著者メッセージ: 下村敦史さん『生還者』
こんにちは。下村敦史です。 7月22日に上梓する3作目『生還者』は、ヒマラヤのカンチェンジュンガ山の雪崩事故から生還した二人の登山者が相反する体験談を語り、件の雪崩で兄を失った登山家、増田直志が雪山に隠された真実を追う山岳ミステリーです。
編集部の部長さんから「次回作は災害を生き延びた生還者をテーマにするのはどうですか」という提案をいただき、元々アイデア帳に書き留めてあった山岳ミステリーの案と組み合わせることで物語が生まれました。初めて挑戦するジャンルで、登山経験もない中、第1稿に与えられた1ヵ月半という締め切りがかなり過酷でしたが、個人的には満足できる作品に仕上がったと思います。
デビュー作となった江戸川乱歩賞受賞作『闇に香る嘘』では、視覚的な描写を使えない全盲の主人公の一人称に挑戦したため、今作は逆に視覚的な描写を意識しました。
前作の警察小説『叛徒』とは全く違うタイプの作品なので、山好きの方もそうでない方も楽しんでいただければ幸いです。 (下村敦史)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2015年7月15日号より)
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