« 紗倉まなさんデビュー作「春、死なん」 鋭いまなざし | トップページ | 放送を語る会のモニターを知る »

2018年10月16日 (火)

文芸同人誌「澪」第12号(横浜市)

 本誌のドキュメントと映画評論は≪「自然公園生態系レポート3植物編」鈴木清美≫の記事にした。ここでは創作について紹介する。
【大人の童話「ねこのくる日々 三夜(最終夜)」片瀬平太】
 若者が引きこもりの生活から脱出し、再生の生活をする。文体が軽快で、読みやすく的確。リズム感がよく、普遍性をもつのではないか。
【「行列」衛藤潤】
 行列することの多い日本社会を風刺するもので、ここでは幾日も行列が続く現象を追及するが、何のために行列をしているのか、判らないまま話と論理が述べられるのが、可笑しみのあるところ。それが現代の社会批判になっているようだ。
【「扉の向こうに」鈴木容子】
 これは、コミック雑誌を発行する会社の女性編集員の「私」によって語られる職場の状況である。正社員とバイト員の関係。両親のいる自宅から通うが、編集業の長時間労働で、会社に泊ってしまうことが多い。そこで、会社の近くの安アパートを借りてみるが、実際にそこに寝泊まりすることがなく、契約を解除する。自分は昔のライターだったので、専門新聞社や経済雑誌、機関誌の編集をしていたが、とにかく裁量労働制で長時間勤務は当然であった。現代のマンガ雑誌でもそれは同じであるらしい。ただ、働く意識に関する部分は、かなり異なる。社会構造の変化で、現在の若者たちの立場と意識がわからないので、興味津々で読んだ。リアリティがあり、今はそうなんだーーと情報としても感心して読んだ。
発行所=〒241-0831横浜市旭区左近山157-30、左近山団地3-18-301。文芸同人誌「澪」の会。
紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。

|

« 紗倉まなさんデビュー作「春、死なん」 鋭いまなざし | トップページ | 放送を語る会のモニターを知る »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 紗倉まなさんデビュー作「春、死なん」 鋭いまなざし | トップページ | 放送を語る会のモニターを知る »