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2018年2月 4日 (日)

文芸同人誌「海」第二期・第19号(太宰府市)

【「家畜化計画」有森信二】
 日本の家族の伝統的な構造に男子家父長継承制度がある。天皇制の仕組みがそれであり、戦国時代の下剋上の時代から、徳川幕府までもその仕組みが継承されている。
 男子継承であるから、女性の役目は、男子を産んで育てることである。この作品では、その制度がもたらす、ひずみを軸にして、たくましく生きる女たちの生活を中心に描く。
 話は、80歳を超えて病歴の多くなった克子を、息子の健治が住んでいる福岡に呼び寄せようとするところから始まる。そこから克子の母親のトシの境遇から生まれた「トシの掟」に関わる物語を通して、農家の家族制度の伝統に縛られた女性の生命力を力強い筆致で表現する。密度濃い描写と、筆の運びで、一気に読んでしまった。女性の視点や、男の視点に移動させる表現力で、登場人物の体臭までが伝わって来る表現力は、抜群である。今年中にこの作品を上回るエネルギーを持ったものがでるかどうか、考えてしまうほどの出来映えである。
 核家族が増えて、家長制度はあまり話題にされないが、現代社会の深層に根付いていることから、共感をもつ人も多いはず。
【「幼稚な日本人」中野薫】
 もと警察官からみた世相で、警察官が何のためにいるかを理解せず、何でも警察に頼る人が多くなったという。自分の周囲にも、タクシーがわりに救急車を呼ぶ人がいる。また、農家の作物を盗む、戦時中でも盗まれなかった村の半鐘が盗まれたりする。心のない人が増えたようだ。安部内閣では国民総活躍政策をするとしているが、そんなことができるのだろうか。まあ、警察官も人間なので、いろいろ不祥事もあるのだが…。
発行人=〒818-0101太宰府市観世音寺1-15-33、有森方。
紹介者=「詩人回廊」北一郎。

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コメント

身に余る内容の評をいただき、恐縮いたしました。
これからも精進し、海第二期のそれぞれのメンバーがより佳い作品を生み出すことができるよう、頑張りたいと思います。たいへんありがとうございました。
海第二期 有森信二

投稿: 有森信二 | 2018年2月 4日 (日) 21時46分

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