文芸時評7月・早稲田大学教授・石原千秋氏「決断するストレス」
(一部抜粋)今月の文芸雑誌で一番面白かったのは、文句なく関川夏央と御厨(みくりや)貴の対談「『ポスト平成』の日本と世界」(文学界)である。その理由も含めて、一番驚かされたのは、北朝鮮の人々は「むしろ戦争を望むのではないかな」という関川夏央の発言だ。これだけでも十分読むに値する対談だ。
御厨貴は日本の大物政治家と深く付き合いながら、平気で彼らを批判するのだからなかなか得難い人材だ。「政治において一番大事なことは、決定して実行すること」なのに、民主党政権はそれができなかった。首相の仕事は「他所で本当に持て余した解決不可能な情報が『これは官邸に投げよう』ということで入ってくる」のを捌(さば)くことである。こんなことはサラリーマンなら日々経験しているはずだが、世事に疎い大学教員は役職にでも就かないと身をもって知ることができない。僕は前の大学でナントカ部長を経験したが、まさに決めることが最大のストレスだった。「長」には絶対になってはならないと悟った。
《産経新聞」早稲田大学教授・石原千秋 決断するストレス》
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