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2019年3月18日 (月)

文芸同人誌「茶話歴史」創刊号(大阪府)(2)

【「幻の天下人」山岡優作】
 中国大返しの最中、黒田官兵衛と秀吉の静かな駆け引きが繰り広げられる。戦国の時代を、誰が天下人になろうが、その地位を確保して生き残った黒田官兵衛。機を見るに敏な性格と野心の推移を、光秀が信長を討ったた時点から描く。書き手が百人いれば百通りの内面が書けそうな素材。単純化した話法で。興味をそそるようにしながら巧くまとめている。難しい作業であろうから、こういうのは、欲を言っても仕方がないのかも。
【「浪速のガリレオ」まつじゅん】
 岩観星鏡(天体望遠鏡)の作成に一生をささげた男の執念。岩橋善兵衛という望遠鏡の専門家がいて、伊能忠敬の業績に貢献したという。このことは、知らなかったので、大変興味深く、関心を持って読んだ。一筋に生きる人がここにもいた。いや、面白い。正統派の歴史小説であろう。
【「愛怨輝炎」天河発】
 清姫の恋の情熱が美しき僧を破滅に導く。よく知られた伝説的な話が原型であるが、それをこのように、書きこなす器用さに感心する。ただ、新機軸のようなものは、感じられない。でも、温故知新。今の人には、新しいのかも。
【「槍の又佐と伝説の軍師」朝倉昴】
 桶狭間を駆ける前田利家と山本勘助の交流を描く『槍の又左と伝説の軍師』。 山本勘助という、よく知られていながら、その実態が不明な人物を、想像力を働かせて、存在感をもって表現している。なるほど、と感心。
 八作品を読んで、意外と市井ものや郷土史ものが少なく、著名な歴史的事実に題材をとったものが多いのに、現代の時代小説が伝統の流れに沿っているのがわかった。不満をのべたものでも、みな、書きなれていて、作家的手腕の持ち主であることがわかる。文学フリマを意識した同人誌の、基本に忠実なものが健在であることを示している。
〒573-0087大阪府枚方市香里園山之手町13-29、澤田総方、朝倉昴。茶話歴談編集部。
紹介者「詩人回廊」編集者・伊藤昭一。(この項おわり)

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