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2022年2月 7日 (月)

文芸同人誌「私人」第105号(東京都)

 朝日カルチャーセンターの新宿住友ビルの教室の尾高修也教室のもの。
【「花曇りの頃」えひらかんじ】
 純文学作家で、あまり人気のない幸田は雑誌社編集長から、頼みごとをされる。時代小説の人気作家、林文吾に会って、原稿依頼の根回しをしてほしいというのだ。林とは、何年も前にこの社から本を出しておらず、他の出版社を稼がせているのだった。幸田は、林とは小学校の同級生で知り合いだった。ところが、幸田は現在、時代小説の執筆を引退して、現代小説に転向したがっているという。話の進行が遅いものの、文章はたしかで、面白く読める。秀逸なのは、林という作家の語るグレアム・グリーンの「第三の男」の映画と小説の表現視点の異なるところ指摘するところであろう。G・グリーンの作家としての原点に迫るところがある。そこが面白い。
【「岩魚」根場至】
 岩魚を釣りに行く話の中に、父親のとの関係を思い起こし、理解度を深める。内向きの話である。
【「落伍者たち」梶原一義】
 過去に、会社を倒産せた男が、事業に失敗した人達の相談に乗るという。かつての「八起会」のようなことをしている。ちょっと時代背景が古く、駆け込んでくる人の話も類形的。映画のシナリオの初期箱書きのような感じがする。自分は、事業再生の仕事を手伝ったことがある。企業倒産したから落伍者という概念はないし、倒産会社の10の条件も抽象的で切実感がない。昭和時代の話のようだ。
【「青空が垣間見えた時」青木裕子】
コロナ過による、事業の持続化給付金の詐欺にかかわり、事件に巻き込まれる税理士の話。時代感覚に優れたところが良い。
発行所=〒364-0035=埼玉県北本市西高尾4-133、森方。
紹介者=「詩人回廊」・北一郎。</p

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