文芸月評(読売新聞11月)「揺らぎ」こそ作家の証=待田晋哉記者
恋愛模様と作品の関わり紹介
文学があるところには、様々な形の愛がある。作家の中島敦、三浦綾子ら12人の恋愛模様と作品との関わりを紹介した『愛の顛末てんまつ』(文芸春秋)をノンフィクション作家の梯かけはし久美子さんが刊行した。
プロレタリア作家の小林多喜二は、作家になる以前、小料理屋風の店に勤める女性のタキを見そめた。互いにひかれながらも結局、彼女は生活の問題などから自ら身をひき、102歳まで生きた。小説『夏の花』を残した原民喜たみきは、最愛の妻を1944年に亡くした。<もし妻と死別れたら、一年間だけ生き残ろう、悲しい美しい一冊の詩集を書き残すために>と考えていた。だが、広島で原爆を体験し、その死者のためにもう少し生きることになった。純粋な言葉や愛を追い求める著者自身の魂が、読みやすい文章にさりげなく映し出されている。
《参照:読売新聞【文芸月評】「揺らぎ」こそ作家の証》
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