文芸同人誌「弦」100号(名古屋市)
本誌掲載の合田聖文「ビームを浴びて」は、がん治療体験記として、有意義なことから、概略を「暮らしのノートITO」に紹介記事にした。
【「チマチョゴリの時」木戸順子】
容子は65歳になって、NPOの国際交流活動に参加し、世界各国からの人々に日本語になれる交流会に参加している。そのなかで、韓国籍だが、日本人名をもつ金井君のことを思い起こす。少年時代はよく遊んだが、彼の一家は廃品回収業をしていて、周囲から差別を受けていた。そうした間にチマチョゴリをみる機会があって、それがとてもきれいで、着てみたいと言ったことがあった。金井君は後に母国に帰ってしまう。その後、彼がチマチョゴリを送ってくるが、父親はそれを怒る。
そのほか、現在起きているヘイトスピーチの波紋についてなどが違和感をもって話題にされる。容子は思春期の金子君とのほのかな想いを胸にしまって、国際交流のイベントにチマチョゴリを着ていこうと思う。
意図が先行して、話の展開にぎこちなさがあるとは思うが、民衆における国家と国民の関係の硬直したなかでのひとつの心情の表現にはなっていると思う。
発行所=〒463-0013名古屋市守山区小幡中3-4-27、中村方。
紹介者=「詩人回廊」北一郎。
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