文芸同人誌「イーハト-ヴの夢列車」(岩手県)
本誌には 「第一回文学フリマ岩手開催記念アンソロジー」という副題がついている。よくまとまっている。通常の同人誌は、自由に作品を集めてアンソロジー化したもの。商業文芸誌を買っても、そこに掲載された作品や小説をすべて部読み通すということはない。これは宮澤賢治など「岩手県にまつわる文学的背景をテーマとした作品集」として構想・企画されたと記されている。岩手の文学精神性でつながった作品ばかりのため、全体で統一的なひとつの作品に読めないこともない。各作品に「著者紹介」では作者の作品へのコメントと「文学フリマ岩手開催に寄せて」という発信がある。作者の姿勢において、同人以外の一般読者に向けて執筆したものという、誰に対しての表現なのか、という方向性を明確にしている。
【「ふたごもりの家」良崎歓】
孤独な男女が出会い、蚕となってつがいになる。生命体の生きる力には愛があるという本質に触るメルヘン。著者紹介「生まれも育ちも北東北。お話を考えることが趣味で、文章や絵をネットでひっそりと公開しています。好きなものは、異能に悩む少年少女と、あやかしと虫、北国の田舎町の四季。「見回せばすぐ隣にある、ちょっとだけ不思議なこと」にとても惹かれます。(略)」。フリマ開催に寄せて、岩手は文学好きにとって魅力的要素が詰まった土地と思うので、第一回「岩手文フリ」を機に、地元文学の盛り上がりと、拡大に期待するというコメントがある。
【「銀河ステーションの夜」ひじりあや】
東京・鎌倉を舞台に賢治の「銀河鉄道の夜」に絡んだ話が展開する。ライトノベル風で読みやすい。東京からの参加で、岩手文フリに寄せる言葉では、東京での文フリ開催に、多くの他地域からの参加があって、盛り上げに貢献してこられたことへの感謝をこめたmのだという。
【「永遠の流れ 黄金のゆらめき」白川タクト】
著者はサークル「まぶいぐみ」。主に中国近現代史萌え小説や中国戦争映画レビュー。作品は歴史学の観点から奥州藤原氏を描く。
その他、木之下、帰鴉、坂崎竜、ふじ、青砥十、谷村行海、掘真流知、文乃深森、ひなたまり、玄川透、しほ、たびーの作家、それぞれ岩手の文学多くの人々に共有されることの喜びが表わされている。
発行所=文学フリマ岩手事務局。
紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。
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