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2017年8月 3日 (木)

「文芸時評」8月(産経)=早稲田大学教授・石原千秋

 浅田彰の還暦を記念して行われた(浅田彰は僕より2歳若いと改めて確認した)、東浩紀、千葉雅也との鼎談(ていだん)「ポスト・トゥルース時代の現代思想」(新潮)を読んで、「大きな物語はもう来ない」と言いながら、僕たちはいま「近代の終わりという大きな物語」のまっただ中にいるのだと思わざるを得なかった。この鼎談が説得力を持つようなパラダイムこそが「近代の終わりという大きな物語」なのだと言いたいのである。
 東は、この40年ほどの思想的な流れをまとめている。「ポスト・トゥルースというのは、実はすごくポストモダン的なネーミングです。真実などない、ということがポストモダンではよく言われていて、そのあと九〇年代、二〇〇〇年代にはむしろポストモダンに対する反動として、『真実』や『エヴィデンス』を人々が求めるようになった。ある種の理性主義と実証主義に戻ったわけですよね。ところが、現実にはポスト・トゥルースの時代が来た」と。実に見事というほかないが、このまとめ方に納得することが「近代の終わりという大きな物語」の中にいる証拠だと言いたいのである。
《参照:「近代の終わり」という大きな物語 8月号 早稲田大学教授・石原千秋

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