し訳ございませんでした。
各作品は、今年の夏までには書籍化して発売致します。しばしお待ちを!

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2022年5月21日 (土)

文芸交流会の拡大充実についての抱負=外狩雅巳(投稿)

 町田文芸交流会の拡大充実の為、宣伝と加入促進を行っています。月末の次回会合の案内書に合評作品などを同封し数名の方に送りました。
交流会案内パンフレットの作成に取り掛かりました。現在9名の交流会参加メンバーを二けたにすることから始めます。
参加者が増えたら個人主催の形態を組織に改め役員体制を作ります。
 春の会合に「文芸思潮」の五十嵐勉氏が出席されましたが、単発的な参加でなく常連として寄与してもらうためにも交流会体制を強化充実します。全国でも同人雑誌結社の異なる文芸愛好者の月例交流会はここだけです。個人参加なので一人で作品を書いている人や、同人会の品定めを試みる人も出席できます。
 文芸同志会通信に掲載されれば全国にひろまります。問い合わせも増えることでしょう。案内パンフレット作製も急ぎます。宣伝が第一です。コロナで在宅している文芸愛好者を網羅します。図書館、文学館などにも配布します。横浜県庁に連絡したら県内の連合組織もなく交流会に期待するとのことです。一度、担当部署に行きます。市民文芸の大きなうねりのきっかけになるよう努力します。

《参照:外狩雅巳のひろば

■関連情報=「詩人回廊」・外狩雅巳の庭

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2022年5月18日 (水)

文芸同人誌「季刊遠近」第79号(横浜市)

【「祭りの場」花島眞樹子】
 小説として、形式と内容のバランスが一番良い。夫が病んでいるが、医師から余命いくばくもないと告げられているが、「私」はそれを夫に知らせていない。夫の病室から窓の外を眺めると、赤とんぼが群れている。この冒頭のところは情感表現に切れ味がよい。その夫が手帳に日記を書いているのだが、そこにチャーリーという名が出てくる。その名について思いめぐらし。倉原千恵という女性を夫が好きで、現在も交際している痕跡ではないかと、思い当たる。「私」の嫉妬心の自意識や、その経緯が語られる。そのなかで、「私」は、子どもいて夫と安定した家庭で暮らしきた過去から、夫婦愛とはなんであるが、という内心の問いかけをする。その表現に文学味があって実に良い。そして夫は亡くなるので葬儀をするのだが、そこでの花輪を飾る儀式のなかで、それを夫への祭りとも感じてしまう。たしかに、人は祭りのなかに死を内包させているのだということをしみじみと感じさせた。
【「逃げたカナリア」難波田節子】
 話の素材は、子供の頃の、逃げたカナリア話である。時代は場所は読んでいて読者の想像できるようになっている。あまり面白い話ではないな、と思いながら読んでいたが、隣のカナリア逃がしてしまった「私」の気持ちが、地味ながら伏線となって、結局面白く読んでしまった。子どもの心理を大人の視点で描いて、成功している。
【「屈託」浅利勝照】
 出だしは好調で、興味をもった。が、ちょっと思惑とは外れて、言いたいことは、このことかと、読後わかる。居酒屋にいるときに、知らない男から、村の婿だろうと言って、悪口を言われるとこるなど、その村ってどんな村、と驚かせられた。そういう話の運びが面白かった。
【「フォト・ピストル」香山マリエ】
 トオルという幼なじみと、「私」は年月を経て会う。お定まりのパターンであるが、それしかないのは仕方がない。文章の出だしは開放的で期待させる。構成も理解できるが、トオルと「私」の関係がごたごた書き過ぎ。物語を考えるときには、構成と登場人物を持ち出す。長編でないのだから、どこかに個性にあるところを印象的な人物とし立ち上がらせねばならない。ここでは、「私」が高校に入学した時に、トオルが<○○高校にいったのか、もっとましところにしているかと思った>と「私」を見下したようにいうところがある。この場面を「私」とトオルの人物像立ち上げる軸にする。あとの雑事は簡略化した方がよいと思う。
【「引きこもり将軍」逆井三三】
 足利義政と義満、義持の帝王ぶりを、現代の感覚で受け止めた、珍しい歴史小説である。なるほどそうか、と思うところがある。
【「道の空」(七)】藤田小太郎】
 その時代の事情は、米国との外圧から抜け出そうとした後であると思う。明治天皇のもと、近代日本として完全独立していた時代。根底に独立国と従属国の基本精神の違いがにじんでこないのが惜しい。教科書を読む史実はのようで、現代性が薄い。
【「同人雑誌放浪記(一)」藤田小太郎】
 文芸同人雑誌に二流や三流があったなんて、全く知らなかった。ほかにどんな同人誌があるのか、一流や四流のちがいもあったのだろうか。面白そう。
発行事務局=〒225-0005横浜市青葉区荏子田2-34-7。江間方。
紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。

 

 

 

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2022年5月12日 (木)

文芸同人誌「文芸中部」第119号(東海市)

【「クローゼットの中の家族」北川朱美】
 ある日、井口直子が家に帰ると5日前からいなくなった飼い猫の死体が、ダンポール箱に新聞紙にくるまれて、送られてきた。中に手紙が入っていて、道端で車に轢かれて死んでいたのを見た人がいて、首輪に書いてあった所番地を見て、送ってくれたのだ。その後も、直子のペットロスの気持を慰める手紙が来る。見張られているようなのだ。スリリングな出だしなので、大衆的な読み物かと思ったが、必ずしもそうでなく、ストーリーの設定など、一筋縄ではいかない話になっている。この猫の事故死の話には落ちがあって、30年前に子供が事故死した経験のある老人が、ストーカー的なことをしていた、というもの。それに付随して、その老人の悲しみを純文学的に描く。いつまでも、こだわりを持ちつつ生きた老人の姿が印象に残った。
【「ベルリン夢二式」西澤しのぶ】
 竹久夢二が欧州で何をしていたのか、謎めいた部分を小説している。なるほど、そういうこともあったかもーーと思わせる・
【「二色の瞳」大西真紀】
 母親から、亡くなった祖父の飼っていたツキという犬を引き取る羽目になった話。真面目にその後のことを語っている。題材はいいが、語りに面白さが少ない。そこが残念。
【「曼珠沙華」朝岡明美】
 梶浦亮介という男の身の上話。自分は純文学通でないので、これしか感想が出ない。通俗小説なら、人物が立ち上がらないというところだろうが、それも本作に当てるのは的外れのような気もする。
【音楽を聴くー88―バッハ「ゴールドベルク変奏曲」堀井清】
 音楽の話のほかに、最新の文学動向についての感想がある。読者としてついていけない側面を指摘する。全く同感であるが、もともと個人の趣味の多様性から、仕方がないと思う。
【「東海文学のことどもから(12)」三田村博史】
 これが一番面白い。「東海文学」が同人誌の枠を超えて中央文壇と接近していた時代の事情がよくわかる。また、作家・吉村萬壱氏らしき人の地域的親密さ、現在活躍の同人の過去など、なるほどと理解する絵解きにもなっている。
【「千の五年」広田圭】
 時代小説で、江戸にコロリ(コレラ)が流行り、治安が乱れて、打ちこわしの「いいじゃないか」連を装って、米問屋からコメを盗む連中が連続して跋扈する。それを与力の山の井が解決する話。話にスピード感があり、娯楽小説として良くまとまっている。良い出来だと思う。
【「花泥棒」堀井清】
 老人の余生を描いて、その心理を浮き彫りにする。リアルさよりも話の流れと問題提起で、考えさせる作品。相変わらず巧い短編である。俗にいえば、暇つぶしに困った老人が、似たような境遇の友人から万引きをしようと誘われる話。人が生きるには、何らかの欲望を持つことが必要で、そのひとつに万引きの緊張感への快感があるということか。
発行所=〒477-0032東海市加木屋町泡池11-318。文芸中部の会。
紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。

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