長嶋公榮「鮮やかな記憶」を穂高健一氏が取材精神で評価
同人誌「グループ桂」の長嶋公榮さんが、「鮮やかな記憶」を発表。 それを読んだ作家の穂高健一氏が、「穂高健一ワールド」の作品紹介サイトに全文公開した。「鮮やか記憶」は、町内会がの老人が捨てたゴミを拾って、自宅に置くということをするので、自治会ではゴミ屋敷ができてしまうのではないか、と心配して、そういうことをしないで欲しいと、抗議にいくのである。
すると、女性の老人は、太平洋戦争での本土空襲で米軍が、市民を虐殺した時の生き証人で、そのときにどれだけの人が、飢えとモノ不足にあえいだかを鮮やかに記憶し、その詳細を語るのである。横浜大空襲の時、横浜駅でB29の大規模な空爆に遭う。
この場面が長々と描かれるが、これは体験談ではない。作者が現地の人や資料をもとにまとめたものである。調べたが故の迫力。それを取材をして小説化するタイプの穂高健一氏が納得したことによるであろう。彼は地元新聞に小説を連載をしているが、材料はその地元を取材して、さまざまな人たちに話を聞いて、そこから話をつくる。農家のひとに取材しても、彼は農民出身でないので、農具の名称などさっぱりわからず、こりゃ困ったと、とまどってしまうそうである。その分、地域で埋もれた話を掘り起こすので、地元に知られる人気作家になるのであろう。
彼のところには、身の上話を小説にして欲しいと、するひともいるらしい。作家と称すると、そういうのが取材できるらしい。ところが、ジャーナリストと名乗ると、警戒されることが少なくない。やりにくい。そこで、まったくくメモをとらないで、世間話をして、物書きであることを忘れるようにして、話を聞きだす。業界内の機関紙に経営者の話を載せる取材を頼まれた時、話を聴いていたら「あんた、ちっともメモをとらないけど、大丈夫かい」といわれたこともある。事前に調べてあって、なまなましいところをつかみ取るのに会っているだけでなので、心配はないのであるが。
| 固定リンク
コメント