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2017年5月29日 (月)

文芸時評6月号(産経・5月28日) 早稲田大学教授・石原千秋氏

 群像新人文学賞には当選作はなかったが、2編の対照的な小説が「優秀作」として掲載された。上原智美「天袋」は名前をこの世に刻みつけておきたい人物が主人公で、李琴峰(りことみ)「独舞」は名前を変える人物が主人公。「天袋」は天袋に籠もり、「独舞」は台湾と日本とアメリカを渡り歩く。「天袋」の主人公は殺したがっており、「独舞」の主人公は死にたがっている。共通しているのは、どちらも主人公と出来事がうまくかみ合っていない点。簡単に言えば未熟。しかし、こういう未熟さは新人には許されていい。完成度を求めすぎるとこぢんまりしてしまう。その意味では、この2作を「優秀作」とした選考委員には見識がある。当選作としなかったことも含めて。(2p抜粋)
もっとエロスの香りを 6月号 早稲田大学教授・石原千秋

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