赤井都氏=ミニチュアブックソサエティ大会に行く(分載2)
私は2006年、初めて作ったハードカバーの豆本がミニチュアブックコンペティションで日本人初受賞をした後に会員になり、以降毎年豆本をコンテストに送り続け、ニューズレターを受け取ってきました。《参照:赤井都さんが国際”豆本コンペ”2016で3度目の受賞》
受賞してすぐ、来年は行く、と思ったのですが、豆本人気で忙しくなってしまい、機会を逸し続けてきました。数年前フェイスブックを始めたところ、会員の方々とつながり、お互いの顔や今の関心事がわかって親しみが増しました。大会には毎年、その都市近郊に住んでいる会員が世話役となるのですが、その方が私の大ファンで個人的な招待状を下さり、私の仕事がちょうど一区切りついたところでもあって参加に踏み切りました。
大会は、主にホテルを会場として行われました。参加者はほとんど皆が同じホテルに滞在し、食事も共にする、いわば豆本合宿です。
一日目の金曜は、午後からホテルの前にあるバス停から無料バスに乗って、ヴァージニア大学図書館へ。どっちに向って歩けばいいのかわからないけれど、豆本っぽい気配のする人たちの後ろをついていけばいいはず。受付をすませて記念品一式が入ったロゴ入りバッグを受け取り、Carolineコレクションの展示を学芸員さんの説明付きで見学。書庫では、豆本は10冊くらいずつ立てられる手のひらサイズの保存函に保管されていました。豆本は稀覯本の一部として捉えられています。
展示室の隣では本の中身のアイデアを出すワークショップがあり、メモ帳に思いついたことを書き出しました。午後3時からは隣の建物内のThe Rare Book Schoolで、ワインとチーズ、ぶどうなどが並べられ、学校紹介がありました。本を、Virginia humanitiesと位置づけているのが印象的でした。ホテルに戻ると、サロンに本が並べ
られていて、豆本古書店主の会員さんがマイクを取って、入札式のサイレント・オークションが行われました。同じ部屋でディナーがあり、デザートを終えたら、機構本オークションのプロである会員さんが壇上に立って、ライブ・オークションがありました。
食事は、丸テーブルに6席くらいずつ作ってあり、好きな所に座ります。同じテーブルに座った人たちで話をします。一人が話し始め、ひとくさり話すと、質問が少しあり、そして次の人が前の話を受けて話し始めて、私にとってはデカメロンの世界です。19世紀の小説で、かぎかっこの中が長い、数ページ続く、と思ったことはありませんか? それくらいの長さは一人の人が話し、皆はうなずきながら聞くというコミュニケーションです。知らない人ばかりに囲まれて全部英語でどうしよう、と思いましたが、皆がopenでkindなので大丈夫でした。私は初参加で
ありながらも、ほとんど皆が私のことを知っていました。会いたかったよ、とか、やっと来たね、本を通販で買ったのは私だよ、などと言われて、英語は平均6割理解でしたが、さっそく第二の故郷のようでした。
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