文芸同人誌「星座盤」Vol・11 (岡山市)
【「居川花火」金沢美香
「私」の少年時代の鉄道ファンであった。カメラの鉄撮りでもあって、いつも寄っている無人駅にいくと、居川花火を見に行くという少女と知り合い、居川花火をみることになる。そこでの出来事は、幻想のように思えるが、その後、川で「私」の鞄が見つかる。少女は水死体でみつかったという話が伝わる。しかし、居川という川はないという。不思議物語だが、それだけのものか、ほかに意味があるのか、わからない。自分は、アクセントのない書き方は、苦手で受け取り方が難しい。
【「角打ちの友」清水園】
居酒屋で立ち呑みをするのを角打ちというが、そこでの友達が亡くなったことから、「あいつ」と称してのその人の思い出を語る。一面的な表現で、工夫をしている。楽な書き方を選んだのか、書き手も、「あいつ」も人物に対する興味がわかないところがあった。
【「骨の人々」朝岡千昌】
交通事故で死んだ妻のある恋人のことを想い、死者に会えるという島にきた様子を描く。
【「最愛のひと以外」水無月うらら】
現代人の男女関係、社会生活のひとつのパターンを、文学趣味豊かな文章で描かれている。これは、「季刊文科」72号に掲載された「君は檸檬が読めない」の読後感も似たようなもので、こうした作風の積み重ねが、時代の標識として広まる可能性があるのかも知れない。
発行所=〒701-1464岡山市北区下足守1899-6、横田方。
紹介者=「詩人回廊」北一郎。
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