保坂スクール系作家の傾向
~東京新聞(12月22日)文芸この1年(下)~では、佐々木敦氏が「保坂スクール」という表現をして、作家の傾向を語っている。《参照:2015年文芸時評で読むー佐々木敦氏&倉本さおり氏評(下)》
それでは、保坂和志氏の作家精神は何を考えているかーーネットサイトで読めた。(早稲田大学講演会録 於:早稲田大学大隈小講堂・2000.11.29)
長いので、恣意的にピックアップしたのが、下記。
―ーそうやって文学が衰退してくると、気の効いた人が小説を書かなくなってしまうんですね。それがもう一つの小説の衰退の理由になってきます。ただ小説というのはまだ、かなりみんなに幻想がありまして、『Shall we ダンス?』の周防正行とか芝居の三谷幸喜なんかも、自分の映画とかドラマをノベライズしている。つまり、彼らの中にも小説を書きたいという気持ちがあって、それは単に幻想だと思うんですよ。別に周防は映画を撮って映画で評価されれば十分なはずなんだけど、どうして小説を書きたいのかというと、それは小説に関わる幻想だろうな、と。それが一つ小説が支えられている理由なんです。だから僕はこの幻想を「ありがたいもんだ」と思っています。
まだ今は小説というのはそれなりの幻想があるんで、小説を1作か2作だけ書いて、とりあえず小説家で有名になってから他の世界に行っちゃえば良いという考え方をしてくれる方が、もうちょと小説が活性化するんじゃないかと思うんですよね。そうやって人生を生きている人が石原慎太郎とか田中康夫みたいな人です。そういう射幸心のある人が小説の世界に参入して来ないと、小説はかなりヤバイんじゃないかと思うんですよ。射幸心っていうのは悪いことじゃなくて、それが全然なかったら狭い世界で先細っていく一方なんです。 ーー
《参照:早稲田大学講演会録》
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