文芸時事月報から文芸研究月報まで
文芸誌「みなせ」に<日本文芸界の新聞情報記録―二〇〇一年六月版―伊藤 昭一>投稿。
ここに記録されている記事をみると、このころから、現在の現象が起きていることがわかる。
ーー際立つ文芸書不振/出版を問う・揺れる版元〈2〉】(毎日新聞六月二〇日・夕刊=岸俊光、大井浩一、桐山正寿)=文芸書の売れ行きが不振。昨年の年間ベストセラーのランク二十位以内(トーハン調べ)に日本人の小説作品が一つも入らなかったのは、九十年以降初めてだという。「そこそこ売れる、ということが許されなくなっているのでは」と「文学界」細井秀男編集長(四九)。
「両村上などの人気作家を除けば、活躍中の作家でも部数が限られ、作品に触れる機会さえ少なくなった」「売れる本だけが売れ、他の本はほとんど売れない」という二極分化極端なまでに進んだとの認識は「群像」籠島雅雄編集長(五五)や、文学関係者共通したものだとする。文芸評論家の川村湊氏は「大量生産大量消費のマーケットとは別のルートで、純文学作品の扱いを考える時期にきている」と指摘。そのなかで、幻冬舎の石原正康常務(三八)は、もう一度、人々を本に振り向かせるのが仕事」とし、七月に第一回受賞者の決まる「幻冬舎NET学生文学大賞」に期待を寄せている。電子メディアで文章を書き慣れてきた世代が狙いだという。
【出版界は四年連続マイナス成長、新刊書は過去最高】(朝日新聞六月二十日・朝刊)=出版ニュース社の「出版年鑑二〇〇一年版」によると、出版物の売上げは、二兆五千百二十四億円(書籍一兆百五十億円、雑誌一兆四九七二億円)で前年比一・七%減。四年連続のマイナス。一方で書籍の新刊は六万五〇六五点で、前年より二千四百四十四点増えた。これは出版社が一点の部数を抑え、そのかわりに試行錯誤的に新刊を出している一部の出版社は、新刊を出すと取次ぎ会社が代金を前払いする仕組みを使い、資金繰りのために新刊を出す「自転車操業」の影響、としている。ーーさらに【衰退する文庫、専門書市場/出版を問う・揺れる版元〈3〉】(毎日新聞六月二一日・夕刊ーーと続く。
こんなこ記録を作り始めたのは、自分が副業としていたライター業を本格的に拡大しようと、書きもののヒントとして、5大新聞の文芸欄の情報を集めたからだ。
そのときに、過去の記事の詳細を知ろうと、その記事について、全文を読みたいと電話したところ、なかなか答えが返ってこない。なんと一時間近く電話で待って、返事が来た。
これでは電話代がたまらない。そこで、新聞記事のコピーを保管することにした。しかし、ワープロが安くなったので、その記事コピーの概略を入力した。その時に、新聞名yと日付を入れなければ、あとで調べられない。
そこで、記号化することにした。現在ならば、2018年であるから、「18」5月は「05」30日は「30」、そして新聞名は、読売新聞なら「Y」、朝刊はモーニングの「M」夕刊はイブニングの「E」これで、(180530YMM)で読売新聞の今日の朝刊とわかるわけだ。新聞記者名も重要視した、いざとなればその記者を訪ねて話をきくつもりだからだ。当初はあくまで、自分専用のデーター集であった。
しかし、ひとりの個人が必要とすることは、ほかにも欲しい人がいることだとわかったのは、これを3か月まとめて同人誌「砂」に発表した、というより記録保存をしたのだ。
記憶では、「石に泳ぐ魚』(柳美里)の作品訴訟の是非をめぐる各界の反響や意見をできるだけ要約して集めた。そのうちに、読者の2、3人から毎月作るのだから、それを打ち出してコピーしてくれないか、という話がでた。
当時、3カ月分を同人誌に載せると、費用が6,~7万円かかった。そこで、独立して20部でもコピーして渡していた。それが、読者が多くなり、印刷するまでになった。B5版10頁、上質色紙100部印刷して3万円くらいだったとおもう。
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