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2017年5月13日 (土)

総合文芸誌「ら・めえる」No74号(長崎市)

 ながさき総合文芸誌のサブタイトルを持ち、長崎ペンクラブが年二回刊行する雑誌である。
 元国会議員が会長になり理事には元県議会議員や元長崎新聞論説委員など多数を連ねている。
 印刷製本も本格的で市内企業などの広告も多い。156ページの中身はエッセイを主に誌・俳句・小説である。
 元長崎市助役の宮川雅一『長崎水道の恩人・日下義雄墓地・墓石について』など、地域密着記事が多いのは当然であろう。
 今号は長く編集長を務めた広田助利氏の追悼記念号でもあり同誌の沿革も記されている。
 写真も多用されており長崎市の総合文化雑誌の観もあり文芸同人雑誌とは一味違う読みでがある。
 同封された送付案内書に----貴方に一冊、寄贈致します-----とあるのも市民文芸雑誌らしく感じた。
 長崎から送付されてきた一冊を手に取り、文芸交流会の議題にどう取り上げ、閲覧するかを考えながら、ゆっくりと読み通した。
 150ページの三分の一は元編集長の追悼になっておりさらに三分の一はエッセイ12作品が埋めている。
【「ハプスブルグ王朝」吉田秀夫】
 小説は三作品だが、本作品が圧巻である。120枚の力作。ドイツ農民戦争期の首謀者トーマス・ミュンツァーを主人公にした歴史小説となっている。
 歴史的階級闘争のお手本としてエンゲルスが取り上げたこの事件を人物本位に書いた小説である。
 敗北して捕らえられたミュンツアー夫妻への拷問と凌辱。そして残酷な死刑が生々しい。
 改行も無く詰め込まれた読みづらい記述に籠められた作者の感性に触れて読み通してしまった。
 人誌作家で無く市の名士である医師が渾身で書き上げた作品に長崎ペンクラ
ブの真相を見たようだ。
発行所=〒850-0918長崎市大浦町 9-27、「長崎ペンクラブ」。
編集人=新名規明。発行人=田浦 直。(平成29年5月1日 発行)
紹介者=文芸交流会事務局長・外狩雅巳

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