「日曜作家」13号&「仙台文学」87号の着眼点=外狩雅巳
文芸交流会に早くも一月に発行されたばかりの同人誌が二冊届きました。「日曜作家」13号と「仙台文学」87号です。
それぞれに歴史を題材にした作品があり読み比べて見ました。雰囲気も時代背景も主題も異なっていて面白く読みました。
【日曜作家】
「日曜作家」(大阪府)の大原代表は同好会や老人会ではなく、本格文芸誌を目指し向上する事を力説しています。
編集後記で-ちまちまとした同人誌ではなく、中央文壇で注目されるような文芸誌に発展させたい-と意気軒高です。以前文芸同志会通信でその紹介を掲載したら早速全文を再掲載してくれました。
☆13号作品 「野に遺賢あり」大原正義=楊貴妃を愛した玄宗皇帝の唐の時代が背景です。宰相や忠臣が繰り広げる対立が書かれています。
出世争いで次々に蹴落とされる大臣。蹴落として成りあがる大臣も凡才。国を憂い、直言する臣下の意見が科挙に繋がる。
中国の「科挙」制度で、在野の人材活用が叶うまでの経過紹介と読みました。古書から取った題材を脚色している作品です。作者の言葉が有ります。現代は右傾化していると書き為政者の思惑どうりにはなりたくないと動機を述べています。
【仙台文学】
「仙台文学」(仙台市)の牛島さんは東北学院で教鞭を執っていたそうです。私の父親とは年の離れた同僚だそうです。以前に文芸同志会通信に作品紹介した時にその旨の私信を頂きました。姓は「ごとう」さんと読むそうです。私も仙台市出身です。地方色豊かで文芸雰囲気も香る異色の仙台文学が毎号届くのが楽しみです。
☆87号作品・「戊辰の港-仙台維新譜⑫遺聞-」牛島富美二= 連続掲載中の作品ですが、一話毎に独立した筋があります。 明治維新に不服で抵抗する東北地方への新政府軍征伐の戊辰戦争を仙台からの視点で書き続けています。
今回は原釜港が舞台です。ホラ藤の仇名のある藤右衛門と言う怪力の港湾人夫の活躍が綴られています。
入港した船には江戸相撲の一門が居ます。大相撲の前身の本格相撲取りが見世物共興で儲けに来ました。
その主力力士の岩木山を投げ飛ばすホラ藤の挙動や怪力での振る舞いが面白く読み進めて引き込まれる。
討伐軍参謀・世良修蔵の前で力技を見せる事に成ります。以前にホラ藤に負けた岩木山の恋人も同席します。
酌婦として世良に取り入り恨みをぶつける女と、ホラ藤との顛末も良く出来た話として感心して読みました。
紹介者=町田文芸交流会事務局長《参照:作家・外狩雅巳のひろば》
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