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2021年12月10日 (金)

総合文芸誌「ら・めえる」第83号(長崎市)

【「贋作」遠藤博明】
 形式が、夏目漱石の「吾輩は猫である」と同じなので「贋作」としたのであろうが、内容は創意があふれて、なかなかの面白さである。パロディ・「私は猫」とかのタイトルが、適切ではないだろうか。文章家としても、ユーモアたっぷりに語る手腕は、抜きんでて貴重な存在。世相風刺的な題材での連作を期待したい。
【「聖母の巡礼」吉田秀夫】
 乙女とマリア様の運命を破壊した原爆のむごさを、今更のように感じた。忘れてはならない出来事である。
【「砂の器 殺人行」歌狂人 卍】
 松本清張の「砂の器」のオマージュのようなミステリーで、よく書きあげたものだと、感心した。また、直木賞や芥川賞と受賞した作家のその後の逸話などに詳しく、面白く読まされた。
【「夢の如くにて御座候(その2)」新名規明】
 斎藤茂吉と恋仲になった、ふさという女性の関係を和、歌を挟んでたどる。短歌や音楽には艶話が、創作意欲をかきたてるらしい。そうした趣味がなかったのが残念。いいものなんでしょうね。
【「直木賞のこと」宮川雅一】
 地元出身作家と直木賞の関係が語られている。作家・澤田瞳子さんが、新田次郎賞を受賞した時、その表彰式には、自分も晩年の伊藤桂一氏について行ったものです。《参照;澤田瞳子さんの新田次郎文学賞授賞式から
【「知の巨人 渡部昇一」長島達明】
 愛国的な論客だった様子が記されている。特に敗戦以降の東京裁判のイメージに沿った日本の世界に対する姿勢に、問題意識があったようだ。現在でもこの問題は残されている。晩年に自分はベンチャー企業の経営者に連れられて、渡部氏の講演をうかがったことがある。病を得ていたようで、やや消耗されていた感じだった。
【「渋沢栄一の長崎講演」草場里美】
 時流である。時代が異なると、社会のリーダー像も変わるようだ。
【「古代日本の形成と渡来人―主役は韓人ではなかった」藤澤休】
 日本人の存在と韓人の関係をこのようにとらえる話を知らなかったので、その意味がわからなかった。この話に、海賊の倭寇のことがでてこない。自己流の研究によるだけだが、朝鮮半島や中国の日本海側は、彼らが襲撃や強奪を行い、迷惑がられた話である。倭国は、取り締まりの要求をされたという。その時に、おそらく暴れまわって子種を残してきた可能性がある。また、沖縄は独立国で、九州も薩摩隼人族で独立していたようだ。北海道はアイヌの地で、奇妙なことに沖縄人とDNAが似ているそうだ。また、秋田県の多くは、ロシア系の血流の痕跡があるそうで、秋田美人の要因だそうである。薩摩族へは、倭国が本州から攻撃、激しい戦いで、かなりの犠牲者がでて、平定した。その時に、犠牲者の鎮魂をしたいという人がいて、祈りをささげた。その内情は、神社神道は清めと祓いしかなく、魂をおさめるということがない。ところが、仏教には鎮魂法があるので、お経をとなえた。そこから日本で仏教が広まり、道徳を説くことで、神社にも一目置かれたという。また、天皇家は特殊で、現在は朝鮮系の痕跡があるそうで、それがないと別流の血筋になるそうである。DNAを基本に、いろいろな発想があっても良いのでは。コロナの感染でも、日本人は独自の反応を示しているようで、日本人は周囲と断絶したとろのある民族であるらしい。
発行所=〒851-0115長崎市かき道4-35-22、新名方。長崎ペンクラブ。
紹介者=「詩人回廊」伊藤昭一。

 

 

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コメント

「ら・めえる」83号の作品について御批評、ありがとうございました。12月12日、本誌の合評会を長崎市民会館会議室にて行ないました。参加者16名。参加者に御批評のコピーを回覧致しました。合評会に間に合って良かったです。遠藤さんの作品がほめられているのが印象的でした。

投稿: 新名規明 | 2021年12月12日 (日) 22時45分

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