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2016年8月12日 (金)

文芸同人誌「孤帆」Vol,27(横浜市)=外狩雅巳

  「孤帆」」は、永らく文芸同志会通信に送付している有力同人雑誌である。近年は連絡事務所の私の元へも届けられている。
 発行責任者のとうやまりょうこ氏が同級生の塚田遼氏などと19歳の時に創刊し、14年間にわたり継続中とある。
  言い出しっぺのとうやま氏の熱意が伝わって来る雑誌作りである。作品も体裁も強烈に訴えるものが感じられる。
  奥端秀影「旅の終わり」は面白く読めた。桃太郎伝説を茶化したり皮肉ったり深刻ぶらせたりの読みやすい作品。
  盲目になり、猿に説得され、猛犬や雉と一緒に育ての親の住む集落の全員を殺略する結末は警告的でもあった。
  とうやまりょうこ「リサ」は作者の等身大とも思える主人公真理子の日常と感情がよくわかり読み込まされた。
  二十年来の親友である美智佳が預ける14歳の娘との交流が細かく書き込まれ、少女が立ち上がっている。
  リサの父親とも旧知なので気さくに接近を図り、美智佳の疑惑を受ける破滅までの顛末が一気に読めた。
  塚田遼「it`sasexualwold-1」は、スピ-ド感ある進行で性的妄想に害された現代社会を描く長編を想像出来る。
  創り込まれた文章・筋書きと見合う生き生きとした登場人物。エロに囲まれた社会が空恐ろしく読み取れた。
  畠山拓「無原罪宿り」は、読書力が低く表面活字を眺めまわすばかりでどうしても主題に届かない。
  物語を書かなければならない男の日常は、虚実雑多な物語と警句や妄想等々に遮られ粗筋さえ頭に残らない。
  この4人は物書きとして啓発しあい・挑発しあい、作品の中に友情を込めているのだろう。羨ましい。
  良い紙(上質なコート紙?)にカラ-写真。そして、洒落た特集「あの景色を忘れない」等々。読ませて売る為の製本。
  そういえば、とうやま氏の同人仲間の北村順子氏からも分厚い自費出版の上製本「晩夏に」を頂いている。
  文芸好きの仲間が励まし合って向上している「孤帆」を読むと、こちらまで元気になって来た。感謝。
発行日=2016年8月10日。発行者=とうやまりょうこ。発行所・横浜市西区浜松町 6-13-402。頒価・1200円。
《参照:外狩雅巳のひろば

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