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2021年7月16日 (金)

文芸同人誌「あるかいど」70号(大阪市)(その2)

【「フクギの樹の下で」住田真理子】
 今から20年程前に、山原(やんばる)の村で、祖母カマドから聞いた話であるとーと前置きし、その語りを独白調で記す。戦前から、戦後直後まで、風俗風習がよく分かり、胸を打たれる。墓での洗骨の風習など興味深いが、敗戦で米軍支配のもとで、飢えと睡魔のもとで、赤ん坊を死なせてしまう話などは、涙が出てくる。間奏としての民謡が良い。現実をがっちり捉えようとする精神が好ましい。歳をとると涙腺が緩むらしい。かつては、かつては、妹から「兄さんは鉄仮面」という。理由をきくと、家族全体の危機の時に、表情を変えず混乱に対応した時に、表情が普段のままだったからという。頑張っていたらしい。今は、ただ物事が悲しいだけである。
【「冬の邂逅」奥畑信子】
 夫の墓参の話で、生前の出会いなど想い出が話を飾る。自分の世界に愛をもち、ささやかな心の充足を語る。これも良い。
【「世界の果てでサボテンは笑う」赤井晋】
 若い書き方で、生命感がよく出ているが、ジョン・レノンの活躍した時代か、それ以降の人々の話である。音楽的な趣味性に富んで、面白い。もうひとつアクセントをつけたいところ。どこかに埋れてしまいそうな作品だ。
【「バニラ」猿川西瓜】
 SF的などこかの世界の話だが、長編の一部分を抜き出したようなものらしい。部分的にそrなりに読める。今度の芥川賞受賞作品も、SFらしい。独裁国家では優れたSF小説があるらしい。頑張ってみて。
【「マチュピチュ」池誠】
 田河寿朗という男が、自転車に乗って病院に向かう。会社で将棋をさしている時に、頭をガーンと殴られたような感じがし、同僚から顔色が悪いと言われる。殴られたの、脳溢血を起こしたのかわからないまま、話がすすむ。このなかで、自分という人が出てくる。冒頭の田河のことらしいが、ここは田河としないと、別人かと思う。
発行所=〒545-0042大阪市西阿倍野区丸山通2-4-10-203、高畠方。
紹介者=「詩人回廊」北一郎。

 

 

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