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2017年7月11日 (火)

同人誌評「図書新聞」(7月15日付)=志村有弘氏

 ・小網春美の「葬式の達人」(北陸文学第81号)の読後感が爽やか。
  ・永見篤彦の「孤灯」(山陰文藝第45号)が静かな文体で展開する佳作。
  ・射場石成の「尊重と軽蔑」(AMAZON第483号)が力作。
  ・磯部勝の「少女Z」(創第11号)は、高校生のいじめが軸。
  ・歴史時代小説では、森下征二の「滅亡の賦――大盗袴垂始末記」(文芸復興第34号)が文句なしの労作・力作。
  ・森岡久元の(室津のキツネ」(別冊關學文藝第54号)が面白い。
・麻生直子の「岸辺の情歌」(中野教室第2号)は、叔父の家に兄や母と共に住むようになった幸子(作者その人と見てよい)の中学時代を描く。死んだと聞かされていた父が生きているらしい、母が死のうとまで思い詰めた「秘事」もさりげなく示される。心優しい兄の、一方で凛とした姿が好ましい。無駄のない文章で綴られる好短篇。
--ほか。
  ・「葦」第53号と「文宴」第127号が清水信、「海峡派」第139号が青江由紀夫・加村政子、「東京四季」第112号が伊藤桂一・中原歓子、「北斗」第637号が雨宮弘明、「ら・めえる」第74号が広田助利の追悼号(含訃報)。ご冥福をお祈りしたい。 (相模女子大学名誉教授)
《参照:一徹で、精力的な老人の姿を示す小網春美の異色作(「北陸文学」)――盗賊袴垂を描いた森下征二の豊かな想像力(「文芸復興」) 

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