« 文芸誌「樹林」2018(AUG)Vol.643(大阪市) | トップページ | 文芸同人誌「砂」の活性化をはかって以来 »

2018年10月 2日 (火)

文芸時評10月(東京新聞9月26日)佐々木敦氏

《参照:石井遊佳「象牛」 坂上秋成「私のたしかな娘」 古川日出男「ローマ帝国の三島由紀夫」 佐々木敦
 『新潮』10月号で古川日出男が長編戯曲「ローマ帝国の三島由紀夫」を発表している。同誌は野田秀樹や岡田利規、神里雄大などの戯曲を随時掲載してきたが、舞台化の決まっていない純粋な書き下ろし戯曲、それも小説家の筆による戯曲は非常に珍しい。古川には『冬眠する熊に添い寝してごらん』という戯曲があるが、これは故・蜷川幸雄の演出によって上演されることが前提だった。だからこれはかなり貴重な試みだと言っていい。
 「戯曲」も「文学」の一形式である。かつての文豪はしばしば戯曲に取り組んだものである。その最大の存在こそ三島由紀夫であり、古川は大胆にも「ミシマユキコ」を舞台上に登場させる。破格のスケールの小説を次々と書いてきたこの作家は、戯曲でもあっさりと時空を超えてみせた。

|

« 文芸誌「樹林」2018(AUG)Vol.643(大阪市) | トップページ | 文芸同人誌「砂」の活性化をはかって以来 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 文芸誌「樹林」2018(AUG)Vol.643(大阪市) | トップページ | 文芸同人誌「砂」の活性化をはかって以来 »