「労働者文学」79号、「 白雲」42号、「私人」89号の交流=外狩雅巳
各文芸同人誌の枠を超えた書き手による「町田文芸交流会」には、今年も六月までの前半期の成果を編集した各誌が続々と到着中です。多くの文芸同人会は年間二回の同人雑誌を発行し、年央の活動成果によるものでしょう。
「労働者文学」(79号)《「労働者文学会」サイト》は、三十年以上の文芸誌仲間の登芳久氏が編集委員の一人である。
タイトルで示すように労働者の立場で編集して来た雑誌である。全逓文学・国労文学等々の労働現場の書き手がここに結集して継続して来た。現在は高齢化し、現場を離れ生産現場からの活き活きとした描写がの作品を生み出す環境に変化を感じられる。編集後記には各委員の平和と民主主義擁護を貫く姿勢が表明されている。
しかし、政治批判の運動は、街頭や紙誌には見られても現実の労働者組織の活動は鈍い。そのなかで、「新日本文学」の廃刊で「民主文学」と「労働者文学」に欠けられた期待も大きい。毎号注意深く見守ってゆきたい。
「白雲」(42号)は、「関東同人雑誌交流会」で知り合った岡本高司氏が編集する短歌・俳句中心の文芸同人誌。
小説・随筆への関心も深く徐々に作品も増えているが、まだまだ詩歌作品も多い。今号も富岡幸一郎氏の巻頭言を掲載して文芸同人誌の構えを示している。
「文芸思潮」誌の五十嵐勉編集長が募った関東同人雑誌交流会も現在休止状態にある。それでも律儀な岡本氏は毎号お便りを同封して送付してくる。21年目の今号は72頁と少し薄いが氏の元気いっぱいの雰囲気を感じさせてくれる。
「 私人」(89号)は、新宿で行われている朝日カルチャーセンターの尾高教室の生徒が立ち上げた同人誌。
小説中心の145頁。年に四回発行する精力的なグループと、連載を掲載する尾高講師。前号もここで紹介したが送られて来る同人雑誌中でも特に活発である。目次には主要な創作作品が列挙されている後に近況や短文集のプリズム欄もある。全員参加を目指す心配りが優しい。編集発行人グループ三人も全員女性である。
縁が出来て毎号毎号の送付が続けば紹介も欠かすわけにはゆかない。
《参照:外狩雅巳のひろば》
| 固定リンク
コメント