文芸時評 2月号 早稲田大学教授・石原千秋
僕は、「文学の近代」という授業でいつもこう話している。大都市や大学構内や公共施設に多い真っ直ぐ延びる直線の道は権力の象徴であると、そして日本の都市には広場がないから革命は起きないと。すばるクリティーク賞受賞作の近本洋一「意味の在処-丹下健三と日本近代」の冒頭の一文「僕たちが何かの病気にかかっているとすれば、広場へ向かわなくてはいけないのではないだろうか」を読んだその瞬間に、ようやく広場と直線との関係を解く評論が現れたと期待した。その期待は半ば満たされ、半ば満たされなかった。
《参照:産経2月28日ー「芥川賞までの人」になる予感がする 2月号 早稲田大学教授・石原千秋ー
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