「はじめてのお使い」と「はじめての野良仕事」
若者の世界でのサブカルチャー全盛時代になって、その世界と無縁の高齢者世代がいる。その世代間ギャップの原因は何かと考えて、ヒントになるのが、子ども時代での社会との接触の機会である。
現代は、TV番組の「はじめてのお使い」の世代である。そして、高齢者の多くは農村で、お蚕さんの桑の葉摘みや、用水路の水車にのって足で踏んで回すことであったろう。その結果、子供たちは労働力として家計を助けるという存在を、親や親せきから認められ、自己存在感に強い自信を持った。しかし、お使い經驗では、どこにでもいる誰かでしかない。その存在に自信を持つ機会がない。いじめへの反抗心の喪失。やられてもやり返せない。心が傷つくとと引きこもるー、そのような傾向がでているのではないだろうか。
その社会変化の違いを「詩人回廊」に書いている。《続「なぜ「文学」は人生に役立つのか」伊藤昭一》
ここで触れている地球の人口増加現象と経済成長の過程は、外狩雅巳の《工場と時計と細胞と》にも関連してくる。
社会が農業・漁業中心の第一次産業から工業社会に変わるなかで、農村から都会へ人口が大移動した。そうしてサラリーマンとなって、自由時間が増えた。このことによって、人は通勤途中で本を読み、夜はものを書くようになったのである。安い娯楽としての読書が想像力と知識をを高めた。そこから文学の隆盛が起きた。そして職業作家が増えた。
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