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2015年12月20日 (日)

著者メッセージ: 呉勝浩さん 『ロスト』

 もう長いことコールセンターで働いている。物書きを目指した自分の歴史とほぼ同じ長さだ。仕事をしながら、いつかこの経験を小説に活かせないものかと思っていた。
 『ロスト』は、乱歩賞をいただいた『道徳の時間』と並行して書き進めていた作品で、受賞の発表までに書き切ろうとやっきになっていたのを覚えている。
 『道徳~』が落選した時、自分の正気を保つ必要があったからだ。
  今回駄目でも、この作品で絶対に世の中に出てやる。そのためにも、問答無用で面白い作品を書かねばならないと心に決めていた。
  幸いにも受賞後第一作となった本作は、誘拐を告げる電話がコールセンターにかかってくる場面から始まる。七年以上の《体験取材》が、ようやく実を結んだと思うと感慨深い。
  面白い作品になっている――と敢えて断言してしまおう。これが面白くな いと、困る。
  最大の懸念は、職場の仲間や上司に弁解して回らねばならないことだ。
 「この物語はフィクションです」と。 (呉勝浩)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2015年12月15日号より)

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