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2015年9月30日 (水)

期待はずれだった筒井康隆「モナドの領域」(新潮)石原千秋氏

 筒井康隆「モナドの領域」(新潮)は期待はずれだった。作中に作品名が出てくるように、『カラマーゾフの兄弟』の向こうを張って、わざとツボを外しながら神学論争を行うのだが、それが面白くないのだから困ったものだ。実は、やはり地の文で引っかかった一節がある。「この上品な六十七歳の教授は四年前夫人に先立たれて以来ずっと独身生活を続けていて」というところだ。ここには、まるで〈妻に先立たれた六十七歳の上品な大学教授であれば、身の回りの世話をする女性とすぐにでも再婚するのが当たり前〉というかのような感性が透けて見える。まるで戦前の読者に向けて書いているかのようだ。この語り手もいかにも古い感性の持ち主だ。それとも古いテイストの小説にしたかったのだろうか。小説の神は細部に宿るものだ。
 先月の「時評」で、『高慢と偏見』のエリザベスと結婚するのはビングリーと書きましたが、もちろん正しくはダーシーです。ご指摘下さった方に感謝します。
《産経新聞:10月号 恋愛という文化の終焉 早稲田大学教授・石原千秋

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2015年9月29日 (火)

文芸同人誌評「週刊読書人」(2015年8月7日)白川正芳氏

「週刊読書人」第3101号(2015年08月07日)「文芸同人誌評」白川正芳氏筆
池田幸子「海峡派と私と膠原病」(「海峡派」40周年記念号 132号)、岡谷公二「東京大空襲小景」(「飛火」とぶひ・48号)、「漣」第1号より美濃輪哥の短歌「わが『東京物語』」、「文学街」331号よりグラビア「作家&読者交流の集い」、「熊楠研究」(南方熊楠研究会編)9号より橋爪博幸「南方熊楠と「ポピュラー・サイエンス・マンスリー」」
後藤克之「男として」(「九州文学」30号)、坂本紀美子「鳥が来る」(「佐賀文学」32号)、林香織「灰色の電車」(「全作家」98号)、嶋本茂男「私の富士山」(「ベルク」119号)、影山恒男「輝く海の彼方へ」(「同時代」38号)、板野昇子「自然農の学び」(「女人随筆」135号)
文芸同人誌案内掲示板:ひわき さんまとめ

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2015年9月28日 (月)

文芸同人誌「孤帆」26号(横浜市)

【「デッドエンドの世界―シュウジの世界」塚田遼】
 SF小説の連載で<前回までのあらすじ>があり、--世界では男性でもない女性でもないヒジュラという生殖能力のない人間が急増していた。その結果、人類の人口は激減し、地球上の至るところが廃墟地帯と化した…などとある。
 生殖能力のないヒジュラが、なぜ増えるのか、よくわからないが、とにかく通常の人間と社会的に差別されている。不合理な状況のなかで、普通の人間の「俺」が母親に子ども作るために結婚しなさいと望まれながら、身元不明の死者の死体を片付ける仕事につく。そこの会社勤めと、人間関係は、現在のサラリーマンとあまり変わらない。
 ただ、このなかで、「俺」は、なぜ結婚しなければないらないか、と疑問を投げかける。また、上司は、「子供を作るための嫁さんとのセックスは仕事なんだよ」と、それが誰かに強制されたことであるように受け取れる言葉がある。
 それが、神の強制によるものという風に考えているなら、神の悪意の奴隷という認識をもっているということになる。海外向けに翻訳されたら、ユニークな発想と思われるのではないだろうか。話そのものは、かなり面白くよませる。書き方も巧い。ただ、国家がどうしてそうした制度を成立させたか、というような視点がないので、SF風俗小説という感じがした。
【「王子の服」奥端秀彰】
 インチキ衣装商人にだまされた王様を「王様は裸だ」と言い切ったハンス少年が国民の人気者になる。そして、「王様は裸だ」と、声を恰好よくかけるための練習をする。ところが、女友達のハンナが言うのには、王様は服装を豪奢にしているより、最大の質素さである裸を選んだのだと教えられる。面白い寓話である。
 作者は25号で、「ルストロ」という、オクト人という反日思想の民族が日本を支配して、その社会で日本人が生活するという近未来SF的作品を書いていたが、こちらのほうが皮肉が強かった。
 塚田作品、奥端作品とも、作品の出来の良し悪しを感じる前に、社会における自己意識の反映として、このような発想が出ることに興味を感じた。
 また、10号でとうやまりょうこ「新月」が印象にある。当初は、もう何年も前の漢字筆名の頃の作品では、風俗的な小説に終わっていて、その熱意が理解できずに、純文学と距離があるように感じた。しかし、最近はなかなか現代という時代性のなかに入り込んでいる。というより、現代文学が、風俗的になってきていて、作者のほうにすり寄ってきているように思えるのだ。それを先見性があるといえば、そうもいえるのであろう。
発行所=横浜市西区浜松町6-13-402、とうやま方。
紹介者=「詩人回廊」北 一郎。

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2015年9月27日 (日)

西日本文学展望「西日本新聞」2015年08月朝刊長野秀樹氏

題「戦後の混乱期」
津々見いく緒さん「私小説『if』の人生 人生を決定づけたものとは?」(「ほりわり」20号、福岡県柳川市)、谷口清則さん「あすなろ地帯」(「詩と眞實」794号、熊本市)
「ほりわり」は「歌人池上三重子」の特集、「詩と眞實」は吉村滋さんの追悼特集、「あかね」101号(鹿児島市)の随筆課題「みち」より竹之下忍さん「遊歩道と小路(しゅつ)」、「草茫々通信」8号(佐賀市)は特集「虹の松原一揆を読み直す」
文芸同人誌案内掲示板:ひわき さんまとめ

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2015年9月25日 (金)

文芸同人誌「日曜作家」11号(茨木市)

 本誌は旧事務所あてに到着したので、前経営者からの連絡で受け取った。読むのが遅くれた。連載中の甲山羊二「優雅なるトマトケチャップ」が、書籍化されたそうだ。文学性と恋心をからめて、特徴のある文体を生み出しているので、文章表現技術に関心が高い人には、一読の価値があるように思う。
【「息長丹生真人長人のこと」大原正義】
 10号に「霊仙山」を書いており、日本から中国に渡り、当地の三蔵法師になった僧、霊仙の心境を描き、同時にそうした僧の誕生した状況を、落ち着いた地味と滋味が融合した筆致で解説する。話には聞いていたが、改めて感銘を受けた。本篇は、その関連の話で、霊仙は「息長丹生真人長人」という一族の出身ではないかと、想わせる話。
 細部に仏教を信仰しているか、学んでいる宗教人の雰囲気が伝わってきて、鎮魂の気持ちを抱かさせられる。同じ作者が作品「母、今どこに 幽明境を異にして」で、亡くなった母親を思慕している。これも、妙に胸を打つ。自分の母は、立派でもなんでもなく、強情で、39度の熱でも入院を拒み、そのまま自宅で亡くなった。自分自身でも、愛していたかどうか、今でもわからない。ただ母と子という立場に縛られていたのだ。そんなことが心に浮かんできた。
【「少女エリナ」中向静】
 留守家庭児童会室での子供たちとの交流を描く。多少の不都合、不合理があっても、子供の自然な気持ちを傷つけまいとする、室長だったが、その人が去り、新しい室長は手際良く仕事をするが、子供気持ちには気をまわすことができない。傷つきやすい子供たちとのやりとりと生態を、活き活きと表現する。大人になるということは、心に鎧が出来て、心が傷つかないようになってしまうことなのかも知れないと思った。
発行所=〒大阪府茨木市上野町21番9号、大原片。
紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。

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2015年9月24日 (木)

町田文芸交流会9月例会の報告=外狩雅巳

町田文芸交流会は、町田公民館で9月22日開催された。
 メンバーは、「相模文芸」同人が三人、「風恋洞」より一人、「民主文学」より町田支部一人。それに「文芸同志会」より1人が加わった。
 女性参加者のエッセイと男性参加者のレポート文の作品感想を行いました。
 エッセイは雑誌「文芸思潮」誌の第9回選考に応募し受賞した作品「雛人形」(横山緝子です。
 自分の初節句の写真にある雛人形にまつわる話を父親の手記を元に書いている。
 父の兄から送られた雛人形。持参した叔父の長男(甥)が後に特攻隊で戦死する。
 父の視点からの描写が生きていて特攻隊の無残さが伝わる作品である。
 しかし、参加者からは会話や主語の曖昧さを指摘してひと工夫を求められた。
 作者からは世間では小説とエッセインの差別が有るので同等に扱うよう望まれた。
 民主文学支部の「文芸多摩通信」NO.11号に掲載の大川口好道「第26回大会に参加して」レポートも読まれた。議論が広がりました。
 民主文学大会でなぜ小説「永遠のゼロ」が話題になったか等の応答がかわされた。
 二作品とも原稿用紙6~9枚ながら作者の問題意識が良く書き込まれています。
 少人数の感想会なので納得がゆくまで応答したり、多面的な読み込みができた
 性格も行動様式も異なる文芸同人会が会合し交流する事の意義が問われる場である。
 同人内作品集に外部者の読後感や作品評が寄せられた事を効果的に生かして欲しい。
 交流会の宣伝が行き渡り多くの文芸愛好者が作品を持ち寄ってくれる日が待たれる。
 同人雑誌掲載作品・単行本の他にも読める形に印刷されていれば何でも構わない。
 来月は雑誌「文芸思潮」が発行されるので参加者の一人の入選作を行う予定である。
 今回欠席の三名も来月参加予定なので討議も盛大になる事を期待している。
《参照:外狩雅巳のひろば》    

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2015年9月21日 (月)

 村上春樹『職業としての小説家』評・岡ノ谷一夫(東京大教授)

 たとえばヘミングウェイは、戦争に行ったり狩りをしたり闘牛を見たりした。非日常の素材の強さで小説を書いたのだ。一方村上さんは、きちんと朝早く起き、走り、料理もし、規則正しい暮らしをする。日常を素材として想像力によって小説を書く。素材が日常だから、多様な読者が自分の読み方をできる。スパゲティをゆでていると電話がかかってくることは、確かにありそうだ。女性から「いやなやつ」という書き置きをもらったことはないが、もらってみたい気もする。まわりには突撃隊みたいな極端な奴やつはいないが、あれに近い変人はいる。慣らされているうちに、羊男やリトル・ピープルみたいな存在が不自然ではなく思えてくる。日常+想像力の強さである。ありえたかも知れない世界を描き出し、普遍性につながるのではないか。

 本書の題目は、いやでもマックス・ウェーバーの「職業としての学問」を連想させる。ウェーバーの本は学者として生きる上での参考になるが、村上さんの本は、あくまで村上さん自身のやり方・考え方を書いたものだ。しかしどんな職業の人であれ、プロであるとはどういうことかを本書は伝えてくれる。プロには精神のタフさが必要で、それを支える肉体の鍛錬が必要である。このことは形を変えて何度も出てくるから、村上さんの心の声なのだろう。僕を含む多くの読者にとって、村上さんの創作が産まれてきた背景を知ることは、たまらない喜びだ。

読売新聞《評・岡ノ谷一夫(生物心理学者・東京大教授) 『職業としての小説家』 村上春樹著

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2015年9月20日 (日)

きょう9月20日(日)に「第三回文学フリマ大阪」を開催中!

  9月20日のに「第三回文学フリマ大阪」が開催されている。約300の出店者が堺市産業振興センターに集結した!

☆ 第三回文学フリマ大阪
開催日 2015年9月20日(日)
時間 11:00~17:00
会場 堺市産業振興センター イベントホール
※入場無料
※当日会場にて出店者カタログを無料配布します!(なくなり次第終了)
詳しくは「第三回文学フリマ大阪 開催情報」で。

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2015年9月17日 (木)

豆本新作!赤井都さん」&言壺

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言壺便り
2015.9.15 No.124
~見て見て秋の実りがこんなに号~
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▽目次▽
■特別設置ページで新作先行販売のお知らせ
■三省堂イベント情報
■その後の予定
■作りたい人へワークショップのお知らせ
■言壺便りについて
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■特別設置ページで新作先行販売のお知らせ

  お待たせしました! 言壺読者の皆様に新作をご紹介します。
  こちらのページは9月21日正午まで見て、ショッピングカートでお買いものいただけます。お届けは10月上旬とな
りますことをご了承下さい。
2015年新作特設ページ
  今回、豆本2作のほか、豆本に使用した原画も販売します。アイテム数が多いため、このような特設ページを作りました。
  原画はカートで誰かが買うと、在庫が0になって、次の方が同じものを買おうとすると警告が出て先に進めないはずです。
  21日夕方には三省堂に搬入しますので、それまでの間の先行発売とさせていただきます。
そして、赤い鳥ご予約の皆様へ! できてます。三省堂へお引き取りに来られてもいいですし、他のものと一緒に、上記ページからショッピングカートを使われてもいいですし、郵便振替でも、どの方法でも大丈夫です。お好きな方法でどうぞ。今回はいつになく、印刷で苦労されて先が見えないかんじでしたが、間に合いました。
  送料手数料は、1万円以上お買い上げならヤマト配送で1000円、それ未満は普通郵便で350円でお届けします。
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■三省堂イベント情報

そっと豆本、ふわっと活版4
赤井都×Bird Design Letterpress(協力:活版工房)
豆本・活版ステーショナリー販売、活版ワークショップ、
豆本セミオーダー実演販売、活版名刺オーダー受付
2015年9月22日(火)~9月28日(月)10:00~20:00
神保町いちのいち Bookman\'s Gallery
三省堂書店 神保町本店内1階
03-3233-0285
私は 10~18時の間いて、セミオーダーで豆本をお作りします。来られる時間が決まっている方は上記電話でご予約いただくとお待たせしません。
  今年は、豆本はたくさん並びます。夏の間、ずっと作っていて充実した秋の実りをお見せできることとなりました。
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■その後の予定
なんと! 赤い鳥を5つ並べる個展をします。
世田谷233(せたがやにーさんさん)
〒154-0023 東京都世田谷区若林1-11-10
03-5430-8539 (ゴッホもミレーもハコサンキュー)
http://233.jp/
12:00~20:00
毎週火曜日、第1・3水曜日定休 バリアフリー検証済
箱の中の豆本図書館
10月8日開館
11月30日閉館
某月某日、ギャラリー「世田谷233」店長よりメールあり。
「233のボックスの一つを小さな図書館っぽい内装にしました。本格的なつくりになっています。
  実は『箱の中の豆本たち展』からずっと温めていた企画なんです。信頼できるジオラマ作家さんとつながってやっと実現しました。しっかり世界観があるように作っていただいています。
ここに豆本作家さんの作品を並べて販売したいと思っています。
ということで、こけら落としは赤井さん以外考えられませんっ。
ボックスサイズは横39cmで高さと奥行きが35cmです。
棚の高さは各6cm奥行き4cmです。」

某月某日、返信。
「わくわくします。
実はこの秋、『赤い鳥シリーズ』が完結します。
4年間にわたり、赤井都がブックデザインして小さな活版をBird Design Letterpressが活版印刷し、
赤井都が製本し、そうして一つずつ作ってきた豆本です。
壜に入ったこれがその本棚にたぶんサイズがぴったりでその箱の中に並んだ眺めを見てみたいです。
年明け冬には、自宅アトリエで個展をしますので
その前のミニ個展に。
展示期間はいつから(以下略」赤井都
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■作りたい人へワークショップのお知らせ
「はじめての豆本 」10/10 13:00-16:00
朝日カルチャーセンター千葉公開講座
http://kototsubo.com/workshop.html#ws
最近、地元志向なので、千葉に行きます。
ハードカバーの豆本をゆっくりペースで作りましょう。
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■言壺便りについて
テラスでくつろぐひとときが、至福です。家にいながら、
どこにも行かなくても、30分で充分疲れが癒されます。
「さびしさにやどをたちいでてながむればいずこもおなじ
あきのゆうぐれ」

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2015年9月16日 (水)

ひらがな多様で漢字を減らす文体の工夫

穂高健一の「元気に100エッセイ教室 =「漢字の使い方/会話文の上手な書き方」などから、参考になることが書いてある。
 自分も、作品を執筆しはじめたが、なかなか勘が戻らない。現在は、ひらがなの多い文体を試しているが、漢字を減らせないでいる。

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2015年9月14日 (月)

著者メッセージ: 大久保淳一さん 『いのちのスタートライン』

 『いのちのスタートライン』という本を書きました。
 進行ガンを患った私が、さまざまな試練を乗り越え、過酷な100kmマラソンへの復帰に挑戦する実話です。
 今回、この作品を通じ、人が生きることについて、真剣に向き合ってみました。
 「人生は、やり直せるし、いつでも、何度でも、チャンスがある」
 私はこの言葉を信じているからです。
 本のエピローグから2年経ち、いま、新たな挑戦にのぞんでいます。
 私は、病気の後遺症で、肺の1/3が機能していません。
 それでも尚、ガン発病前のマラソンの自己記録を更新し、元気だった頃の自分を追い抜きたいのです。
 今年6月、100kmマラソンで、その9年がかりの悲願を達成できました。
 今後は、フルマラソンでの記録更新とサハラ砂漠250kmマラソンに挑みます。
 本を読んでいると、信じがたい事実に出会え、自分にも、まだ多くのチャン スがあるとわかる時があります。
 この本が、だれかのそれになってくれればいいなと思っています。 (大久保淳一)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2015年9月1日号より)

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2015年9月11日 (金)

会員ネット活動とIT未熟騒動記(3・完)外狩雅巳

多数の不審メール中の親切風のお便りは役に立ちます。
不審メールの本質は詐欺だからと親切に教えてくれます。
自分は正義の味方ですよ詐欺にあわずこの送金をどうぞ。
等と他者と峻別しての売り込みもあり工夫が向上しました。
とは言え、間違っても大金は受け取れません。金は不要です。
年金で余るんですよ。月々十万円位は余ってしまいます。
お金は大事です。肉も卵も野菜も安売り日に買っています。
生活防衛は万全です。不審な送金などは不要です。
億円単位の送金が出来るなら震災支援金に使いましょう。
S社とのH通信の契約も出来ずアナログ生活です。
高齢夫婦なので面倒な事は避けて生活しています。
貰ったビデオ機も使えずテレビも恐る恐るの操作です。
携帯も通話のみです。無くても良いのですが―――
親族との交流も少ないし、日々は読書と散歩とテレビです。
図書館の隣なので本も無料で読めます。食費も少ない老人です。
自宅だし、庭いじりで楽しんだり、手料理に工夫したりの毎日です。
そんな老人が高額の年金受給者だったり預金が多かったりですね。
で、IT機器を買っても未熟者なら金を捨てる事ですよね。
そこに付け込んで売り込みや詐欺が溢れています。
私は、未熟すぎて詐欺にも食い違った対応したり、S社の売り込みにも申し込めなかったりの頓珍漢です。
諦めました、詐欺との会話も疲れるし、ITも疲れるし。
昔ながらの図書館の本での読書と散歩、町田文芸交流会活動で余生を過ごします。
《参照:外狩雅巳のひろば

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2015年9月10日 (木)

会員ネット活動とIT未熟騒動記(2)外狩雅巳

パソコンは、平仮名入力で覚えてしまったので英語入力苦手で返信も苦手な私です。
 返信欄をクリックすれば送信してきた人に返信出来ると信じていました。
 でも、今回の不審メールは何か中継所を使用して送信してくるようです。
 送信者は私の意見が聞こえないらしく何度でも同じ文面で送金を言いつのります。
 あまり多数の繰り返し送信なので振り向かない私には手を変えて来ました。
 不審者の送金メールは危険です。こちらは公的機関なのでOKですよ。
 とか、五百万円なら受け取ってくれますか。助けてくださいお願いします。
 等と、金額を下げたり他の送信者は信用せず自分と交渉をとか工夫している。
 面倒なので津波被災者に愛の手を、と言う返信文一本に絞ってみました。
 S社の対策でこの不審メールに対応できるかと思い質問しました。
 契約し工事完了前に疑問点を最初の12点全てを理解してもらう為てす。
 ① 親子電話の親機からの発信不能。
 ② 不審メールの排除。
 ③ 携帯電話はAUなので契約解除か。
 全部話したら相手は困惑し、代理店の受注なので良く分からないとの事です。
 全部OKは営業トークで実はS社の仕事ではない事が大部分との事です。
 17日前に完了は無理なので解約するとの事です。整備後に契約するとの事です。
 私は契約書に捺印送付したので今更解約は二重解約にならないか心配しました。
 大丈夫、確実に解約しましたので現在の問題を急いで対処したら連絡下さい。
 実は、代理店の電話受注手法は荒く後日に契約不可能な案件も多いとの事です。
 私が、いきさつはどうであれS社と契約したいと訴えるのですが、工事後にNTT等の再工事になったり二重契約になるので無理だと答えるのです。
 その間にも不審メールは続々ときます。このままでは五億円入手になりそうです。
 警告メールも来ます。受け取れないですよ危険ですよ気を付けましょうね。
 当方は危険ではないので他の者とは交渉しないでくれ、と手の込んだ文面もあります。
 IT未熟者なので送信者との接触も出来ず日が過ぎています。
《参照:外狩雅巳のひろば


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2015年9月 9日 (水)

会員ネット活動とIT未熟騒動記(1)外狩雅巳

 夫婦そろって電機音痴です。それでも私は少しは家電も使えます。
 メールも行います。文芸同志会の活動情報はメールで送稿し伊藤氏が体裁を整え公表します。
 それ以上の技量が無いので伊藤氏が苦労して整理し題名付け等の加工を行っています。
 そんな私のメール画面に先日大量の不審メールが届きました。送信者に心当たりなし。
 内容は私に四億五億の金額を送金したい。とか宝籤当選なので受け取れとかです。
 世の中にはカネ余りの人がどうしても送金すると迫っているような文面が殆どです。
 私が受け取らないと大変に困るとの事情ももっともらしく書き連ねています。
 多数の人々がどうしても私に億円単位の金額を送金しなくはならない状態なのです。
 そんなにカネ余りなら震災被害者に送れば良いのです。東北支援に使いましょうで、「送信する」をクリックしてその旨を伝えました。他の返信方法が出来ない未熟者です。
 なのに懲りずにまた同じ文面で五億円受け取れと切迫した事情を書き連ねてきます。
 ――だからあ、災害援助に回しなさいよ――と私も返信にタメグチになりました。
 送金したい人達は私に受け取らせようと工夫してきました。知恵を絞っていますね。
 私のパソコンに入り込んでいるらしく個人的な事も把握しているようです。
 プロレタリア文学論等を見たらしく、送信者名が宮本謙治とか小林多喜二になりました。
 私がかたくなに災害援助に回せと返信するので災害援助機関も名乗り出しました。
 そんな送受信が続く中で事態は大きく動きます。電話会社からの通信がありました。
 パソコン会社にメール騒動の処理を頼もうとしたその時、S社から電話されました。
 受話器を取るとパソコンなどでお困りは有りませんか、と親切な態度で話されました。
 電話機にも不具合があるし携帯にも疑問があったのでそれらの数件をつたえました。
 全部処理しますからS社と契約しましょうね。きっと良い結果になりますよ。
 お客様皆が喜ぶ契約を行うのが当社の姿勢です。貴方も満足する事を保障します。
 十二件の困った件案を全て解決するから契約して下さいとの営業電話です。
 F通信さんにも、プリンターCさんにもNTTさんにも相談するつもりの矢先でした。
 なら、契約してS社に全部解決してもらう方が簡単ではないかなと思いました。
 で、OKとなり契約書類が送られて来ました。書名・実印捺印のうえ返送しました。
 受理したとの電話があり、17・18両日の工事も決定しました。以降はH通信です。
《参照:外狩雅巳のひろば


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2015年9月 7日 (月)

文芸同人誌「飛行船」第17号(徳島県)2015年春季号

【「やってきた娘」斎藤澄子】
 後妻に入った光子は、夫のポケットから、前妻の娘、千代の手紙をみつけ、夫が光子に隠して文通をしていたことがわかる。それから、その娘が家にやってきたという話。時代は昭和27年だという。そうした時代に関係なく、後妻と前妻娘が、夫としての男と前妻の娘が父親としての愛情の奪い合いで、バトルを繰り広げる様子が面白い。
 お互いに、相手を魔女として意識する様子が軽いタッチで、微妙な心理を捌いている。それだけに深みには欠けるが、面白い素材ではある。
【「風の遠鳴り」竹内菊世】
 夫を亡くして仏壇で夫に話しかける生活。そこに証券会社の男がやってきて、預けている投資信託が、大損を出しているという。とり返しますから、任してくださいという。しばらくすると、本当に損した分も取り返したと、お金をもってくる。
 証券マンは、もっと儲けられると、高額な投資をすすめるので、そうする。すると、利益が投資額のわりには大きくなる。そこで、姉にも投資を勧めるが、どうせ騙されてしまうだけだ、と話にのってこない。しばらくすると、証券マンが、投資した金は失敗して全部なくなりました、といってくる。そこで主人公は、一時的に落胆の極みに陥るが、気を取り直して、仏壇の夫との対話で気を取り直す。良くあるうまい投資話の手順を長々と書いてある。投資話は怪しげだが、このような金融商売の餌食になる例は、事実多いのではないか、と感じさせるリアリティがある。心が寒くなるところのある作品だ。
【「安治川」佐滝幻太】
 宇宙のロマンから世界の情勢、現在の世相と事件をからませながら、自分の人生の記憶に残る出来事や、ドストエフスキー、宮本輝などの小説に思いを寄せる。まさに心に浮かぶ出来事を丁寧に書いている。意識の流れそのままである。文芸趣味の原点を感じさせる。
【「龍ちゃんの忘れえぬ人々」(1)三木田卓郎】
 四国放送テレビ・ラジオなどのニュースキャスター梅津龍太郎さん(74)=徳島市在住=から作者が聞き書きしたもの。山田洋次監督の映画祭を企画した話や「寅さん」の周辺。杉村春子、太地喜和子、加藤武などの裏話があり、今となっては貴重な資料に思える。
「飛行船」=連絡先770-0842徳島市通町2丁目12,竹内菊世.
紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。

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2015年9月 5日 (土)

「ピッピのくつした」を読む=町田文芸交流会余話

 会員の外狩雅巳氏がリアルな市民文芸家の交流の場を広げたいというので、文芸に関しては文学フリーマーケットとネットサイトで、活動の文芸同志会も参加をしている。町田市での交流で、多様な活動家たちの動向と意見をリアル聴けるのは、参考になる。先日の会合では読書会「どんな本を読もうか?ビッピのくつした」の武田さんと立川さんの参加があった。
 機関誌も出していて、3月発行の「ピッピのくつした」では、武田裕子さんが、詩誌「ユリイカ」の2015年新鋭詩人に選ばれたことで、対談が掲載されている。子供向けの本から、太宰治の古典、村上春樹、綿谷りさ。はては、ガルシア・マルケスからSF特集まで、その幅の広さに驚く。そこで得られた感想がマンガの吹き出し形式でピックアップされていて、面白い。すごい編集力だ。文学における小説はその存在意義が問われるほど、社会的な力を失ってきている。しかし、そのなかで、地域での地道な活動にこそ、楽しみながら考えるため文学の道の方向性があるらしいと、痛感させらられた。
  会合では、武田さんの現代詩の鑑賞があったので、意味の受け取り方と抒情詩と叙事詩のちがいについて話した。武田さんの現代詩「消化」と「小さな旅」は、自己の存在意識とその表現のもどかしさが根底にあると読めたが、なんとなく感じることの表現とという範囲で述べた。
 「詩人回廊」編集人・伊藤昭一。

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2015年9月 4日 (金)

町田文芸交流会で多様な広がりと可能性を=外狩雅巳

 町田文芸交流会の月例会には「文芸同志会」代表の伊藤さんが常連になっています。
 彼の文学論は会合を盛り上げ参加者の発言の幅を引き出す効果があります。
 近隣の同人会等とは可能な限り対面交流を追求し手法や内容も工夫してゆきます。
 遠方等で対面出来ない全国多数の文芸同人会も視野に入れた発信に努めています。
 書籍全般の作品合評会・相互活動報告・出版情報等の案内を友好的に展開中です。
 八月末会合に参加した詩誌「ロゼッタ」(町田市)は手製の簡易製本ですが読みたくなる雑誌です。
 九月一日発行の「孤帆」26号(横浜市)が到着。この雑誌も手に取り読ませる工夫があります。
 奥付も頒価700円(安い!)や発行者とうやまりょうこ氏作品案内等手抜きは無い。
 メール合評会を行なったりと作品内容共々気合の入った文芸同人会だと思いました。
 高畑寛氏からは「漱石『満韓ところどころ』を読む」(鳥影社・7月27日発行)が届きました。季刊文科コレクションの帯が着いた小説と評論の300頁近い大冊です。―私の本ははっきりしたメッセージがあって、そのために書いています――
 との手紙も挟まれていて「文芸同志会」への送付熱意が読み取れて大切に受け取りました。
  文芸同志会伊藤代表は東京在住です。町田文芸交流会内「文芸同志会通信」様との宛名で送られて来た同人誌については、送付か交流会席上で渡しています。
  他の出席者も町田市や秦野市在住なので出来るだけ頻繁な意思疎通に努めています。
  同人誌発行を行う会、文芸発言をネットで取り組む会など多様な参加団体があります。
   近隣の会も遠方の会も交流を希望すれば可能に成る場を作りたいのが交流会です。
 月例会の他にも寄贈された詩誌の紹介や文芸情報発信など課題も沢山あります。
 全国の文芸愛好家が交流できる可能性の追求は今後ずっと行ってゆきます。
 町田で集まり討論し二次会では歓談した熱気を全国に広げたいと考えています。
  文芸同志会はじめ、参加各団体に代わってこの場で御礼をさせていただきます。
 町田文芸交流会事務局《参照:外狩雅巳のひろば
 

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2015年9月 2日 (水)

文芸時評9月=意識の流れのリアリティ・石原千秋氏

 川上未映子「苺ジャムから苺をひけば」(新潮)は、語り手が幼くして母親を亡くした小学6年生の「わたし」に寄り添って、父親に前妻がおり、子供までいることを知った「わたし」が友人の麦彦と会いに行くまでを、「わたし」の意識の流れに沿って書く。昭和初期にフロイトの影響を強く受けてはやった「意識の流れ小説」と児童文学とを組み合わせた趣である。終わり近く、「わたし」が早くに亡くなったのでほとんど記憶もない母親に宛てて手紙を書く。「お母さん、わたしは、思いだせることがないのに、お母さんを思いだすと涙が出ます」と。

 この感覚は痛切にわかる。家族は記憶で作られる文化なのだ。だから、「お母さん」という言葉で「思いだせることがないのに、お母さんを思いだす」ことができる。しかし、血がつながっているはずの異母姉はそっけない。タイトルの「苺ジャムから苺をひけば」は、「血縁者から血のつながりをひけば」と読み換えることができる。残るのは「記憶」だけだ。たとえそれが幻であっても。人間はのべつ幕なしに何かを考えているわけではないから、「意識の流れ小説」のリアリティーは文体にかかっている。小学6年生の意識を書く文体としては整いすぎているが、テーマの重さはわかる。
早稲田大学教授・石原千秋 リアリティーの在りか(産経新聞)

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2015年9月 1日 (火)

文芸時評8月(東京新聞8月31日)佐々木敦氏

川上未映子「苺ジャムから苺を引けば」今月最良の作品
三輪太郎「憂国者たち」小説型の再審評論
 雑誌の戦争特集を紹介。「文学界」9月号。「戦火は遠からず」と題して、高井有一原作の映画「この国の空」公開に合わせた二階堂ふみのインタビューグラビア。脚本の荒井晴彦の寄稿。映画とは別の青来有一と堀川恵子の論考。
 「すばる」は、「戦争を、」読む。古井由吉のインタビュー、加藤典洋、林京子、堀江敏幸のエッセー、大岡昇平の「野火」を映画化した塚本晋也監督のインタビュー、アンケート企画「戦争を知るための1冊」など。
≪対象作品≫
「又吉直樹・羽田圭介スペシャル」・羽田圭介「成功者Kのペニスオークション」(文学界)/早稲田文学新人賞・中野睦夫(78歳)「贄(にえ)のとき」/同賞・枡田豊「小悪」(早稲田文学)/川上未映子「苺ジャムから苺を引けば」(新潮)/三輪太郎「憂国者たち」(群像)。

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