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2018年5月29日 (火)

文芸誌「砂」第137号(東京)

【「再び、只野ますみの行ったり来たり(13)」只野ますみ】
 本誌「砂」の有力書き手であった宇田本次郎氏の訃報を知って、彼の想い出を記している。このなかで「砂」誌が、優秀作品賞を設けて、彼に授与したかしようとしたか、した時に、「腹が立って、これでも物書きの端くれだろうから、同人雑誌仲間とは違うだろう」と語っていた、とある。
 自分も、詩人で直木賞作家の伊藤桂一氏の門下生仲間として、宇田氏とは他に交流があったが、知らなかった出来事だ。芸術性の高い文学性を目指す人には、独特な自負というかプライドがあるものだなと、感じた。私は「砂」誌でなにかをもらった記憶があるが、なんとも思わなかったし、自分で話題にしたこともない。そういえば、この会でのことだと記憶しているが、ある人の作品を仲間が、褒めたつもりで「これは一皮むけた出来ですね」と言ったところ、「一皮むけたというのは、これまで下手だったということか」と、怒り出したのを見たことがある。笑ってしまったが、文芸では褒め方も難しいところがあるようだ。
【「ひとりの空間」夢月ありさ】
 生活のなかで、自分だけのひとりでいられる時間と空間について、まず、トイレ、洋室、車の運転席、電車のなかなど、挙げている。さらに美容室や馬術場、釣り人などの事例を取り上げ、「おひとりさま」を積極的に行うことで、社会生活が、充実するとしている。
 我々は大衆として社会生活を送るなかで、何らかの特性をもつ集団と日替わりのように接触し、所属している。そこで独立した個性と人格的統一をどのように維持するか、生活や価値観・思考などが画一的類型化された「砂のような大衆化」に巻き込まれまいとする精神が表現されている。
【「林家これから」林治子】
 父母の遺産分けを姉妹でどのようにしているか、のレポート。私自身も長男で、親の残したものを姉、妹、弟で金銭に変えて分配するしかないことに、多少の抵抗感がったことが記憶にある。
 その他、詩作品のほか、伊藤昭一の「町工場スピリット・クロニクルのⅡ」として、視覚障害者用「触図筆ペン」を開発した安久工機の田中隆社長の仕事ぶりをレポートしている。
 前号では、物を作るのにゴミを出さないことから、生活のなかでゴミを出さない工夫をしているトキワ精機の木村洋一社長の思想を紹介した。これは以前い取材し、各種経済雑誌に掲載交渉をしたが、話がまとまらず、部分的にブログで公開してきた。しかし、長く詳しく書くとブログ形式に会わないので、断片化していた。それを一気通貫でまとめて紙活字にしたものである。本誌を文学ウリ―マーケットに出したら、在庫不足になるほど売れた。おそらく、関係者が買っていったのであろうと思う。
 その後、文芸誌「砂」を見せて、安久工機の田中隆社長に、これに載せたいと伝えたところ、もっと大部数の商業誌にも取り上げられている有名企業なのに、承諾していただいた。
連絡所=〒169-0072東京都新宿区大久保2-3-9-901、山川方、「砂」の会
 紹介者=「詩人回路」北一郎。

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