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2021年2月 6日 (土)

社会評論家としての菊池寛

 このところ、《菊池寛の海外モダン文学案内<ゴールズワージィ>人間を描く》このような頁を連載しています。これは、作家になるためにはどの程度の文学作品を読んでおけばよいか、という指針の一つです。内容は、昭和13年にという近代社会(モダン)時代に記されたものにもかかわるず、現代のウィキペディアよりも明確で充実しています。自分は、この「日本文学案内」という著書を単なる昔の小説作法だと思って読んでいました。しかし、そこには、作家凡庸論や、創作物の価値論があります。この一環した思想に注目しました。自分は、一応マルクスの資本論を読んでいて、宇野理論を学んでいましので、その延長で、ヘーゲルまで入り込むことがあったので、菊池寛はかなりヘーゲルを研究していたのではないか、と思うようになりました。たとえば、25歳以前に小説を書いてもムダだーというような、主張がなぜ出てきたか。これは、人間の社会式が育つのにはこのくらいの時間がかかるという、思想の表れでしょう。ヘーゲルは、国家は国王が管理し、その民衆的な体制の完成する姿を神が見ているーというようなことをいっているようです。昭和13年頃は、天皇を君主とした日本のアジアへの帝国主義の時代です。菊池寛は戦争に協力したということで、戦後GHQから弾劾されました。しかし、国家と国民の関係では、国家統一のために暴力機構(軍隊)に国民は協力し他国の侵略から守るべきは当然と思っていたでしょう。ただ、それが、国際的に侵略的であっても、当時は国家利権の防衛範囲が広く、侵略意識はということよも、戦争の善悪に左右されたのではないかと思います。今の中国の思想を日本が先取りしていただけかもしれません。日本は、当時、圧倒的な武力をもっていて、朝鮮半島は戦うことなく、日本に屈服したのです。現代のフィリピンが、中国の侵略にあっても、戦争しないで譲っています。そのようなものでしょう。

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