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2017年10月30日 (月)

同人誌評「図書新聞」(11月4日)評者・志村有弘氏

  豊岡靖子の「藤原の息女・光明子」(あべの文学第25号)が労作。
  萩原有記の王朝小説「於才ときね」(狼第70号)が心優しい王朝絵巻。佳作。
  逆井三三の歴史小説「戦わざる日々」(遠近第64号)が力作。
  曽根登美子の「夕陽を追いかけて」(法螺第75号)が、ひとりの女性の波乱に満ちた半生を綴る。早いテンポの文体のせいか、荒削りな感じもするが、心に残る作品だ。
 白河葉の「不思議猫」(ペン第12号)の主人公は、動物を拾ってきては飼育し、希望者にあげている小学生の優。ミステリー風な少年小説の感も。
 エッセイでは、秋田稔の「探偵随想」第128号に年輪の凄さ。江戸川乱歩の「奇譚」翻刻のことや、通勤の友として乱歩の市民文庫『心理試験』(河出書房、昭和二十六年刊)を持ち歩き、今はカバーも取れて裸となっているという乱歩病(?)が示される。ーー他。(相模女子大学名誉教授)
《参照:豊岡靖子の光明皇后を描く歴史小説(「あべの文学」)――萩原有記の庶民に視点を置く平安絵巻(「狼」)

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