文芸同人誌「駱駝の瘤通信」第22号2021年秋(福島県)
本誌の「扉の言葉」の澤正宏「国家は歴史に学ばない」は、世界情勢への鋭い視線と日本の国民への集団性、或いは全体主義性を強める傾向への指摘がある。同感と学びの意義から、「暮らしのノートITO」に許諾を得て全文掲載させてもらった。《参照:澤正宏「国家は歴史に学ばない」酪駝の瘤通信22号より》英国BBCは、中国特派員のサンドワース氏を今春、北京支局から台湾の台北支局に異動させたという。サンドワース氏がウイグルにおける人権弾圧について報道した内容が理由で、中国当局に拘束されそうになったためだ。独裁専制体制は、利権を持つ立場からすると何事にも能率がよい。味をしめたらやめられない。民主主義制度のなかで、集団主義による独裁への動向は国民が監視していなければならないであろう。
【「世界は暗澹たる荒蕪地―これは人間の国か、フクシマの明日―5-」秋沢陽吉】
薬師院仁志「地球温暖化論への挑戦」という本があるという。そこでは、地球温暖化の要因が2酸化炭素の大量排出によるという断定への疑義が提示されているようだ。そして、世界がマインドコントロールされているのではないかという疑問提示しているらしい。
また、「長周新聞」という地方紙には、IEA(国際エネルギー機関)がカーボンニュートラルを主張するパリ協定を支持し、この協定が世界を相手の新ビジネス化としているという主張を紹介している。
筆者は、それらの見解を支持し、「地球温暖化防止やカーボンゼロという科学的な根拠のない砂上の楼閣がどんどん築かれるのは、つまりは、膨大な投資と収益がある産業の隆盛を目的とするからだと思う」としている。
この観点は、当たっていると思う。資本主義のグローバル化の浸透で、行き詰った従来の産業構造の変化を狙った流れであろう。発電所が化石燃料を使用しているとして、COP26で、日本が化石賞をもらったそうだ。馬鹿な話だ。日本の2酸化炭素排出量は、世界の3%に過ぎない。中国は、30%を占める。これからいくらでも排出しても、世界に影響は与えない。1億の人口で、世界第3位の日本の経済力を弱体化し、そこに割り込みたいだけのイメージ戦略である。本論には、米国の戦争ビジネスについても指摘がある。たしかに、アフガニスタンは、米国が何百兆円もつぎ込んだので、自国民の税金で軍需産業が儲けた。米国に勝ったタリバンは、金づるの米軍が撤退したため、貧しくなった。戦争ビジネスの本質が露呈した出来事である。
その他、澤正宏「福島被災以後を追う(6)2121年5月から2021年8月まえ」は、労作である。プラント工場で事故が起きないということは、あり得ないので近年中に、読み返すことになるのではないか、と思う。【「一兵士の広島原爆体験記(仮題)」N氏】も、この時代に骨董店でも見かけない兵士の手帖である。貴重な市井的資料といえる。
発行所=郡山市安積北井1-161.「駱駝舎」。
紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。
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