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2022年1月30日 (日)

時代小説同人誌「茶話歴談」第4号(枚方市)

 歴史・時代小説アンソロジーの雑誌である。すでに千部を超えた発行実績があるというから、実に素晴らしい。いずれも、文章が軽快でスピード感がある。読者を楽しませようという精神が根底にある。コロナ禍で、文学フリーマーケットで売るのをあきらめざるを得ないのが、残念だ。現代は、職業作家が時代小説ジャンルに切り替えている。複雑化した現代社会にでは、説明が難しい。しかし、時代物は設定が、わかりやすい。比較的自由な表現が可能なのが理由であろう。作品の出だしを、イントロ文として紹介する。純文学だと思って作文しか書かない人に意味不明でしょうが、参考にしてくれればなあ、という想い。
【「かぶき、踊る」天河発】
 ―少女が出会った舞蹄への導き手。―とあるが、短い話のなかに、お国かぶきの精神が、江戸時代から現代までにつながっていることを実感させる。
☆イントロ文=目を奪われる。心躍る。/その意味を少女はこの日理解した。
【『建久十年の万馬券』黒嵜資子】
 -嫌倉の武人たちが人馬一体となり最速を競う。(ユーモアに満ちた文章力で、読者の心をくすぐる。)
☆イントロ文=武士たるもの、鞍上死するは本懐なりーーそういってはばからかった御家人たちが、みな一斉に馬の背からおりた。
【「覇道を絶つ者」真弓創】
 ―信長の後継者・織田信忠が目指した天下の形。
☆イントロ文=「松永久秀、謀反の由」。/安土城の軍議の間に緊張が走った。…
【「忍冬」丹羽志朗】
 ―殺しを探索する八丁堀同心を背後から助ける謎めいた怪人の暗躍。
☆イントロ文=不忍池の淵に化け物が出るという。
【「鬼無しの話」都賀久武】
 ―下人の息子が天狗に出会い非情の世界に身を投じる。
☆イントロ文=故郷は川のそばで柿木が多い里だった。
【「家康から信長への貢物」山岡優作】
 ―家康に信長を超える決意をさせた貢物の正体。
☆イントロ文=天守閣の縦連子窓の外を見れば空一面を雲が多い、梅雨入りを知らせるかのように五月雨が……―
【「哀しき窮鼠の反撃作戦」霧山文三郎】
-四條畷の戦いを立案した軍師親房の悲しみと後悔を描く。
☆イントロ文=大勢の登場人物紹介がある。それからの物語。北畠親房は気が昂ぶり、なかなか眠れずにいた。
【「尼のくノ一」朝倉昴】
 -満徳寺の尼として修行をする早尾に新たな使命が課せられる。
☆イントロ文=満徳寺の境内には尼僧たちの経を読む声が響いていた。
【「与兵衛寿司」有汐明正】
 -寿司の革命、握り寿司の誕生にまつわる話。
イントロ文=『東海道四谷怪談』が江戸っ子たちを昂奮させ、巷の噂を独り占めしてから五か月ほど経った。
発行所=〒573-0087大阪府枚方市香里園山之手町12-29、澤田方、朝倉昴。
紹介者=「詩人回廊」北一郎。

 

 

 

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