文芸同人誌「日曜作家」第15号(茨木市)について=外狩雅巳
「日曜作家」は、季刊発行を続行中の勢いのある同人誌である。毎号目を通しながら発展に寄り添う事はたのしみである。
編集後記に「物書きたる者,清貧に甘んじ、晩節を汚すことなく晩節を全うしたいものである」と記している。
大原正義氏は先頭に立って執筆と運営に邁進中である。
今回は「鬼のほそ道 俳諧道」で表現者の生き様を描いた。俳句結社の即席創作合評会での確執から始まる芭蕉門下の高弟の壮絶な作家道が迫力ある文章で書き連ねてある。
大原氏の以前の作品「酩酊船」も感銘を受け感想を送ったがこの人は歴史からの題材を上手に作品化している。
会員同人57名の大所帯であるが今号も執筆者は12名での13作品と106頁のこじんまりした体裁である。
しかし、作品への思い入れは強く、65件の発送先の中には文芸雑誌社や同人会などが網羅されている。
「短信」や「告知」欄には、掲載作品の評判を反映させている。14号を紹介した私の文芸同志会通信の記事も再録されている。
関西中心の会員層なので会合なども行えるのではないか。以前も開催しないと記してあったが事情があるのか。
今回の大原作品では句会での作品評を巡る討論そして決裂の内実が表現者の意地を下地に書き連ねてあった。
批判に激高して口論が起き退会した仲間を何人も見てきているので合評会運営の苦労が改めてこみ上げて来た。
講師を招いても教え諭される事を嫌う同人も多く、謝礼に見合う結果が出ず仲間内だけの褒め合いを続けた事もある。
たかが同人誌でも若いころはされど同人誌だと気負っていた。大原氏の細心の運営手法と執念には感心している。
私は高齢者なので、和気藹々の語り合いの場としての会合が居心地良く、作品感想も良い面を多く語るようにしている。
柔らかな司会進行での作品感想の討論の場を持つ事も、人間関係の深化に成るのでお勧めしたいと思います。
「日曜作家」15号、平成28年7月29日・発行。発行人=大阪府茨木市上野町21番9号、大原正義氏。
《参照:外刈雅巳のひろば》
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