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2018年2月16日 (金)

文芸同人誌「文芸中部」107号(東海市)

【「続・文学館のこと」三田村博史】
 前号で名古屋に文学館を作りたいという話を書いたら、反響が多かったという。しかし、河村市長に手紙を書いてもナシのつぶてとか。お役所相手で話が進まない現状を嘆く。
 本誌で三田村氏は、「杉浦明平・初期作品(愛知縣豊橋中学時代)の散文・短詩・和歌などを掲載している。
 【「ジャングルまんだら」大西真記】
 小説を読む面白さの要素に、日ごろの生活から離れた非日常性の世界を、家に居ながらにして味わえることであろう。その意味で、この小説はそのまま、面白く読める。ゴンドワナ共和国10日間ツアー」に女性でメンバーを作って参加する。50代から60代の女性グループの熱帯ジャングルツアーとなり、ガイドからグループがはぐれてしまうハプニングで、サバイバルな野宿生活を強いられる。
 メンバーのそれぞれの家庭事情が少しずつ明らかにし、ベジタリアンを超えた強度の菜食主義の女性などのキャラクター、地元の野生猿ファビーを飼ったりする状況が描かれる。
 やがてこの国の軍隊に救助されて、一行のサバイバル体験は終わる。ジャングル生活などは想像力をもって細かく描かれている。書くのは大変だが、所詮は観光旅行のスリル体験記となる。日常生活も大変だが、元気よく生きていこうという意味か。
【「能の虫」和田和子】
 大学の登山部の活動で、四人が小さな山に登る。藪の中をかきわけて、いわゆる藪こぎをする。すると、皆が虫やマダニに食われる。なかにはダニの毒がまわって、入院することもある。心や能にも虫が入って、神経を侵されるイメージにつながる。現代人の神経症的傾向を表現したものであるのか。スクールカーストとかの、話題もでるが、どれも意味をもって繋がるような手掛かりが得られない。読んだ時は、何か理解できたような気がしたが、こう書いてみるとよくわからない話だ。
【「里山」吉岡学】
 父親刑務所にいて、将棋好きだったらしい。その息子のぼくが里山の近くにいた老人と将棋に話をする。あとは将棋にまつわる人々の将棋談義が描かれている。将棋好きには面白いのかも。
【「ゴーレム・ゴーレム」西澤しのぶ】
 金崎文人という小人口が、カフカにあこがれ、カフカの生活した町、プラハに行く。両替をすると、大金を二足三文で換金され、一文なしになる。その後、カフカの小説のような、奇妙な体験をする話。カフカへのオマージュか。
【「思い出の九月」朝岡明美】
 看護師をしていた頃の恋人関係の男との成り行きを、還暦になって思い出す。思い出話にしても、重点がない。性的な関係をあっさり描くのは手法として、村上春樹のいくつかの作品にあるが、性的な男女関係がるから話になるので、それを無意味化するのは、つまらない。
発行所=〒477-0032愛知県加木屋町泡池11-318、三田村方。文芸中部の会。
紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。

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