ゼロ金利時代の資本主義に至る法則
詩人回廊の外狩雅巳「工場と時計と細胞と」では、工場労働者たちが団結して組合組織をつくる話が断片的に多角的に描かれている。
資本主義の高度化しはじめたころの話だが、共産党員の「蟹工船」の時代より団結力ついてきている。労働力としての民衆が団結する動きは、戦国時代から江戸時代を経て、現在まで続いている。
社会発展段階では、こうした富の占有者と収奪されるものとの闘争は、現在まで変わらずに存在する。
ヘーゲルの弁証法に、「螺旋的発展の法則」というものがある。 田坂広志教授は、それを現代的な発想で次のような解釈を説いている。
「物事の進歩や発展は、あたかも螺旋階段を登るようにして起こる。螺旋階段を登っていく人を、横から見ていると、上に登っていくが(進歩・発展)、上から見ていると、一周回って元の位置に戻ってくる(復古・復活)。ただし、それは螺旋階段。必ず、一段高い位置に登っている。
それが螺旋的発展の法則ですが、分かりやすく言えば、「古く懐かしいものが、新たな価値を伴って復活してくる」という法則です。
すなわち、この法則に基づけば、古く懐かしい日本型経営の思想が、新たな価値を伴って復活してくるとも言えるのです。」
「現在の経済は、「貨幣経済」が主流になっています。「貨幣の獲得」を目的として人々が行う経済活動のことです。しかし、「貨幣経済」が生まれてくる前は、価値あるもの同士を交換する「交換経済」、さらにその前には、善意や好意で価値あるものを相手に贈る「贈与経済」が主流だったのですね。すなわち、人類最古の経済原理、「贈与経済」が新たな価値を伴って復活してきている。それが「ボランタリー経済」です。言葉を換えれば、「精神の満足」を目的として人々が行う経済活動のことです。」
以前は企業資本が、儲けを分配することで、自力で労働の報酬で、社会共済資金にまわしていた。
それが変わったのは「一つの理由は、インターネット革命です。この革命によって、知識や関係、信頼や評判という「目に見えない資本」が、自由に贈ったり、贈られたりできるようになったからです。ネット革命以前は、知識や智恵を伝達することも、関係を築くことも、信頼や評判が広がることも、容易ではありませんでした。しかし、この革命によって、「目に見えない資本」が、社会で容易に流通するようになったのです。そして、その結果、「ボランタリー経済」が新たな形で復活してきたのです。」
「すなわち、一つの企業が、「社会的責任」と「社会貢献」を大切にして活動するならば、その企業の周りには、自然に「目に見えない資本」が集まってくるのです。
そして、資本主義と経済の成熟を実現していくためには、まず何よりも、一つひとつの企業が、日本型経営の原点に還り、企業の「志」や「社会貢献の精神」を大切にすることであり、そのことによって、自社の周りに「目に見えない資本」を集めていくことなのです。」ーーというのだが。
なんとなくわかるが、一人一人はもっと、個々に事情をかかえているので、大きな流れを意識することがない。その個人的な事情と大きな流れを結びつけることを文学的手法で、できれば実感のある物語ができるはずである。
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