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2021年5月16日 (日)

文芸同人誌「弦」109号(名古屋市)

【評伝「茶聖・千利休・自裁の謎」久野治】
豊臣秀吉に重用された千利休が、やがて秀吉不興を買い自死に追い込まれた史話は、有名だ。しかし、その具体的な理由は、いまだに不明で、諸説あるそうで、いくつもあるその説を簡略に解説して、いちばん読みごたえがあった。これを記した意図も明らかで、作者による著書「茶人伝」(中日出版)と「千利休より古田織部へ」(鳥影社)を読めば、その詳細が理解出来るというのである。そのためか、気力溢れた表現力で読む気にさせる。
【エッセイ「スーチーさんの国のガイド」加納伸】
 いま、ミャンマーで軍事クーデターにあい、軍部に幽閉されている、アウンサン・スーチー氏の、あまり語らえない過去が語られている。国際平和賞を受賞しながら、解決の難しいロヒンギャ問題で、軍部との妥協で、するべきことをしないと、それを取り消されたこともる。政治的な妥協の勘所を知らない、知識人の判断のかたくなさに、スーチーに同情を禁じ得ない。それほど妥協したにもかかわらず、クーデターを起こされるとは、政治の難しさである。これで儲けるのが中国などの武器輸出商人である。諸外国の利益が絡んで政変を助長する。
【エッセイ「どうしてこんな国に^母性からみた性教育」有馬富美子】
 ――子供を産んで殺して埋めた。その足で会社の面接に行った。――この表現で、書き手の怒りが伝わってくる。哲学者の三木清は、怒りは、その人の高貴にする。尊厳を高めると書いている。作者は、その要因が、性教育の質的低下にあると主張。たしかに、そうであるが、その前に、社会的な人間関係の歪みから生まれた面がある。それは国民の精神的なゆがみであり、それが国を歪ませている。世界中の国で、社会の底が抜けている時代になった。
  これで、紹介は終える。作品はすべて読んだが、考える時間が長くて迷った。一部の例外を除いて、あらすじが紹介しにくいように思い、迷いが生まれる作品が多い。コロナ禍で、落ち着いて焦らず、よく書いているとは思うが、その分勢いが読み取れない。活き活きと生きていることを示してほしいところがある。
発行所=〒463^40013名古屋市守屋区小幡中3-4-27、中村方。
紹介者=「詩人回廊」北一郎。

 

 

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