中部ペンクラブ文学賞(第31回)に弥栄菫さん作品
「中部ぺん」第25号が刊行され。第31回中部ペンクラブ文学賞受賞作く「誰かが誰かのS](弥栄菫)に決まった。作品内容は、女性の視点で、前の男から現在の男と同郷する過程に、お互いの関係性をどのような支配関係を維持するか、性の交わり方のなかで、描かれているもの。選評があって、その中の吉田知子氏が、応募作がどれも男と女の関係ばかりと、素材の傾向に批判をしている。
たしかに、そうであるが、まず出来るだけ読まれることを志した場合に、無難なものを選ぶのは仕方のないところであろう。それよりも、こうした同人雑誌系の作品となると、短編であるため、テーマの深堀りをする余地がない。
そこで、ひとつの手法として、その先を続けて書くことの出来るスタイルを開拓する手法もあるのではないか。一種の2重構造をもたせ、合わせて読んだ場合、統一感とビジョンがまとまるようなものである。
たとえば西村賢太の場合、前半は色欲の強い陋劣な人間性を強調し、後半は藤澤村清造への畏敬、愛情の純粋な心の表現を描き、澄んだ作品の印象を形成している。視点を極端に下げ、その後次第に精神を上昇させるという二層構造で、作品を成功させているように見える。丹下左膳や座頭市のような、欠落したところある主人公が関心を惹きつける通俗性に通じるものがあるのではないか。
《関連:文芸誌「中部ぺん」第25号を読み文学を語る!9/23開催》
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