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2015年11月15日 (日)

著者メッセージ: 秋川滝美さん 『幸腹な百貨店』

  目まぐるしく駆け抜けたバブルという時代。あの狂乱の時代を経験した者たちは、巨大な泡が弾けたあとどのように生き、今何を思っているのか――
 『幸腹な百貨店』は、そんなバブルの申し子が、バブルなんて教科書でしか知らない若者たちとともにすったもんだする物語です。
  彼らとは価値観が違う、わかり合えるはずがない、と思い込み、極力関わらないようにしていた主人公、高橋伝治が、偶然目にしたポスターに興味を引かれ、それを作った人間に会いに行ったことから、若者たちとの交流が始まります。
  今時の若者の考え方に眉を顰めたり、目を開かれたりしながら、伝治はかつて勤めた百貨店の経営不振を打開する方法を探っていきます。結果なんてなかなか出ません。けれど、伝治は、小さくてもいい、遠くてもいい、どこかに灯りが見えないものかと探し続けます。
  百貨店の売り場だけに留まらず、レストラン、喫茶店、団子屋、小料理屋、果ては社員食堂といった場で大いに呑み食いし、意見を交わしながら対策を練る伝治たち。彼らは一丸となることができるのか、それによって生まれるものはあるのか。
  バブル世代と非バブル世代による奮闘記。ちょっと読んでみたいな、と思っていただけると幸いです。(秋川滝美)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2015年11月15日号)

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