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2020年11月28日 (土)

文芸時評「東京新聞」(11月26日付)=伊藤氏貴

タイトル=仙田学「剥き合う」―セックスレスの先に/鴻池瑠衣「わがままのロマンサー」―恋愛、性、結婚が崩壊/李琴峰「地の果て、砂の祈り」-性行為抜きの同性愛。
《対象作品》
 仙田学「剥き合う」(「文学界」11月号)/鴻池瑠衣「わがままのロマンサー」(同12月号)/李琴峰(りことみ)「地の果て、砂の祈り」(「すばる」12月号)/竹林美佳「弱い愛」(「同」12月号)。
 時評の感想をいうと、対象作品は、性的な関係は男女の生殖と契約的な相互関係による結婚を軸に、社会がまとまっていきた。そのためLGBTに類する人たちが、文学作品か通俗小説などで少数派として描かれる現象を、普通のこととして描かれていることを浮き彫りにしているようだ。
 純文学が通俗小説のように面白くないのは、そうした概念の変化を前提としたものとして描くために、微細な感情を描くことで、成立しているからであろう。
 文芸時評はその社会性を指摘し、時代の変化への見方を啓蒙するところに、存在価値があるということにならないか。

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