著者メッセージ: 乱歩賞 呉勝浩さん 『道徳の時間』
『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩賞を受賞した呉勝浩と申します。
受賞作は昨年5月、前回の乱歩賞最終選考で「落ちたよ」というお電話をいただいた日から猛烈な焦燥に駆られて書き始め、7月に初稿が出来上がりました。応募までに4回くらい大幅な改稿をし、受賞を知らされ「やった!
」 と思う間もなく、今度は直しの作業が始まりました。いったん完成した作品 にここまで時間をかけて取り組んだことはありませんでした。
本作を読み返すと、なるほどこれは私のデビュー作だな、と思わずにいられません。稚拙な部分もそうですが、何より世の中に自分の居場所を手に入れたいという熱が、登場人物のあり方に投影されていて気恥ずかしいほどです。
たくさんのご意見をいただき、改稿に努めましたが、『犯行の動機』については初稿時点から変えていません。これは私にとってリアルだからです。 ぜひ、ご自身の目で確かめていただければと思います。 (呉勝浩)
(講談社『BOOK倶楽部メール』 2015年8月1日号)
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