文芸同人誌「私人」91号(東京)
朝日カルチャーセンターの文学教室から生まれた同人誌。尾高修也講師も作品参加している。
杉嵩志「立川まで」は手慣れた創り方で読ませた。ーーとっておきの話を教えようーーと始めてーー僕は迷子の達人だーーと続けると何となく読みたくなり一気に引き込まれた。
少年期や就労期の回想なのだが迷子というキーワードで繋げてーー五十年たっても、僕はまだ迷子だーーと老いた母親の背に駆けてゆく衝動で締めくくるきれいな作品である。
鳴沢龍「ねぶた祭り」は個人的な理由で気になった作品である。――中学時代に憧れていた友人の話ですーーと朴訥に話し出す回想記です。旧友の叔父が戦闘機乗りでB24に体当たりした勇士なので憧れたとの事です。
後年作者の父の遺品に戦時中の体当たり勇士の記事がある雑誌を見つけた事と結び付けている。
旧陸軍航空隊の隼戦闘機などの戦記物が掲載されている雑誌「丸」昭和44年10月号が参考文献との事である。
武器と戦記マニアなので個人的に引き込まれた作品だが、趣味が異なる人にはどう読まれたのだろうか。
季刊で発行を続ける旺盛な意欲の同人誌であり毎号乾燥を書いているので愛着も一入となった。
発行所=🏣163-0204新宿区西新宿2-6^1 新宿住友ビル 朝日カルチャーセンター発行 発行人・森由利子
紹介者=「文芸交流会」事務局長・外狩雅巳
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