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2020年6月 2日 (火)

総合文芸誌「ら・めえる」第80号(長崎市)

【「ひるこ様の海(前編)」片山みさと】
 N半島の東岸にある山にひるこ様と呼ばれる神社がある。ひるこはイザナギとイザナミの神が国産みをした時に、最初に産んだ神であるという。このひる子様の神社を巡って、高平真帆という女性の運命を描く。自分は、こうした連載ものは、通読しにくいので、取り上げないことがおおいのだが、本作は読み物として、大変優れた表現性があるので、おすすめ作品として短く解説したい。その要点は、物語の進行がすべて場面の連続で語られていることである。そのため、霊性を描いた幻想的な話でも、そこがきちんと場面として描かれているので、鮮やか情景をもって、存在感に満ちて読み取れるのである。作家としてのイメージ形成力が発揮されており、自分は引き込まれ、面白く読んでしまった。作者と物語の距離感も十分で、自分の小説感と一致する。小説と作文の基本的な違いは、基本的には、作者が小説であると思えば、そうである。しかし、客観的には、場面の連続で話を進めるか、状況説明で話をすすめるか、のちがいである。物語を進めるのにふさわしい場面を考えるのが創作である。多くは、想像力をもって場面を作るのが、面倒なので説明で済ましてしまう。それでもなお、面白く読ませる人は文才があるといえるような気がする。自らに文才あるかどうか、まず知ることが必要であろう。
【「テネシーワルツ」吉田秀夫】
 パテイ・ペイジの「テネシーワルツ」について語りながら、情感豊かに青森の三沢基地で出会った時の印象を語り、彼女のベトナム戦争とアメリカ人精神の葛藤を描く。エッセイかと思ったら、たしかに読後感は小説であった。テネシーワルツの歌詞の訳もあって、読むうちに、日本人でヒットさせた江利チエミなどの人生が心をよぎり、ジンときて、しんみりとしてしまった。
【ヒカル その1」櫻芽生】
 ヒカルの生活体験であるが、人物像としてどのようであるのか、微妙なところの作品。
【「美術館物語~プラドからの風(2)」麻布真】
 地域文化と国際都市の文化の交流が語れていて、今回は上海との関係を面白く思った。
【「[真珠湾ー日米開戦とルーズベルトの責任」長島達明】
 アメリカの政治構造については、「暮らしのノートITO」で、憲法と人種差別精神、金融、選挙システムなどを記事にしてきた。特に、日本の従属国政策は、あまりにも米国ファーストを貫いたもので、日本人を洗脳してきたのか、日本人がそれをうまく利用してきたのか、その事情の理解に役立つと思い、別途、紹介することにした。《参照:「アメリカの鏡・日本」の概要(1)長島達明氏の評論から》特に「アメリカの鏡・日本」じぶんも、よく知らなかったので、その概要は大いに助かる。また、真珠湾攻撃の事前情報漏えいの件は、多くの情報が飛び交う中で、その選択眼が問題であることがわかる。
【「梅ヶ枝餅」発祥の地はどこか?」新名規明】
 地域名産というか、その発祥を追う中で、芥川龍之介や菊池寛の活躍が織り込まれて文学史的にも興味深いものがある。
発行所事務局=〒850-0918長崎市大浦町9-27、田浦事務所。「長崎ペンクラブ」
紹介者=「詩人回廊」北一郎。

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コメント

伊藤昭一さま
 6月2日付の通信で「ら・めえる」80号に私が投稿した「真珠湾」に対してコメントを頂戴した長島 達明です。
 私は長崎ペンクラブには昨年秋に入会した新米で、文芸同志会が如何なるものか、も存じ上げなかったのですが、昨日の合評会でその内容を知り、遅ればせながらひと言お礼を申し上げることにしました。
 私が書いたものに対してこんなにご丁寧なコメントを頂戴出来るとは思ってもいませんでした。過分の評価を頂戴し、厚くお礼を申し上げます。
 「ら・めえる」は文芸誌とのことですが、何を書いても良い、と言われていますので、これからも常日頃考えていることを書いて行きたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくご指導の程をお願い申し上げます。
6月14日              長島 達明

投稿: 長島 達明 | 2020年6月14日 (日) 09時11分

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