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2018年1月 9日 (火)

「詩と思想」新人賞・佐々木貴子「姥捨」と社会性の意義

 詩誌「詩と思想」の新人賞に佐々木貴子氏の「姥捨」が選ばれた。受賞作の作者のよる朗読もあって、女性の母と娘の関係の愛と怨みの情念がよく伝わってきた。《参照: 第26回「詩と思想」新人賞・佐々木貴子氏の贈呈式
 このような関係は、男もいやというほど目撃してしてきているとも思うが、選者たちの話によると、そう多くはなく、題材として珍しいらしい。父親と息子の対立と乗り越え志向は、小説に多いが、考えてみればそうかもしれない。
 人間の社会構造としての家族と、母親と娘の関係はの歴史が絡んだ話は、構造主義的な観点からも、海外向けにうまく翻訳できれば、ヒットするかもしれない。
 授与式では中村不二夫しが、語っていたが、日本では詩のカルチャーとしての社会的地位が低下していることを語っていた。その例として、詩壇の芥川賞ともいわれていたH氏賞であるが、かつては、ジャーナリズムに騒がれたものだが、現在はメディアの取材も少ないか、ないらしい。
 H氏賞は、協栄産業を興した平澤貞二郎(1904年1月5日 - 1991年8月20日)の基金により1950年(昭和25年)に創設された。当初の呼称は「H賞」。基金拠出者で、プロレタリア詩人でもあった平澤が匿名を強く希望したため、賞の名はHirasawaの頭文字だけを冠する。富岡多恵子、吉岡実、黒田喜夫、入沢康夫、白石かずこなどを輩出している。
 自分は、日本人が戦後まもなくからの人間から、現代の青年層の経験のギャップが関係していると思う。

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