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2015年7月24日 (金)

「仙台文学」86号(仙台市)

 七月十日付の「仙台文学」86号が届いた。同人13名の仙台文学の会が発行する文芸同人誌である。
 108頁の今号では牛島富美二「長左と彦左」が80枚を超える力作である。この作品はー仙台維新譜⑪―とある様に長編連作の最新作品となっている。
 明治維新を舞台に仙台藩の様々な内実を掘り起こして小説仕立てにしてある。今回は薩長明治政府に対抗した奥羽列藩同盟の盟主仙台藩の降伏への道筋の一つが描かれている。
 兵器の大差での劣勢も具体的に記されていて苦境の仙台藩降伏使節が遭遇する実話的な作品。二人の百姓、彦左衛門と長左衛門が遠征軍の一つ肥後藩軍に降伏文としての謝罪文を届ける。古文書などの参考文献を多数読み込んで創作し二人の百姓の体験談として作り上げてある。
 戊辰戦争として日本史学習で片鱗に触れただけなのでこういう歴史文学作品には感心してしまう。
 仙台市民・牛島氏の意欲と根気の原点は何か?と色々詮索したくなった。きっかけは数年前だ。
 全国展開の同人誌「文学街」の呼びかけたアンソロジーに参加して「仙台文学」の存在を知った。
 手紙で「外狩先生の御子息ですか?」と言う質問が来た。続けて「先生とは同僚でした」と書かれていた。
 亡父が仙台市の東北学院勤務時に、歳の離れた同僚教師として勤務した過去を知らせてくれた。
 奇遇である。以来毎号「仙台文学」の送付が続いている。仙台維新譜とも長い付き合いである。
 東北大地震や福島原発問題などを見つめた目と心で詩を書き東北の歴史も書き続けている詩人・小説家である。
 「あれから」という牛島氏の詩も読みごたえがある。――八十のひとは夢と幻を現に置き換えたあれから――の一節から氏の長い人生を確かめる覚めた目を感じ。
 発行所=〒981-312 仙台市泉区向陽台4-3-20、牛島富美二(ごとうふみじ)方。
紹介者=「詩人回廊」外狩雅巳

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